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59.泣き黒子の美女
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レッドロラインに戻り、
ユウラはアカデミーへの通学を再開した。
ユウラの姿を目敏く見つけたエマ・ユリアスが、
息を切らしてユウラのもとにかけてきたかと思うかと、
「お帰りなさいっ!、ユウラさん」
ユウラをきつく抱きしめた。
「エマさん……」
ユウラは親友の抱擁に少々面喰いながらも、親愛の笑みを返す。
「待ってぇ、エマちゃん。あっ、エマちゃんだけズルイ!
わたしも~」
ナターシャも、ユウラと再会の抱擁を交わす。
「授業中にいきなりの呼び出しだったのですもの。
本当に驚いたわ。
でも、ユウラさんが無事に戻ってきてくれて本当に良かった」
そう言ってダイアナも涙ぐんでいる。
「ありがとう。心配をかけてしまってごめんなさいね。
だけどオリビア様も、ウォルフも、一応の危機は脱して、
ちゃんと無事でいるわ。
それを確認できただけでも良かったと思っているの」
ユウラが目を伏せると、エマが複雑な表情を浮かべた。
「姉上は無事でおられるのだな?」
エドガーが目を見開いて、ユウラに問う。
「ええ、無事でおられます」
ユウラの答えに、心底ほっとしたように、
エドガーが息を吐いた。
「良かった……、本当に良かった」
薄っすらと眦に涙を溜めるエドガーを、
エマがチラリと見やる。
ほんの一瞬、エドガーとエマの視線が交わる。
エドガーはふんっとそっぽを向いて、
先にその視線を逸らした。
「おい、赤髪っ!
お前も……よく無事で戻ったな」
そう言って、エドガーが激しく赤面している。
刹那、廊下の向こう側から、軍靴の音が響いてくる。
視線を上げたその先ににルークに伴われた、
白の士官服を着た黒髪の女が姿を現す。
エマが固まり、
「きゃっ! ルーク教官その女性はどなたですか?
もしかして教官の彼女ですかぁ? めっちゃキレイ!」
ナターシャが目を丸くした。
「違う、違う!
彼女はこのアカデミーで君たちの実技を教えてくれる、
教官だよ」
ルークが屈託なく笑うと、隣で黒髪の女も微笑を浮かべた。
泣き黒子が印象的な、極上の美女である。
「イザベラ・ウェラルドと申します。
よろしくね」
艶な微笑みを浮かべて、
泣き黒子の美女がユウラに手を差し出すと、
「いえ、こちらこそよろしくお願いします」
ユウラがそれを握ろうとした瞬間、
エドガーがそれを振り払った。
「コイツに触れるな! 姉上に怒られる」
エドガーがイザベラにきつい視線を向ける。
そんなエドガーに、イザベラは小さく肩を竦めて見せた。
イザベラを見つめるエマが、目を細める。
「授業が始まりますので、
わたくしたちはこれで失礼いたしますわ」
そう言ってエマが、ルークとイザベラに軽く会釈して背を向けると、
一同がバタバタと、それに従い講義室へと向かう。
エドガーはイザベラを一瞥して、そのまま理事室に向かった。
そんなエドガーに、ルークが目を瞬かせた。
「なんだか随分とエドガー様に
警戒されているようだね、君は」
ルークの言葉にイザベラは曖昧な笑みを浮かべる。
「実はカルシア様に雇われた殺し屋だったりして」
冗談めかしてルークがそう言うと、
「まあ、レイランド教官は想像力が豊かでいらっしゃるのね」
イザベラが面白そうに笑う。
そしてふと、
笑うのをやめてじっとルークを見つめた。
「もしそうだったら、どうなさいますか?」
嘘か誠か、見当のつかないそんな眼差しだった。
熱っぽくもあり、
同時に底冷えのするような空虚さを併せ持つ。
「さあ、どうしようか?」
ルークも食えない笑みを浮かべる。
「まあ、お手柔らかに」
そう言ってルークが、
イザベラの頬に口付けた。
イザベラが目を見開く。
(この私がっ……反応できない……ですって?)
