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第二十八話 忘れん坊にはkiss!
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◇ ◇ ◇
一発の銃声により、広間は凍り付いた。
打ち落とされたシャンデリアの硝子片が、
辺りに散乱し、硝煙の匂いが立ち込めている。
人々は言葉を失い、息を飲んだ。
「我がグランバニアに楯突く愚か者が」
クラウドは武装集団を一瞥し、
冷めた微笑を浮かべた。
「わが命はくれてやる。が、他の者に手出しは許さぬ」
クラウドは立ち上がり、自ら玉座を降りた。
首謀者がクラウドに銃口を向けてゆっくりと歩み寄る。
首謀者は慇懃な笑みを浮かべ、
その武骨な指がクラウドの端正な顎にかけられると、
クラウドの顔に笑みが浮かんだ。
不思議と死ぬ事は恐くなかった。
王族として生きて死ぬことに抵抗はない。
(しかしなんか少し前にもこんな経験をしたような気がするなぁ)
クラウドの脳裏に映像が過る。
(母上、とっても強面のお兄さんたちが
僕に向かってなんか銃口を向けてるよ?)
親に脅されて、そして結婚したんだっけ?
咽かえるような花の香りとともに、馬車から降り立った少年。
きつく自分を見据える一途な視線に居抜かれて、本当は目が離せなかった。
(そっか、あのときから俺は、
強烈にあいつという存在に捉えられていたんだ)
そしてまた、意識に靄がかかる。
(あいつって、誰?)
その面影が霞んでまた見えなくなる。
渇く。
虚無な心が飢えて、渇いて死にそうになる。
(いっそこんな思いをするくらいなら)
クラウドのこめかみに銃口が押しあてられると、
その冷んやりとした感覚に、クラウドは目を閉じた。
刹那、クラウドに銃口を向ける男が、ぎゃっと悲鳴を上げた。
「薄汚ない手で、そいつに触るな」
漆黒の髪の少女が、自身の洋扇子に仕込んであった短剣を、
投げつけたのである。
短剣は男の手首に突き刺さり、
床には鮮血がしたたっている。
少女は鞘から日本刀を抜き、構える。
「クラウド、お前も男なら、自分の身くらいてめえで守りやがれ」
少女の一声とともに、ケビンが密かに紛れこませていた、
近衛隊が一斉に、テロ組織の人員に攻撃をかけた。
日本刀を掲げる少女の深い闇色の髪と瞳が
クラウドの抉られた記憶のそれと重なる。
クラウドはほとんど無意識に、腕の中に少女を抱き寄せた。
「ちょっ、バカ、お前こんな所で」
その腕の中で、紫龍の腕が空回りしている。
「俺を救って」
哀願するようなクラウドの呟きとともに、
降りてきたのはその唇で……。
「うん?」
そしてクラウドは我にかえる。
腕の中に美少女がひとり。
「いやっ、あの、ごめん。なんかどうも今のは不慮の事故っつうか。
やっぱり俺には嫁がいて。紫龍っつうんだけど、男なんだけど、
俺にはそいつしかいなくって……」
クラウドの言葉に、少女が目を見開くと、
その瞳から涙が溢れ出した。
「ごめん。本当にごめん」
クラウドは本気で焦りながら少女に頭を下げるが、
少女は小さく頭を横に振った。
「お前、思い出したんだな。ちゃんと俺の事」
「俺?」
良家の子女の一人称ではない。
クラウドが怪訝そうな顔をする。
「こんな格好してるけど、俺が紫龍だ。
お前の嫁の紫龍・アストレアだ」
少し頬を染め、美少女が告げた真実に、
クラウドが絶叫する。
「ええ? なんだってぇぇぇぇ!」
一発の銃声により、広間は凍り付いた。
打ち落とされたシャンデリアの硝子片が、
辺りに散乱し、硝煙の匂いが立ち込めている。
人々は言葉を失い、息を飲んだ。
「我がグランバニアに楯突く愚か者が」
クラウドは武装集団を一瞥し、
冷めた微笑を浮かべた。
「わが命はくれてやる。が、他の者に手出しは許さぬ」
クラウドは立ち上がり、自ら玉座を降りた。
首謀者がクラウドに銃口を向けてゆっくりと歩み寄る。
首謀者は慇懃な笑みを浮かべ、
その武骨な指がクラウドの端正な顎にかけられると、
クラウドの顔に笑みが浮かんだ。
不思議と死ぬ事は恐くなかった。
王族として生きて死ぬことに抵抗はない。
(しかしなんか少し前にもこんな経験をしたような気がするなぁ)
クラウドの脳裏に映像が過る。
(母上、とっても強面のお兄さんたちが
僕に向かってなんか銃口を向けてるよ?)
親に脅されて、そして結婚したんだっけ?
咽かえるような花の香りとともに、馬車から降り立った少年。
きつく自分を見据える一途な視線に居抜かれて、本当は目が離せなかった。
(そっか、あのときから俺は、
強烈にあいつという存在に捉えられていたんだ)
そしてまた、意識に靄がかかる。
(あいつって、誰?)
その面影が霞んでまた見えなくなる。
渇く。
虚無な心が飢えて、渇いて死にそうになる。
(いっそこんな思いをするくらいなら)
クラウドのこめかみに銃口が押しあてられると、
その冷んやりとした感覚に、クラウドは目を閉じた。
刹那、クラウドに銃口を向ける男が、ぎゃっと悲鳴を上げた。
「薄汚ない手で、そいつに触るな」
漆黒の髪の少女が、自身の洋扇子に仕込んであった短剣を、
投げつけたのである。
短剣は男の手首に突き刺さり、
床には鮮血がしたたっている。
少女は鞘から日本刀を抜き、構える。
「クラウド、お前も男なら、自分の身くらいてめえで守りやがれ」
少女の一声とともに、ケビンが密かに紛れこませていた、
近衛隊が一斉に、テロ組織の人員に攻撃をかけた。
日本刀を掲げる少女の深い闇色の髪と瞳が
クラウドの抉られた記憶のそれと重なる。
クラウドはほとんど無意識に、腕の中に少女を抱き寄せた。
「ちょっ、バカ、お前こんな所で」
その腕の中で、紫龍の腕が空回りしている。
「俺を救って」
哀願するようなクラウドの呟きとともに、
降りてきたのはその唇で……。
「うん?」
そしてクラウドは我にかえる。
腕の中に美少女がひとり。
「いやっ、あの、ごめん。なんかどうも今のは不慮の事故っつうか。
やっぱり俺には嫁がいて。紫龍っつうんだけど、男なんだけど、
俺にはそいつしかいなくって……」
クラウドの言葉に、少女が目を見開くと、
その瞳から涙が溢れ出した。
「ごめん。本当にごめん」
クラウドは本気で焦りながら少女に頭を下げるが、
少女は小さく頭を横に振った。
「お前、思い出したんだな。ちゃんと俺の事」
「俺?」
良家の子女の一人称ではない。
クラウドが怪訝そうな顔をする。
「こんな格好してるけど、俺が紫龍だ。
お前の嫁の紫龍・アストレアだ」
少し頬を染め、美少女が告げた真実に、
クラウドが絶叫する。
「ええ? なんだってぇぇぇぇ!」
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