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第一章
直政の弟
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東は美弥藤家で生活をし始めた当初は口数が少なく、会話をすることがままならかった。
しかし、青は特に積極的に話しかけることはせず、行動を共にすることを心がけていた。愛馬の雲母に乗って浜辺で散歩をしたり、村に偵察に行ったり、武術の稽古をしているときもずっと側にいた。
東を放っておけば、どこかに消えてしまいそうだったのだ。
夜半に、東が魘されている姿を青は見ている。年齢の割には小さく、痩せた身体を丸くさせて『ごめんなさい』と寝言で繰り返す東の姿は痛々しかった。
白人に生まれたというだけで、兄が自害し、父親が断罪され、家が取り潰されてしまったのだ。
決して東のせいではない。
白人に生まれただけで断罪と決めている国が悪いのだ。
だからと言って、気にしなくていい、などという軽薄な言葉を吐く気などなれず、ただ一緒にいることしかできなかった。
時が東の心を癒してくれたのか、東は次第に声をかけてくれるようになり、微笑むことも増えた。
今のように東が楽しそうに話をしてくれることが青は心の底から喜ばしかった。
緩んでしまっていた東の包帯を巻き終えた青に東が言う。
「青さんは、……どうして僕に優しくしてくれるの?」
きゅっと包帯を結んで自分より一回り小さな東の手を手のひらで包み込んだ青は口を開く。
「直政から託された弟だからな」
もう会うことのない兄の名前を聞いてしまったからなのか、東は黙っている。
青は笑みを深くして続けた。
「私のことも本当の姉だと思ってくれていい。おまえをひとりにはしないからな」
「……兄さんに感謝しないとだね」
満月の光に照らされた東の布作面がそよ風に揺れる。表情を窺い知ることはできないが、柔らかな語調からは安堵の色を青は感じた。
しかし、青は特に積極的に話しかけることはせず、行動を共にすることを心がけていた。愛馬の雲母に乗って浜辺で散歩をしたり、村に偵察に行ったり、武術の稽古をしているときもずっと側にいた。
東を放っておけば、どこかに消えてしまいそうだったのだ。
夜半に、東が魘されている姿を青は見ている。年齢の割には小さく、痩せた身体を丸くさせて『ごめんなさい』と寝言で繰り返す東の姿は痛々しかった。
白人に生まれたというだけで、兄が自害し、父親が断罪され、家が取り潰されてしまったのだ。
決して東のせいではない。
白人に生まれただけで断罪と決めている国が悪いのだ。
だからと言って、気にしなくていい、などという軽薄な言葉を吐く気などなれず、ただ一緒にいることしかできなかった。
時が東の心を癒してくれたのか、東は次第に声をかけてくれるようになり、微笑むことも増えた。
今のように東が楽しそうに話をしてくれることが青は心の底から喜ばしかった。
緩んでしまっていた東の包帯を巻き終えた青に東が言う。
「青さんは、……どうして僕に優しくしてくれるの?」
きゅっと包帯を結んで自分より一回り小さな東の手を手のひらで包み込んだ青は口を開く。
「直政から託された弟だからな」
もう会うことのない兄の名前を聞いてしまったからなのか、東は黙っている。
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