変装王寺の嫁さがし

久喜 まいたけ

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ボディーガード② 薫サイド

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今朝のことだ。

小林 実(本当は王寺 譲)がボディーガードがほしいと言い出した。

今まで社長として会社にいたときはボディーガードなんて経費のムダとまで言っていた譲が。

前回のドッチボールで身の危険を感じたから?
私が参加できていれば…

悔やんでも悔やみきれない。

側にいて守るといったのに。

放課後もファンクラブのみなさんに囲まれて結局譲とは会えず。

うまくいかないものっす。

モヤモヤした気持ちでベッドに入る。

譲の為に色々努力した。外見も中身も。

いつかこっちを見てくれるそう思って。

でも譲はいつも外の世界ばかり。新しいことにチャレンジしてしまう。


私はまだ気を引けるまで興味がないのだろうか。

きつくなったパジャマ姿のせいで寝返りもうてない。

今度新しいのを買おう。

なかなか大人サイズでこのアニメキャラクターのものはない。

譲は覚えているだろうか?このアニメのことを。
いつも遊んでいたあの頃を。





社長室の横の秘書室。そこが私の全てだった。

ガラスばりの体育館のようなその広いスペースの一画。

そこには大型液晶テレビやオモチャ。キッチンやらパソコンから参考書まで。

そこで生活できるすべてがそろっていた。

母は反対の仕事スペースで鳴り止まない電話と書類作製におわれていた。

今では考えられないかもしれないがこれでもバリバリのキャリアウーマンだったらしい。

当日の私は、誰も相手してくれない。

裕福なのに孤独だった。私はただ母の仕事を見ていただけだった。

そんな時だ。社長。王寺 雪次郎が孫を連れてやってきた。


初孫で目にいれても痛くないと社内で言いながら歩いて仕事をしないと母が小言をいっていたっけ。

その孫を肩車しながら秘書室まで連れてきた。

「潤子ちゃんみてみぃ~自慢の孫の譲じゃぞ~!」

「おい社長。いいかげん仕事しろ。というかやってくださいまじで。いつまで秘書の私がやらないといけないんですか!!!」

「いいじゃないか~なかなか孫にあえんのじゃ。ちょっとくらい。あ、あと薫ちゃんにも自慢しちゃおうかな。」

「いいから仕事やれ。さもないと殺る!これは携帯部門。これは開発してる試作品のレポート。これは学園関係。ちょっとこっちきてくださいよ!」

「いや!痛い痛いね潤子ちゃん。なんで社長のわしが耳引っ張られてつれていかれるの?」

「仕事しないからっす。薫!譲坊っちゃんと遊んでいて。」

そういって母は社長を引きずりながらいってしまった。

遠くて見えなかったので近くにいって確認してみる。

そこには私と同じくらいだろう。

さらさらな黒髪に整った顔立ち。背景にキラキラエフェクトがかかりそうな可愛い女の子?男の子?が立っていた。

「君女の子?」

私ははじめて若に言った言葉がこれだ。

「はじめまして僕は王寺譲。男だよ。よろしくね。しかし人に名前をたずねるときはまず自分からと教わらなかったのかい?」

「私はずっと一人。話すのも久しぶりだからな。すまなかった。私は薫だ。よろしく」

怒るというかなんで言われるのだろうと思ったが怒りとか感情が当時はなかったんだと思う。

「そうか。気をつけてね。」 

「でわ譲。何して遊ぼうか?」

「薫ちゃんは遊びたいの?」

「いや、母の命令だから。そこは従わないと。」

「?自分の意思じゃなく?君は楽しいかい?」

「楽しいってわからない。私は母が全てだから。」 

「そっか。じゃあおいで見せてあげるよ!」

「?譲。何を見せてくれるの?」

「世界は広いってことさ。さあ僕を信じて。」

そう言って手をさしのべてくれた。それがなければ今の自分はなかったと思う。

それからは輝いた日々だった。

秘書室から抜け出して遊んだ。

パソコンで学んだプログラミングをしたり。

それで儲けたお金で株をやったり。

子どもが遊ぶようなおままごとをしたり、ヒーローごっこをしたり。

いつも一人だけの世界だったのが二人だけの世界になり色がつきワクワクした。

感情というか怒ったり泣いたり笑ったり。

私の表情が豊かになった。誰もおしえてくれなかった世界がいっぱいある。

そして譲はその世界へ手を引いて連れていってくれる。

あの時の譲は絵本の中でしかみたことなかった王子様のように見えた。眩しくてキラキラドキドキした。

その時やったヒーローごっこも。

本当は私がヒロインで王子様を助けるそんな物語をと思ってたが恥ずかしくて。

譲には怪人役をいつもやってもらってた。

人形が私の王子様。逆がよかった。でもできなかった。

もうその頃から恋してたんだ。でもまだ想いを打ち明けられないでいる。

知ってほしいと思う半分。このままの関係を続けたいと思う気持ち半分。

こうしている間にも譲が他の女の子に取られてしまうかもしれない。

あーモヤモヤするっす。

胸がきついのかこれは気持ちの問題なのかわからない。何度目よ寝返りだろう。

もう夜中。早く寝ないと。

そう頭を抱えてた時。

地震?が起きた。譲が危ない。自分の姿など考えず私は家を飛び出していた。

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