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第二十九話 ハッピーエンド
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◇ ◇ ◇
ケビンの指揮のもと、テロ組織は捉えられ、
黒幕のハマンも失脚となった。
マリアは情状酌量の余地はあるとしたものの、
国の転覆に加担した罪を償うために、5年間の幽閉を言い渡された。
判決が言い渡された法廷に寄越されたマリアを護送する為の馬車は、
罪人が乗るそれではなく、装飾こそ目立たぬように仕立てられているが、
貴族がお忍びで使う一級品のものであることが、一目領然だった。
内装に施された装飾を見て、マリアが怪訝そうな顔をする。
やがて王都から、小一時間ほど馬車に揺られて到着したのは
初夏の緑の眩しい小高い丘だった。
「ここは……」
その景色にマリアは涙ぐむ。
そこは有し日に、
ケビンとともに愛を育んだ思い出の場所だったのだ。
「ママっ!」
紅顔の少年が、
野で摘んだ花で作ったブーケをもって、マリアに走り寄った。
「マルセル!」
マリアは目を見開き、
きつく少年を抱きしめた。
「どうしてあなたがここに?」
「このお姉ちゃんが助けてくれたの」
そういって、マルセルはゆっくりとこちらに近づいてくる
亜麻色の髪の少女を指差した。
「初めまして、私はエアリス・シャル・オリビエと申します。
西の国、アストレアの大魔法使いを務めております」
そういってエアリスはマリアに会釈をした。
「西の国、アストレアといえば、紫龍様の?」
マリアははっと顔を上げて、マリアを見た。
「はい、私、紫龍様の命により、
ハマン大臣に捉えられておりました、御子息のマルセル様を結界より助け出し、
僭越とは思いましたが、その御病気を世界樹の葉で治療いたしました」
「なんと……。世界樹の葉は、大変な希少で高価な代物。
恥ずかしながら、私は我が息子を救う為に、
ハマンの策略に加担し、罪に手を染めました。
それは決して許されるものではありません。
クラウド様や紫龍様に与えた苦痛はいかばかりのものでございましょうか。
私はその罪を一生かかって償うつもりでおります」
マリアはそう言って、深く頭を垂れた。
「まあな、そりゃこの代償は高くつくぞ」
そういってマリアに近づいてきたのはなぜだか正装をしているクラウド王子と、
軍服姿の紫龍だった。
軍服は着ているが、紫龍は女の子のままである。
長い黒髪を高く一つに結って、
馬がけ用のブーツをはいている。
紫龍は手に持っていた、
野花で作った花飾りをマリアの首に掛けた。
「これは?」
マリアがきょとんとした顔をする。
「えー、コホン。お前の俺たちへの最大の償いはだなあ」
そう言って丘の上に立つ小さな教会を指差す。
「それはお前が幸せになることだ」
そういってクラウドが微笑んだ。
刹那、教会の鐘が鳴った。
「ほら、早く行きな。新婦さんよう」
涙でくしゃりと顔を顰めたマリアの背中をクラウドが押した。
教会の扉の前には赤毛の男が佇んでいる。
「お前の幽閉先は、俺の所領であるエリクサだ。
5年なんかじゃ許さない、一生涯俺のもとにいる、それがお前の償いだ」
ケビンはマリアをきつく抱きしめた。
◇ ◇ ◇
「いや~感動的な結婚式だったな」
その夜、久しぶりにロッジに戻ったクラウドと
紫龍はお気に入りのジャージに着替え、くつろいでいた。
「いや~じゃねぇ。
記憶が戻ったらいきなりそんな美少女になっていやがって」
クラウドが少し不服そうに唇を尖らせる。
「なに? 気に入らない?」
紫龍は自身の姿をきょろきょろと見た。
「……いい」
クラウドが蚊の鳴くような声で何かを言った。
「え?」
紫龍が聞き返す。
「すっげぇ可愛い!」
クラウドは赤面し、
少し怒ったようにそう言った。
「じゃ、なんで機嫌悪りぃの?」
クラウドの顔を覗きこもうとした紫龍は、
不意にクラウドに抱きすくめられてしまう。
「嫉妬してます、俺。その凶悪に可愛い顔、
もう他の誰にも晒したくないんですけど」
クラウドの言葉にその胸の高鳴りを感じながら、
紫龍は微笑した。
「俺もね、したよ。その嫉妬ってやつ」
紫龍の腕がクラウドの背中にそっと回された。
「お前が俺のこと、忘れっちまって、
他の奴のことを好きになって、すっげぇ悲しかった。
でも俺、それでようやく分かったんだ」
紫龍がクラウドの顔を真剣な眼差しで見つめた。
「今なら胸を張って言える。
