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リリーシェ王国・婚約編
閑話 トール、断罪する 3
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数秒して、ぶわり、と風が舞った。そしてそのまま、風はアイミヤを包み込むように渦巻いた。それにより、アイミヤは動けなくなってしまう。
……よし、いい感じに発動したな。
「これ、何よっ……!」
「そこの椅子周辺で魔法が使われることで発動するようにしていた、拘束用の魔法ですよ。防犯用に一応、掛けさせてもらっていたんです。夕食時に貴方に薬を盛られたわけですし、念のためと思ってね。貴方のことは前から信用ならないと思っていましたし」
平然とそう言いのけた僕を見て、アイミヤは信じられない、というように目を見開いている。
「……なんで…… 魅了魔法が効いてない……?」
「これですよ。全属性の魔石から作った指輪。魅了魔法のみ無効化するように効果を付与したものです。……貴方が怪しい、と思ったので用意したんですよ」
ぎりり、と悔しげに歯噛みするアイミヤを見下ろすように、僕は椅子に風で押さえつけられて動けなくなったアイミヤに言い放つ。
「これ、無効化するために魔石が貴方の魔力を吸収していたんです。これを国の方に提出させてもらいます。そうすれば、貴方が魅了魔法を使ったという証拠になるので、貴方は厳罰を受けることになるでしょうね」
「……っ、待って、謝るから! 謝るからっ……!」
事の重大さに気づいたらしいアイミヤが必死にそう僕に縋り付こうとしてくる。……今更何を。
首元に手刀を入れて、眠らせる。これ以上変なことをされては困るから。これで魔法は使えまい。
僕は気を失ったアイミヤに背を向けて、部屋を出る。あの魔法は割と強力だから、ここを離れてもアイミヤはあのまま拘束しておけるだろう。
……それよりもフィティアだ。魔力を封じている、と言っていた。相当に危険な状態に決まっている。そうじゃなきゃ、気丈な彼女が僕に助けを求めてくるはずがない。
「君。アイミヤの部屋がどこか教えて」
僕に薬を盛ったあのアイミヤのメイドの肩を掴んで、訊く。
「……っ、言えません」
「殺されたくなかったら話せ」
胸元からナイフを取り出し、首にあてがう。脅し用に持っている偽物ではあったが、縮み上がっているこの少女にはこれで十分だろう。
「…………三階の、東側の角部屋です」
「そう、ありがとう」
偽物のナイフを再びしまい、フィティアの元へ駆ける。
「ここ、だな」
異様な魔力の流れを感じる。……闇魔法だ。
焦ってノブを押すも、開かない。
「蹴破るか」
数歩下がって、魔力を纏わせ強化した足で飛び蹴りを食らわせる。そんなに頑丈ではなかったらしく、その一撃で留め金が壊れて開いた。
「っ、フィティア!」
背筋が凍るような、冷たい、黒い鳥籠。その中に、フィティアはいた。意識を失くして、うつ伏せになっている。
「今助けるからっ……」
鳥籠の鉄柵を握りしめ、魔力を流す。
壊れろ、壊れろ、壊れろ。
魔力を無理矢理に飽和させて、闇魔法を打ち消せば、それはもうただの鳥籠だ。
パキリ、とひび割れる耳障りな音と共に、鳥籠の柵の一本、僕が掴んでいた物が砂のように崩れて、壊れて、零れ落ちた。
急いで駆け寄って、鳥籠の中に入り、彼女を仰向けにする。死んだように眠っていて、青白くて、今にも消えてしまいそう。
腕にはあのアイミヤが言っていた通り、魔力封じの腕輪がきつく嵌められている。
「これは……」
彼女の右手に、櫛が握りしめられている。使い古されたのか歯が大分折れているものだ。
そっと彼女の手を開いて、それを取り出す。
「魔石……!?」
壊れて、砕けてはいたけれど、その青い輝きはやはり魔石だ。
……まさか。
彼女は僕に助けを求めるために、この櫛の飾りの魔石から魔力抽出をして、魔法を無理矢理に使ったのか?