そんなイザベラを振り返り、
ルークがひらひらと手を振って背を向けた。
ひとりその場に残されたイザベラに、
緑の軍服を身に纏った士官候補生が歩み寄った。
「ふぅん。ザマアねぇな……イザベラ。
テメェが男にキスを許し、
あまつさえ反応もできないなんてな。
ひょっとして惚れたか?」
すれ違いざまに、
その人物がイザベラに笑いながらそう囁くと、
イザベラの顔つきが変わる。
「ゼノア……サイファリア……」
イザベラが、憎々し気にその名を呟いて
きつく唇を噛んだ。
「お前は自分の力量もわかんねぇのか?
ルーク・レイランドはお前の手に余る。
この請けから降りろ! イザベラ」
ゼノアは低い声色で、イザベラに告げる。
「戦闘能力という点では、
確かに私はルーク・レイランドには敵わないでしょう。
ですが、やりようはいくらでもあります。
降りるつもりはありません」
あくまでそう言って、引こうとしないイザベラに、
ゼノアは小さく舌打ちした。
「一度依頼を請けたのなら、命を懸けてそれを遂行するのが、
サイファリアの鉄の掟でございます。
わたくしもこの請けには命を懸けております。
ですので首長も決して邪魔をされませんように」
そう言って、イザベラが艶な微笑を浮かべると、
ゼノアが剣呑な眼差しをイザベラに向けた。
「ふんっ! お前、あくまでこの俺に喧嘩を売りたいらしいな。
いいぜ? 買ってやるよ、その喧嘩。
思う存分やってみろよ!
その上で俺は俺の請けを必ず遂行してやるから」
ゼノアが氷の微笑を浮かべて、イザベラに対峙する。
ゼノアもなまじ整った顔つきなので、
表情が剥がれ落ちると、
そこには相手を震え上がらせるだけの
迫力を伴う。
機嫌を損ねた自国の首長に、イザベラは微かに眉根を寄せて
その場を去った。
柱の陰で仮面の女騎士が、きつく服の裾を握りしめている。
その指先が、嫌が応にも震える。
「まあ、そういうことだ」
ゼノアがそう声をかけると、
仮面の女騎士は、自身を制するために小さく息を吐いた。
「なんだ? 仲間割れか?
お前は随分とあの女と仲が悪いらしいな」
そう言って仮面の女は、腕を組んでゼノアを注視する。
「仲間割れ……ねぇ。んな生易しいもんじゃねぇよ。
生まれ落ちたときからの死ぬか生きるか、
殺すか殺されるかの、悪縁でして」
ゼノアがなんとも言えない苦い顔をする。
ユウラはアカデミーへの通学を再開した。
ユウラの姿を目敏く見つけたエマ・ユリアスが、
息を切らしてユウラのもとにかけてきたかと思うかと、
「お帰りなさいっ!、ユウラさん」
ユウラをきつく抱きしめた。
「エマさん……」
ユウラは親友の抱擁に少々面喰いながらも、親愛の笑みを返す。
「待ってぇ、エマちゃん。あっ、エマちゃんだけズルイ!
わたしも~」
ナターシャも、ユウラと再会の抱擁を交わす。
「授業中にいきなりの呼び出しだったのですもの。
本当に驚いたわ。
でも、ユウラさんが無事に戻ってきてくれて本当に良かった」
そう言ってダイアナも涙ぐんでいる。
「ありがとう。心配をかけてしまってごめんなさいね。
だけどオリビア様も、ウォルフも、一応の危機は脱して、
ちゃんと無事でいるわ。
それを確認できただけでも良かったと思っているの」
ユウラが目を伏せると、エマが複雑な表情を浮かべた。
「姉上は無事でおられるのだな?」
エドガーが目を見開いて、ユウラに問う。
「ええ、無事でおられます」
ユウラの答えに、心底ほっとしたように、
エドガーが息を吐いた。
「良かった……、本当に良かった」
薄っすらと眦に涙を溜めるエドガーを、
エマがチラリと見やる。
ほんの一瞬、エドガーとエマの視線が交わる。
エドガーはふんっとそっぽを向いて、
先にその視線を逸らした。
「おい、赤髪っ!
お前も……よく無事で戻ったな」
そう言って、エドガーが激しく赤面している。
刹那、廊下の向こう側から、軍靴の音が響いてくる。
視線を上げたその先ににルークに伴われた、
白の士官服を着た黒髪の女が姿を現す。
エマが固まり、
「きゃっ! ルーク教官その女性はどなたですか?
もしかして教官の彼女ですかぁ? めっちゃキレイ!」
ナターシャが目を丸くした。
「違う、違う!