俺もお前が好きだ。クラウド」
交わされた口づけに、互いの想いの全てを込めて、
恋人たちの夜は更けゆく。
ケビンの指揮のもと、テロ組織は捉えられ、
黒幕のハマンも失脚となった。
マリアは情状酌量の余地はあるとしたものの、
国の転覆に加担した罪を償うために、5年間の幽閉を言い渡された。
判決が言い渡された法廷に寄越されたマリアを護送する為の馬車は、
罪人が乗るそれではなく、装飾こそ目立たぬように仕立てられているが、
貴族がお忍びで使う一級品のものであることが、一目領然だった。
内装に施された装飾を見て、マリアが怪訝そうな顔をする。
やがて王都から、小一時間ほど馬車に揺られて到着したのは
初夏の緑の眩しい小高い丘だった。
「ここは……」
その景色にマリアは涙ぐむ。
そこは有し日に、
ケビンとともに愛を育んだ思い出の場所だったのだ。
「ママっ!」
紅顔の少年が、
野で摘んだ花で作ったブーケをもって、マリアに走り寄った。
「マルセル!」
マリアは目を見開き、
きつく少年を抱きしめた。
「どうしてあなたがここに?」
「このお姉ちゃんが助けてくれたの」
そういって、マルセルはゆっくりとこちらに近づいてくる
亜麻色の髪の少女を指差した。
「初めまして、私はエアリス・シャル・オリビエと申します。
西の国、アストレアの大魔法使いを務めております」
そういってエアリスはマリアに会釈をした。
「西の国、アストレアといえば、紫龍様の?」
マリアははっと顔を上げて、マリアを見た。
「はい、私、紫龍様の命により、
ハマン大臣に捉えられておりました、御子息のマルセル様を結界より助け出し、
僭越とは思いましたが、その御病気を世界樹の葉で治療いたしました」
「なんと……。世界樹の葉は、大変な希少で高価な代物。
恥ずかしながら、私は我が息子を救う為に、
ハマンの策略に加担し、罪に手を染めました。
それは決して許されるものではありません。
クラウド様や紫龍様に与えた苦痛はいかばかりのものでございましょうか。
私はその罪を一生かかって償うつもりでおります」
マリアはそう言って、深く頭を垂れた。
「まあな、そりゃこの代償は高くつくぞ」
そういってマリアに近づいてきたのはなぜだか正装をしているクラウド王子と、
軍服姿の紫龍だった。
軍服は着ているが、紫龍は女の子のままである。
長い黒髪を高く一つに結って、
馬がけ用のブーツをはいている。
紫龍は手に持っていた、
野花で作った花飾りをマリアの首に掛けた。
「これは?」
マリアがきょとんとした顔をする。
「えー、コホン。お前の俺たちへの最大の償いはだなあ」
そう言って丘の上に立つ小さな教会を指差す。
「それはお前が幸せになることだ」
そういってクラウドが微笑んだ。
刹那、教会の鐘が鳴った。
「ほら、早く行きな。新婦さんよう」
涙でくしゃりと顔を顰めたマリアの背中をクラウドが押した。
教会の扉の前には赤毛の男が佇んでいる。
「お前の幽閉先は、俺の所領であるエリクサだ。
5年なんかじゃ許さない、一生涯俺のもとにいる、それがお前の償いだ」
ケビンはマリアをきつく抱きしめた。
◇ ◇ ◇
「いや~感動的な結婚式だったな」
その夜、久しぶりにロッジに戻ったクラウドと
紫龍はお気に入りのジャージに着替え、くつろいでいた。
「いや~じゃねぇ。
記憶が戻ったらいきなりそんな美少女になっていやがって」
クラウドが少し不服そうに唇を尖らせる。
「なに? 気に入らない?」
紫龍は自身の姿をきょろきょろと見た。
「……いい」
クラウドが蚊の鳴くような声で何かを言った。
「え?」
紫龍が聞き返す。
「すっげぇ可愛い!」
クラウドは赤面し、
少し怒ったようにそう言った。
「じゃ、なんで機嫌悪りぃの?」
クラウドの顔を覗きこもうとした紫龍は、
不意にクラウドに抱きすくめられてしまう。
「嫉妬してます、俺。その凶悪に可愛い顔、
もう他の誰にも晒したくないんですけど」
クラウドの言葉にその胸の高鳴りを感じながら、
紫龍は微笑した。
「俺もね、したよ。その嫉妬ってやつ」
紫龍の腕がクラウドの背中にそっと回された。
「お前が俺のこと、忘れっちまって、
他の奴のことを好きになって、すっげぇ悲しかった。
でも俺、それでようやく分かったんだ」
紫龍がクラウドの顔を真剣な眼差しで見つめた。
「今なら胸を張って言える。
俺もお前が好きだ。クラウド」
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