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第2章

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正直二人の発言にボケてしまったんじゃないかと心配したが行けばわかると言われ押し切られた。
それからして2週間が経った。
それまでは何処に出してもはずかしくないようにとじいちゃんにみっちりシゴかれていた。

ひたすら体力トレーニング。朝から晩まで走り続けインターバルは筋トレ。
でも…これ大工に関係あるのかな?
じいちゃんいわく、大工は1に体力2に体力3、4がなくて5に体力らしい。
まあ、確かにそうだよね。
おかげでサラリーマン時代に装備したぜい肉を外し85キロあった体重もすっかり減り75キロまで戻した。学生時代にやっていたバスケ選手時代を思い出したよ。
そして、春があっという間に過ぎ5月。マックさんとやらから手紙が届いた。旅立ちは近いんだなと思った。

今日は旅立つ最後の日という事もありゆっくりしている。荷造りも終えて明日からはマックさんのところに丁稚奉公でっちぼうこう、いわゆる修行に行く。
その晩、夕食時にじいちゃんから明日の待ち合わせ場所について聞いた。
「いよいよ明日だな康之。荷造りは済んだのか?」
お茶を啜りながらじいちゃんが言う。
「まあ、大体用意できたよ。あと明日はどうすればいいの?まさか迎えにきてくれるとか?」
冗談で聞いてみた。
「バカ野郎そんなわけねぇだろ!こっちがお世話になるんだから自分から行くに決まってるだろ!まったくゆとり世代の孫を持つと苦労するわ。」
じいちゃんの口が悪いのは知ってるがゆとり世代という単語がでるとは思わなかったな…
としみじみ感じながら聞き返す。
「じゃあ何処行けばいいんだよ?修行のこと聞かされてから、その事について全然話がないじゃないか?!」
「………?あれ言ってなかったか?」
おい、本当にボケてないだろうか?そう思っていたら顔に出てたのかばあちゃんが地図を取り出し俺に渡す。
「まずは東京でて亀戸行きな。そのあとこの地図を見ながら行くんだよ。」
亀戸か~まあじいちゃんたちが前に住んでたところと聞いた記憶がある。
じゃあそこで工務店でもやってるのかな?
亀戸なら近いしそんな心配することないか。
「了解。じゃあこの地図の書かれてるとこいけばいいのね。時間とかは?」
「まあ午後には行かせるといったからそんなに急がなくてもいいんじゃないかね?」
あ、ばあちゃん早く行けとは言わないんだな。
この二人の#面子_めんつ__#を潰さないためにも頑張んないとね。
「あいよ。あとマックさんってどんな人?写真とかないのかよ?初対面だから確認しておきたくてさ。」
「お?そうかそれもそうだな。でもあいつと撮った写真なんて相当前のやつだぞ?これ一枚だけなんだ。」
そう言ってじいちゃんが一枚の白黒写真を見してくれた。
それは集合写真みたいだった。
真ん中にじいちゃん、ばあちゃん。そして従業員かな?7人サイドにいる。みんな小林工務店のヘルメットを持っていた。
「やばいな白黒。あとじいちゃん、ばあちゃんめちゃ若だ。でマックさんってどの人?」
こんな昔の写真じゃわからないと思ったが聞いてみる。
「このばあちゃんの横にいる人がそうだよ。金髪で美少年だったのさ。」
ばあちゃんがそう言って指をさしてくれた。
まじか?!じいちゃんもイケメンだったがマックさんやばいな。背は小さいけど…ばあちゃんはモテてたというのもわかるなー。身内だから褒めるわけじゃないけど凄過ぎでしょ?!
「あの頃は若かったな~この写真のときは27歳くらいか?」
懐かしむようにじいちゃんがつぶやく。
「そうなの?27歳でお弟子さん7人もいたなんて、じいちゃんやるね!」
「そうだろ~?やっぱりじいちゃんの凄さわかっちゃうかー。」
そうやってすぐ調子に乗るのも愛嬌なのかな?
「ともあれ、マックさんの顔もわかったし。まあ、取り敢えず頑張ってきますか!じゃあおやすみ。」
「明日は早く起きるんだよ!」
ばあちゃんの声聞きわかったと頷いて眠りについた。
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