わがまま王子の取扱説明書

萌菜加あん

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第六十三話お兄様は心配性『花芯』

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「力をぬけ、エリオット」

ゼノアは軽くエリオットに口付けた。

「ふぁっ……んっ、んんん」

ゼノアの腕の中に抱かれて、その指の腹で花芯に触れられると
エリオットは溜まらず、声を漏らしてしまう。

「どこが感じるの? ちゃんと俺に教えて」

ゼノアにそう耳元で囁かれると、羞恥にエリオットは泣きそうになる。
そんなエリオットを横目に見ながら、ゼノアが意地悪く焦らす。

しばらく花芯を弄び、その位置をずらし、
その指の第一関節のところまで奥へと進めると、
淫らな水音を立てて、エリオットはゼノアの指を受け入れた。

生命を宿す場所へと続くその入り口に、
今好きな人が触れている。

羞恥とともにエリオットの中に、全く異なるものがせり上がってくる。

「ゼノア……ゼノアぁ……」

エリオットはその名を呼んで、懇願する。

「何?」

ゼノアはその口元に薄い笑みを張り付けて、
少し目を細めた。

浅い所を緩急をつけて、焦らされると、たまらずエリオットが、
腰を浮かす。

「ちゃんと俺に教えて、どこが感じるのか。
 エリオットはどうして欲しいの?」

小さなこどもに言い聞かせるように、ゼノアがエリオットに囁く。
エリオットはその昂りのために、眦に涙を溜めている。

「奥……もっと……かき回して……欲しいの」

羞恥と熱に浮かされたエリオットの表情に、ゼノアは優越の笑みを浮かべる。

「了解」

ゼノアの指がエリオットの奥へと進められると、エリオットの顔に切なさが過る。

「痛くない?」

そう問われて、エリオットは小さく頷いた。
身体がゼノアを欲しているのだ。
そのことにエリオットは驚いた。

そしてゼノアが自分に与えようとしている快感に、
この身体が歓喜の声を上げている。

生命を宿すその場所へと続く、
固く閉ざされていた蕾が、ゼノアによって開かれていくのを、
この身体が、心が、喜んでいる。

「俺を求めろ、エリオット。
 もっと俺の名前を呼んで、
 俺を求めて」

耳もとで囁かれて、ゼノアの武骨な指が淫らな音を立てて抽挿されると、
エリオットはせり上がってくるその衝動に、たまらず頭を振った。

「こんなのっ……こんなのっ……
 初めてなのに……はしたないわ」

熱に浮かされたように、エリオットは涙を流す。
そんなエリオットの涙を、ゼノアがキスで拭う。

「エリオット……エリオット……構わない。
 淫らなお前も、全部見せて」

ゼノアの指がその場所を探り当てると、
エリオットの身体に電流が走った。

「あっ……あっ……あっ……そこだめぇーーーーー!」

切羽詰まった声を上げたエリオットに、
ゼノアは少し目を細めた。

「ここが感じるのか?」

そして指の腹でそこに触れる。

「あっ……あっ……あっ……、そこに触れてはダメっ!
 赤ちゃんのお部屋の入口なのっ!」

ゼノアはエリオットの懇願をきかず、なおも意地悪く
その場所に触れ続けた。

「ダメってことはないだろう。
 そうではなくて、ここは俺だけが触れていい場所だ」

ゼノアがエリオットの耳元に囁いた。

「俺とお前の子を成す場所だ」

ゼノアの言葉にエリオットが、小さく震えた。

「もうイきそうか? 
 ちゃんと鏡を見ろ。お前が今どれだけエロい顔をしているか、
 ちゃんとわかっているか?
 その切羽詰まって俺を求める表情とか、
 俺に泣いて懇願するお前の眼差しが、
 俺をどれだけ昂らせるのか、お前はちゃんと理解しているか?」

そういってゼノアはエリオットのその部分を擦り上げた。

「お前は俺の腕の中で、俺を感じて達するんだ。
 お前の雌を俺に見せつけてみろ」

ゼノアの腕を掴むエリオットの手に力が込められた。

「あっあああああああっ!」

限界を迎えたエリオットが泣きながら嬌声を上げて果てた。

◇◇◇

弾む息の向こうで、ゼノアが満足そうな笑みを浮かべている。

「初めて……おめてとうございます」

そう囁いてよこすのが癪に障る。
エリオットはゼノアの服を掴んで、がっくりと肩を落とした。
そんなエリオットの頭を、ゼノアが愛おしそうに撫でて口付けた。
これだけのことなのに、エリオットは頭が蕩けそうになる。

「愛してるぞ、エリオット」

しれっとそう囁いてくるゼノアの言葉には嘘はない。
そう言い切れるだけの自信がゼノアにはあるのだろう。

「はいはい」

悔しかったので、わざとそっけなくそう言って
エリオットはゼノアの腕を逃れて立ち上がった。

「え~、もう行っちゃうのかよ。
 素っ気ねぇなあ」

ベッドの中でふくれっ面をしているゼノアにエリオットはキスを一つくれてやる。

「あなた、腕を怪我しているでしょう。
 手当しなくっちゃ」

そういってエリオットは上着を羽織って薬箱を取るために立ち上がった。

「いいよ、別にこんなのかすり傷だしっ。
 それよりも俺はお前ともうちょっと余韻をだなぁ……」

ゼノアはそんなエリオットを目で追いながら、唇を尖らせる。
エリオットはサイドテーブルに薬箱を置いて
ゼノアの背中に抱き着いた。

「私の身体が震えているの、わかる?」

ゼノアの手がエリオットの腕に重ねられた。

「あなたのその傷を見て、どれだけ心が乱れているかわかる?」

エリオットの言葉に、ゼノアは答えない。

「バカっ……」

エリオットはゼノアの背中に顔を埋めた。








 
 



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