「っ、早く治療しなければ……!」
彼女の腕についた魔力封じの腕輪にも魔力を大量に流し込んで壊してしまう。
彼女は明らかに衰弱しきっていて、このままでは死んでしまいそうなほどだ。魔力がほぼ枯渇した状態で無理をしたから……
『風よ、我等を運び給え。アリアの元まで、敏捷に』
彼女を抱きかかえ、風で転移をする。
あぁ、助かってくれよ……
……よし、いい感じに発動したな。
「これ、何よっ……!」
「そこの椅子周辺で魔法が使われることで発動するようにしていた、拘束用の魔法ですよ。防犯用に一応、掛けさせてもらっていたんです。夕食時に貴方に薬を盛られたわけですし、念のためと思ってね。貴方のことは前から信用ならないと思っていましたし」
平然とそう言いのけた僕を見て、アイミヤは信じられない、というように目を見開いている。
「……なんで…… 魅了魔法が効いてない……?」
「これですよ。全属性の魔石から作った指輪。魅了魔法のみ無効化するように効果を付与したものです。……貴方が怪しい、と思ったので用意したんですよ」
ぎりり、と悔しげに歯噛みするアイミヤを見下ろすように、僕は椅子に風で押さえつけられて動けなくなったアイミヤに言い放つ。
「これ、無効化するために魔石が貴方の魔力を吸収していたんです。これを国の方に提出させてもらいます。そうすれば、貴方が魅了魔法を使ったという証拠になるので、貴方は厳罰を受けることになるでしょうね」
「……っ、待って、謝るから! 謝るからっ……!」
事の重大さに気づいたらしいアイミヤが必死にそう僕に縋り付こうとしてくる。……今更何を。
首元に手刀を入れて、眠らせる。これ以上変なことをされては困るから。これで魔法は使えまい。
僕は気を失ったアイミヤに背を向けて、部屋を出る。あの魔法は割と強力だから、ここを離れてもアイミヤはあのまま拘束しておけるだろう。
……それよりもフィティアだ。魔力を封じている、と言っていた。相当に危険な状態に決まっている。そうじゃなきゃ、気丈な彼女が僕に助けを求めてくるはずがない。
「君。アイミヤの部屋がどこか教えて」
僕に薬を盛ったあのアイミヤのメイドの肩を掴んで、訊く。
「……っ、言えません」
「殺されたくなかったら話せ」
胸元からナイフを取り出し、首にあてがう。脅し用に持っている偽物ではあったが、縮み上がっているこの少女にはこれで十分だろう。
「…………三階の、東側の角部屋です」
「そう、ありがとう」
偽物のナイフを再びしまい、フィティアの元へ駆ける。
「ここ、だな」
異様な魔力の流れを感じる。……闇魔法だ。
焦ってノブを押すも、開かない。
「蹴破るか」
数歩下がって、魔力を纏わせ強化した足で飛び蹴りを食らわせる。そんなに頑丈ではなかったらしく、その一撃で留め金が壊れて開いた。
「っ、フィティア!」
背筋が凍るような、冷たい、黒い鳥籠。その中に、フィティアはいた。意識を失くして、うつ伏せになっている。
「今助けるからっ……」
鳥籠の鉄柵を握りしめ、魔力を流す。
壊れろ、壊れろ、壊れろ。
魔力を無理矢理に飽和させて、闇魔法を打ち消せば、それはもうただの鳥籠だ。
パキリ、とひび割れる耳障りな音と共に、鳥籠の柵の一本、僕が掴んでいた物が砂のように崩れて、壊れて、零れ落ちた。
急いで駆け寄って、鳥籠の中に入り、彼女を仰向けにする。死んだように眠っていて、青白くて、今にも消えてしまいそう。
腕にはあのアイミヤが言っていた通り、魔力封じの腕輪がきつく嵌められている。
「これは……」
彼女の右手に、櫛が握りしめられている。使い古されたのか歯が大分折れているものだ。
そっと彼女の手を開いて、それを取り出す。
「魔石……!?」
壊れて、砕けてはいたけれど、その青い輝きはやはり魔石だ。
……まさか。
彼女は僕に助けを求めるために、この櫛の飾りの魔石から魔力抽出をして、魔法を無理矢理に使ったのか?
「っ、早く治療しなければ……!」
彼女の腕についた魔力封じの腕輪にも魔力を大量に流し込んで壊してしまう。
彼女は明らかに衰弱しきっていて、このままでは死んでしまいそうなほどだ。魔力がほぼ枯渇した状態で無理をしたから……
『風よ、我等を運び給え。アリアの元まで、敏捷に』
彼女を抱きかかえ、風で転移をする。
あぁ、助かってくれよ……
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