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フェルシア王国・陰謀編
夏の国
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「ティア! 外! 外見て!」
「……んー? どうしたの?」
毛布を引っ被って眠っていたところを、アリアにばしばしと叩き起こされた。若干痛い。ここまでするなんて一体何事、と思って言われた通りに外を見て、唖然とする。
「すごい……!」
赤、青、黄、とカラフルに彩られた町並みに、リリーシェでは見慣れない身軽そうな薄着。活気に溢れていて、皆忙しそうに動き回っている。
「お、到着したらしいね」
同じように眠っていたトールも起きてきた。まだやはり眠いらしく、目を細めて欠伸を噛み殺しながらぐっと体を起こしている。そして懐かしげに目を細めて、一緒に窓を覗き込んできた。
「さっすが夏の国って言われるだけあるよねぇ……」
アリアの言葉に返答代わりに深く頷く。
リリーシェは冬が長くて年中肌寒い冬の国で、フェルシアは夏が長くて年中暑い夏の国。山で隔てられた2つの国は真反対の気候をしているということは学園の地理の授業で習ったから一応知っていたとはいえども、実際に見ると驚かされる。
ずらりと並んだ屋台、そしてそこに売られている数々の品物。見たことがないものもたくさんある。それに、リリーシェでは水色や薄桃色などの淡い色が好まれていたから、眩しく感じてしまうほどの原色に満ちている光景が珍しくて面白くて。私とアリアは窓に齧り付くようにして外を見ることにいつしか熱中してしまっていた。
その様子を見て笑い声を零しながら、そんな私達に提案する。
「落ち着いたらまた3人で見に来ようか」
と。もちろん私もアリアも勢いよく振り向いた。
「いいの? 王族って外に出にくいでしょ?」
「第3王子はまだ身動きが取りやすい立場だからね。諸々の手続きなんかが終わったらにはなるだろうけど。二人とも行きたそうだし、ね?」
図星をつかれて、ついアリアと顔を見合わせて頭をかく。来たことのないこの国に、この町並みに、心が躍って仕方ないのだ。緩む頬をぺちんと軽く叩いてみるも、大して効果がないのが自分でも分かる。
「じゃあ、楽しみにしてるわね?」
「任せといて、お気に入りのところに連れてったげるよ」
「え、お気に入りって、トールもしかしてよくお忍びで来てたってこと?」
「……御明察だね、アリア。まぁ、第3王子だから大丈夫だよ」
「いやいや、見つかったらそれ大事でしょ……」
そうしてお喋りに興じているうちに、大通りを外れて寂れた感じのするあたりに差し掛かったところでひときわ大きな揺れとともに馬車が止まった。と、ほぼ同時に金属同士が擦れたような硬質な音が耳に響いた。
「何が、」
ビィィン、と音を立てて、何かが私達の乗る馬車に突き刺さった。ちょうど、私の目の前あたりにそれは突き出している。
鈍い銀色に薄ぼんやりと光っている鋭いそれを、殆ど見たことはなかったけれど何なのかくらいは分かった。……矢じり、だ。
「……なんで矢が……?」
困惑する私とアリアとは対照的に、トールは目を鋭く細めて、左腕で私を、右腕でアリアを包み込むように引き寄せた。
「……んー? どうしたの?」
毛布を引っ被って眠っていたところを、アリアにばしばしと叩き起こされた。若干痛い。ここまでするなんて一体何事、と思って言われた通りに外を見て、唖然とする。
「すごい……!」
赤、青、黄、とカラフルに彩られた町並みに、リリーシェでは見慣れない身軽そうな薄着。活気に溢れていて、皆忙しそうに動き回っている。
「お、到着したらしいね」
同じように眠っていたトールも起きてきた。まだやはり眠いらしく、目を細めて欠伸を噛み殺しながらぐっと体を起こしている。そして懐かしげに目を細めて、一緒に窓を覗き込んできた。
「さっすが夏の国って言われるだけあるよねぇ……」
アリアの言葉に返答代わりに深く頷く。
リリーシェは冬が長くて年中肌寒い冬の国で、フェルシアは夏が長くて年中暑い夏の国。山で隔てられた2つの国は真反対の気候をしているということは学園の地理の授業で習ったから一応知っていたとはいえども、実際に見ると驚かされる。
ずらりと並んだ屋台、そしてそこに売られている数々の品物。見たことがないものもたくさんある。それに、リリーシェでは水色や薄桃色などの淡い色が好まれていたから、眩しく感じてしまうほどの原色に満ちている光景が珍しくて面白くて。私とアリアは窓に齧り付くようにして外を見ることにいつしか熱中してしまっていた。
その様子を見て笑い声を零しながら、そんな私達に提案する。
「落ち着いたらまた3人で見に来ようか」
と。もちろん私もアリアも勢いよく振り向いた。
「いいの? 王族って外に出にくいでしょ?」
「第3王子はまだ身動きが取りやすい立場だからね。諸々の手続きなんかが終わったらにはなるだろうけど。二人とも行きたそうだし、ね?」
図星をつかれて、ついアリアと顔を見合わせて頭をかく。来たことのないこの国に、この町並みに、心が躍って仕方ないのだ。緩む頬をぺちんと軽く叩いてみるも、大して効果がないのが自分でも分かる。
「じゃあ、楽しみにしてるわね?」
「任せといて、お気に入りのところに連れてったげるよ」
「え、お気に入りって、トールもしかしてよくお忍びで来てたってこと?」
「……御明察だね、アリア。まぁ、第3王子だから大丈夫だよ」
「いやいや、見つかったらそれ大事でしょ……」
そうしてお喋りに興じているうちに、大通りを外れて寂れた感じのするあたりに差し掛かったところでひときわ大きな揺れとともに馬車が止まった。と、ほぼ同時に金属同士が擦れたような硬質な音が耳に響いた。
「何が、」
ビィィン、と音を立てて、何かが私達の乗る馬車に突き刺さった。ちょうど、私の目の前あたりにそれは突き出している。
鈍い銀色に薄ぼんやりと光っている鋭いそれを、殆ど見たことはなかったけれど何なのかくらいは分かった。……矢じり、だ。
「……なんで矢が……?」
困惑する私とアリアとは対照的に、トールは目を鋭く細めて、左腕で私を、右腕でアリアを包み込むように引き寄せた。
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