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第3章

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朝、起きたら大変な事になっていた。
「ばあちゃん!ばあちゃん!どうなってるのこれ!(◎_◎;)」
朝洗面所に行き鏡を見た時には絶句した。
髪が抜けてるじゃん?!というか切られててサッパリ通り越してスースーしていた。
「あとこの左手の落書き何?恥ずかしいじゃん!」
台所にいるばあちゃんに向かって叫ぶ。
「なんだい騒がしいさね。康之やっぱりじいちゃんに似てその髪型が似合うね!」
台所からでてきたばあちゃんはそういいながらお弁当をもってきた。
「いやいや、人が寝てる間に髪切っちゃうってどんだけだよ?!あとこの左手の落書き何?」
「だから早く起きるんだよといったじゃないか?起こしても寝てたから切っちまったよ。あとそれは小林工務店のロゴマークみたいなものだよ。マックはお前の顔がわからないから目印みたいなもんだよ。電話も無くて手紙でしかやりとりしてないからね。」
ばあちゃん…なんてアナログチックなんだ。
「あと、康之。これを食べて行きなさい。」
渡されたのは梅干?何年物かわからないくらい熟成されてるな…
「わかったよ。朝ご飯と一緒にたべるわ。」
小林家の朝ご飯はしっかりしている。焼き鮭に海苔、味噌汁にご飯、納豆。そして漬物がある。
じいちゃん云く、ちゃんと朝食べないと1日が始まらないらしい。
さっきの梅干を食べご飯を掻き込む。
すっぱ過ぎて口の中が引きつりそうだった。
そして出発の時、ばあちゃんじいちゃんと向き合いながら最後の挨拶かー。
と思ってたけど結構#呆気ない__あっけない_#ものだった。
頑張って来いと一言じいちゃん。ばあちゃんは小林工務店とプリントされた手ぬぐいとお守りを持たせてくれた。
よっしゃぁぁぁぁぁ。頑張ってくるかね。

電車を乗り継いで亀戸駅をでる。商業施設のビルや車がひしめき合っていて都会な感じだ。
でも裏にはいるとどこか懐かしい商店街がある。
そこがマックさんとの待ち合わせ場所。
まず地図の指示通りにやりますかね。
1、信用金庫で普通預金をつくる。
2、信用金庫の当座預金の新規伝票を3枚
      もらう。
3、そして最後に喫茶店でコーヒーを            
       3つ〔ブラック、カフェオレ、カフ     
       ェモカ〕マスターに頼む。
らしい。

まあまず指定された信用金庫にいってみようか。
扉をあけると古びたATMが一台。中は15畳くらいの広さで接客スペースは5畳くらい。他には剥がれかけたパンフレットのポスターやチラシなどがあった。
そこで普通預金をつくる。修行といえどもお給料は出るみたいだ。
あと窓口のお姉さんに当座預金の伝票をもらった。まあ何か変な顔をされたが気にしない。
いくつか粗品やチラシをもらい、いざ喫茶店へ。
中は静かでカウンターでマスターなのか白髪の老人がコーヒーを淹れていた。
「いらっしゃいませ。」
何にするかとも言わないマスターにすぐに「コーヒー3つ!ブラック、カフェオレ、カフェモカで!」
待ち合わせ時間が迫ってたのでせかしちゃったかな?と思ったが顔色1つ変えずに畏まりました。といってくれた。
まだ5月だけど暑い。そうしてコーヒーを待っているとお店が揺れた。
震度7どころじゃない。俺はひっくり返り、その場から動けなかった。が大声出し叫んだ。
「マスター大丈夫?!グラスとか落ちるかもだから机とかの下隠れないと!」
老人だったから怪我したら大変だ。助けに行かないと!
と思った時にはもう揺れはなかった。
店内はぐちゃぐちゃに違いないと薄らと目をあけたが、そこは何もなかったかのように元のままだった。
「お客様どうかなさいましたか?」
マスターが顔色1つ変えず、#
仏頂面__ぶっちょうずら__#のまま話かけてきた。
「?あれ?今の何だったんだ?」
そして次の瞬間、店の扉が開いた。
「ようやく、おいでなさいましたか康之様。」
そこにはじいちゃんの写真で見せてもらったままの姿のマックさんがいた。
金髪で幼いまだ子どもみたいな美少年がこちらへ駆けてくる。中3から高2くらいの背丈だ。
というかそんなはずないよね。たぶん子ども?孫かな?
「様とかつけなくていいよ。マックさんに頼まれてきたのかな?俺は康之。マックさんのところでお世話になります。マックさんのところまで案内お願いします。ここからどのくらいかな?」
一応、孫でも失礼のないようにしないとね。
そしたら意外な答えが返ってきた。
「何をおっしゃっておられる?私がマックですぞ?こちらこそよろしくお願いしますです。」
「……あれ?」これは冗談かな?それとも孫に同じ名前つけるのかな?
まあ、とりあえず挨拶。
「これからお世話なります!あとここからマックさんの家はどのくらいでしょう?」
「え?召喚してもらったからもう目の前だよ?」
「召喚?目の前に家なんかあったかな?たしか小さな公園とマンションがあったかな?一軒家と勘違いしてました。」
「あれ?師匠から説明を受けてるよね?…まあ、いいやじゃあいこうか!」
マックさんが扉をあける。
薄暗かった喫茶店に光が満ちる。
目がくらんだ。次第に慣れてきて…目を疑った。
あの亀戸のビル街ではなく谷の底にいた。両サイドの絶壁には窓らしき穴が開いていて自然にできたマンションみたいだった。
そして、びっくりしている俺にマックさんは満点の笑顔でこう言った。
「ようこそ異世界へ!!」

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