死に戻り令嬢の華麗なる復讐

水瀬瑠奈

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 トール・アンダーソン――師匠の元を初めて訪れてから1週間が経った。やはり知識量が常人とは比べものにならないし、それだけでなく今までにない発想をたくさん持ち合わせている。常軌を逸した、百年に一度の天才というのはこういう人を指すのだと痛感させられるほどに全てが突出して上手なのだ。精密操作、速度、パワー、何においても他人に劣るところが1つもない。これは勝てないと、初めて攻撃系統の魔法を見せられたときは鳥肌が立ってどうしようもない恐怖が沸き起こったほどだ。こんなのまともにやりあったら確実に死ぬ、と思わされるほどのものだった。

 彼は意外にも面倒見がよく、ほとんど毎日、それも5、6時間に渡って今のところ教えてくれている。今もそうだ。

「今の人間は魔法を詠唱してその場で組むことに拘りすぎなんだ」

「と、言いますと?」

「魔道具が魔法より格下のものだと考えているところに原因があるんだがなぁ、にしても酷い。杖を魔力の単なる出力機に留めておくなんて頭の悪いことをしているからこんなにも発動が遅いと言うに」

「師匠は違うんですか?」

「魔導具は詠唱時にしているような魔力回路の組み立てを、先に術式として組み込み書いておいたものを魔石によって発動させることで、魔力を持たないものの使用を可能にするのは知っているか?」

そんな話を出したということはそれを杖に応用して、出力だけでなく魔力回路の組み立てをも杖だけで大方できてしまうようにすべきだと言うことか。

「はい、勿論です。つまり師匠が言いたいのは、術式を杖に書き込んでおくことで即時発動を可能にするべきということですか?」

「理解が早いな。流石と言ったところか」

これだから教え甲斐がある、と言われてついにんまりとすると頭を杖で軽くつつかれた。素直じゃない人だ。

「ともかく術式を書き込む必要があるんだが、実は俺は得意じゃなくってな」

「じゃあ誰が師匠の杖に書き込んだんです?」

「腕のいい魔道具師がいてな、そいつが作ってくれたんだが……まぁこれが気難しい奴でなぁ、お前のもそいつに作ってもらいたいとは思ってはいるが中々難しいかもしれん」

「それって誰なんですか?」

「ミルフィリア・リリーティスとかと巷では名乗っているな。知っているだろう?」

とても有名な魔道具師だ、知らないはずがない。巷で話題で、度々とても高性能かつ複雑なものを売り出してはオークションで値がつり上がっている。ちなみに師匠には負けるがそれなりに頑固で付き合いにくい性格をしているそうな。顔を見たことがあるものは1人としておらず、いつも全身をローブに包んで仮面を被ってでしか人前には現れないそうだ。

「はい、師匠と同じくらいには謎な方ですよね」

「あぁ、気に食わないやつにはふっかけた値段でしか魔道具を売らないんだよな。そもそも貴族連中が魔道具を見下しつつ使っているのが何よりの原因ではあるんだがな……それを除いても奴は非常に気難しい。俺に作ってくれたというのもちょっとした恩があったからってやつだったしな」

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