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リリーシェ王国・婚約編
卒業パーティ
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「卒業パーティ、か……」
2週間は驚くほどあっという間に過ぎていった。実技の授業が大分少なかったのもあって、幸いトールと顔を合わせることはあの日以来なかった。多分、トールも気を遣って避けてくれたのだとも思う。顔を合わせたら何を話したらいいのか分からなくなるから。返事しようにも、卒業パーティで、と言われていたし。
そして、ついにパーティの日がやってきた。返事は決まっているけれど、やっぱり緊張してしまう。王族の入場を待っていて、手持ち無沙汰なのもあって余計にだ。
紛らわすように隣にいるアリアに声をかけようと横を向くと、目に涙を溜めてこちらを見つめていた。思わず度肝を抜かれて、後ずさってしまった。
「どうしたの…… 泣いたらお化粧が崩れちゃうわよ?」
「だって、だって。もうお別れだなんて……!」
ああ成る程な、と納得する。今日はこの学園とお別れの日でもあるのだ。卒業パーティと言うだけあって、ここで皆、卒業でお別れなのだ。もちろん、アリアとも。
こうして別れを惜しんでくれるほどの友達をこの腹の探り合いばかりの貴族社会で作れたことは本当に尊いことで、改めて嬉しいな、とついつい表情が綻んだ。
「早かったわね……」
「あと数年はここにいたかったや……」
「まぁ、5年間、楽しかったわよ。また卒業してからも会いましょう。……そういえば、アリアは婚約者が見つかったの? 相手がいないーって言っていなかった?」
「……痛いところを突かないでください…… まぁ、私平民だから帰ったらどうにでもなるから…… 貴族で探さなくても、まぁ……」
「あ、そうなの……」
聞いてはいけない雰囲気を感じ取ったのでそれ以上は触れないでおく。
と、話していたらほどなくしてパーティが始まった。
ファーストダンスはあの馬鹿王子と妹だ。結局婚約話はうまく纏まったらしく、あの二人で仲良くやっているらしい。それが周りに認められているかは別としてだが。
「アイミヤ嬢、卒業生じゃないのに来てるわけ?」
「……王子の婚約者になったからねぇ」
「でも婚約者が同級生でない場合、卒業生の王族って、ファーストダンスは母親または姉妹と踊るものなんじゃなかったっけ?」
そうよ、とは返さずに曖昧に返事をして、パーティ会場を見回すと、やはりアリアと同じことを思う人が多いのか、殆どが怪訝そうに二人を見つめていて、会場には華やかさとは対象的な微妙にざわついた空気が流れている。
「……ちょっと……」
「礼儀を弁えない方だな……」
そんな言葉もちらほらと聞こえてくるくらいには。
「さて、と。アリア、壁の花にでもなりましょうか」
「踊らないの?」
「……卒業生以外にも他の貴族も来ているから、そういう縁談が目的の方がたくさんいらっしゃるのよ。数日前に婚約解消したことが大々的に発表されたせいで、私が踊ることになったらそういう方々が寄ってきちゃうもの」
「なるほど。確かにあっちにいるドルード公爵の三男とかずっとティアを見てるものね」
ちらりとアリアが自然を送った方向を横目で見れば、確かにいる。数年前に卒業した彼は、あまりルックスがよくない……というか歯に衣着せずに言うと太っていらっしゃるというのと、女性にいかがわしいことをしようとする常習犯という二重苦を背負った不良債権なせいでお相手が一向に見つからないので、いつもどの夜会やパーティでも探し回っていることで有名だ。……あれを見ると余計に行きたくなくなってしまった。
「そういうことよ。ちょっと落ち着いてきたらちょっと動こうと思っているけれど、初めは静かにしているつもり。アリアは踊りたかったら踊ってきていいわよ?」