彼女はこのアカデミーで君たちの実技を教えてくれる、
教官だよ」
ルークが屈託なく笑うと、隣で黒髪の女も微笑を浮かべた。
泣き黒子が印象的な、極上の美女である。
「イザベラ・ウェラルドと申します。
よろしくね」
艶な微笑みを浮かべて、
泣き黒子の美女がユウラに手を差し出すと、
「いえ、こちらこそよろしくお願いします」
ユウラがそれを握ろうとした瞬間、
エドガーがそれを振り払った。
「コイツに触れるな! 姉上に怒られる」
エドガーがイザベラにきつい視線を向ける。
そんなエドガーに、イザベラは小さく肩を竦めて見せた。
イザベラを見つめるエマが、目を細める。
「授業が始まりますので、
わたくしたちはこれで失礼いたしますわ」
そう言ってエマが、ルークとイザベラに軽く会釈して背を向けると、
一同がバタバタと、それに従い講義室へと向かう。
エドガーはイザベラを一瞥して、そのまま理事室に向かった。
そんなエドガーに、ルークが目を瞬かせた。
「なんだか随分とエドガー様に
警戒されているようだね、君は」
ルークの言葉にイザベラは曖昧な笑みを浮かべる。
「実はカルシア様に雇われた殺し屋だったりして」
冗談めかしてルークがそう言うと、
「まあ、レイランド教官は想像力が豊かでいらっしゃるのね」
イザベラが面白そうに笑う。
そしてふと、
笑うのをやめてじっとルークを見つめた。
「もしそうだったら、どうなさいますか?」
嘘か誠か、見当のつかないそんな眼差しだった。
熱っぽくもあり、
同時に底冷えのするような空虚さを併せ持つ。
「さあ、どうしようか?」
ルークも食えない笑みを浮かべる。
「まあ、お手柔らかに」
そう言ってルークが、
イザベラの頬に口付けた。
イザベラが目を見開く。
(この私がっ……反応できない……ですって?)
そんなイザベラを振り返り、
ルークがひらひらと手を振って背を向けた。
ひとりその場に残されたイザベラに、
緑の軍服を身に纏った士官候補生が歩み寄った。
「ふぅん。ザマアねぇな……イザベラ。
テメェが男にキスを許し、
あまつさえ反応もできないなんてな。
ひょっとして惚れたか?」
すれ違いざまに、
その人物がイザベラに笑いながらそう囁くと、
イザベラの顔つきが変わる。
「ゼノア……サイファリア……」
イザベラが、憎々し気にその名を呟いて
きつく唇を噛んだ。
「お前は自分の力量もわかんねぇのか?
ルーク・レイランドはお前の手に余る。
この請けから降りろ! イザベラ」
ゼノアは低い声色で、イザベラに告げる。
「戦闘能力という点では、
確かに私はルーク・レイランドには敵わないでしょう。
ですが、やりようはいくらでもあります。
降りるつもりはありません」
あくまでそう言って、引こうとしないイザベラに、
ゼノアは小さく舌打ちした。
「一度依頼を請けたのなら、命を懸けてそれを遂行するのが、
サイファリアの鉄の掟でございます。
わたくしもこの請けには命を懸けております。
ですので首長も決して邪魔をされませんように」
そう言って、イザベラが艶な微笑を浮かべると、
ゼノアが剣呑な眼差しをイザベラに向けた。
「ふんっ! お前、あくまでこの俺に喧嘩を売りたいらしいな。
いいぜ? 買ってやるよ、その喧嘩。
思う存分やってみろよ!
その上で俺は俺の請けを必ず遂行してやるから」
ゼノアが氷の微笑を浮かべて、イザベラに対峙する。
ゼノアもなまじ整った顔つきなので、
表情が剥がれ落ちると、
そこには相手を震え上がらせるだけの
迫力を伴う。
機嫌を損ねた自国の首長に、イザベラは微かに眉根を寄せて
その場を去った。
柱の陰で仮面の女騎士が、きつく服の裾を握りしめている。
その指先が、嫌が応にも震える。
「まあ、そういうことだ」
ゼノアがそう声をかけると、
仮面の女騎士は、自身を制するために小さく息を吐いた。
「なんだ? 仲間割れか?
お前は随分とあの女と仲が悪いらしいな」
そう言って仮面の女は、腕を組んでゼノアを注視する。
「仲間割れ……ねぇ。んな生易しいもんじゃねぇよ。
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