この一生に一度の華やかなパーティで本人の意に介さず拘束してしまうのは良くないと思いそう問うも、それならばいいと首を振られてしまったので、二人で脇の方に逸れることにした。
2週間は驚くほどあっという間に過ぎていった。実技の授業が大分少なかったのもあって、幸いトールと顔を合わせることはあの日以来なかった。多分、トールも気を遣って避けてくれたのだとも思う。顔を合わせたら何を話したらいいのか分からなくなるから。返事しようにも、卒業パーティで、と言われていたし。
そして、ついにパーティの日がやってきた。返事は決まっているけれど、やっぱり緊張してしまう。王族の入場を待っていて、手持ち無沙汰なのもあって余計にだ。
紛らわすように隣にいるアリアに声をかけようと横を向くと、目に涙を溜めてこちらを見つめていた。思わず度肝を抜かれて、後ずさってしまった。
「どうしたの…… 泣いたらお化粧が崩れちゃうわよ?」
「だって、だって。もうお別れだなんて……!」
ああ成る程な、と納得する。今日はこの学園とお別れの日でもあるのだ。卒業パーティと言うだけあって、ここで皆、卒業でお別れなのだ。もちろん、アリアとも。
こうして別れを惜しんでくれるほどの友達をこの腹の探り合いばかりの貴族社会で作れたことは本当に尊いことで、改めて嬉しいな、とついつい表情が綻んだ。
「早かったわね……」
「あと数年はここにいたかったや……」
「まぁ、5年間、楽しかったわよ。また卒業してからも会いましょう。……そういえば、アリアは婚約者が見つかったの? 相手がいないーって言っていなかった?」
「……痛いところを突かないでください…… まぁ、私平民だから帰ったらどうにでもなるから…… 貴族で探さなくても、まぁ……」
「あ、そうなの……」
聞いてはいけない雰囲気を感じ取ったのでそれ以上は触れないでおく。
と、話していたらほどなくしてパーティが始まった。
ファーストダンスはあの馬鹿王子と妹だ。結局婚約話はうまく纏まったらしく、あの二人で仲良くやっているらしい。それが周りに認められているかは別としてだが。
「アイミヤ嬢、卒業生じゃないのに来てるわけ?」
「……王子の婚約者になったからねぇ」
「でも婚約者が同級生でない場合、卒業生の王族って、ファーストダンスは母親または姉妹と踊るものなんじゃなかったっけ?」
そうよ、とは返さずに曖昧に返事をして、パーティ会場を見回すと、やはりアリアと同じことを思う人が多いのか、殆どが怪訝そうに二人を見つめていて、会場には華やかさとは対象的な微妙にざわついた空気が流れている。
「……ちょっと……」
「礼儀を弁えない方だな……」
そんな言葉もちらほらと聞こえてくるくらいには。
「さて、と。アリア、壁の花にでもなりましょうか」
「踊らないの?」
「……卒業生以外にも他の貴族も来ているから、そういう縁談が目的の方がたくさんいらっしゃるのよ。数日前に婚約解消したことが大々的に発表されたせいで、私が踊ることになったらそういう方々が寄ってきちゃうもの」
「なるほど。確かにあっちにいるドルード公爵の三男とかずっとティアを見てるものね」
ちらりとアリアが自然を送った方向を横目で見れば、確かにいる。数年前に卒業した彼は、あまりルックスがよくない……というか歯に衣着せずに言うと太っていらっしゃるというのと、女性にいかがわしいことをしようとする常習犯という二重苦を背負った不良債権なせいでお相手が一向に見つからないので、いつもどの夜会やパーティでも探し回っていることで有名だ。……あれを見ると余計に行きたくなくなってしまった。
「そういうことよ。ちょっと落ち着いてきたらちょっと動こうと思っているけれど、初めは静かにしているつもり。アリアは踊りたかったら踊ってきていいわよ?」
この一生に一度の華やかなパーティで本人の意に介さず拘束してしまうのは良くないと思いそう問うも、それならばいいと首を振られてしまったので、二人で脇の方に逸れることにした。
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