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③計画
母艦への配備
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生産された九九式双発艦上攻撃機、特に二一型は優先して母艦へ配備されていった。
最初に配備されたのは一航戦の赤城であった。
赤城は元々巡洋戦艦であり、まずはこの巨体で”搭乗員たちに双発艦攻の運用に慣れさせよう!”と山本は考えたのである。
現に、各空母の整備兵や搭乗員が一時的に赤城へ移動となっていた。
最初の内は1機づつ、細心の注意を払いながら着艦作業並びに発艦作業に当たっていたが九九式艦攻は艦載機として設計されており、九七式艦攻などを着艦させるのと難易度は大して変わらなかった。
失速速度がそれなりに高いのは難点だが、双発機にしては軽く許容範囲だった。
格納時はさすがにエンジンごと折り畳むことは出来ないが、エンジンまでなら問題なく折り畳むことが出来、九七式艦攻とさほど変わらない大きさで格納することが出来た。
また、この九九式艦攻は雷爆統合機の側面も併せ持つため赤城の格納庫には九六式艦戦と九九式艦攻だけが艦載されてあった。
これは整備面において大きなプラスとなる。
艦爆や艦攻が同じ機体ならば整備品も統一され、整備手順も同じものになる。
これほど整備兵にとってこれほどうれしいことは無かった。
2か月もすると、赤城の乗組員たちは九九式艦攻の扱いに慣れた。
赤城での成功を受け、連合艦隊並びに海軍航空本部は段階的に現在の艦攻や艦爆を退役させる方向に動いていく。
だが、ここである問題が浮上してきた。
それは軽空母である。
現在、日本海軍では龍驤と鳳翔が軽空母として存在する。
また、空母予備艦と言われる艦艇も5隻ありこれらは全て軽空母となる予定だった。
軽空母の飛行甲板の長さはいくら頑張っても200mそこらであり、幅に至っては23mほどしかなかった。
これでも九九式艦攻の運用は可能ではあるが、やはり制約が掛かるに違いない。
鳳翔は練習空母的な立ち位置なので除外するにしても、将来的にはかならず6隻は軽空母を保有することになる。
となると、軽空母をどのように運用するのかは日本海軍の戦力をかなり変えるに違いなかった。
「…いっそ軽空母艦載機を全て戦闘機としてはどうか」
山本はそう思い付きで言ったが、航空本部長となっていた豊田貞次郎中将は大きく頷いた。
「それは名案です!艦載機を戦闘機だけとすれば爆弾や魚雷などは積む必要がありませんし、戦闘機はかなり小さいですから軽空母の艦載機数は10機ほどは増加するでしょう!」
10機と言うと小さく聞こえるかもしれいないが、前述の通り日本海軍は将来的に6隻の軽空母を保有する。
6隻の空母の艦載機が10機づつ増えればその数は60機。
これは蒼龍型1隻弱の数である。
ほぼ労せずに中型空母並みの戦力が手に入ると考えると、やらない手は無いのである。
翌月、軽空母龍驤はその艦載機を全て艦上戦闘機に改められた。
豊田が睨んだ通り、龍驤の艦載機数は38機から45機までに増加したのである。
最初に配備されたのは一航戦の赤城であった。
赤城は元々巡洋戦艦であり、まずはこの巨体で”搭乗員たちに双発艦攻の運用に慣れさせよう!”と山本は考えたのである。
現に、各空母の整備兵や搭乗員が一時的に赤城へ移動となっていた。
最初の内は1機づつ、細心の注意を払いながら着艦作業並びに発艦作業に当たっていたが九九式艦攻は艦載機として設計されており、九七式艦攻などを着艦させるのと難易度は大して変わらなかった。
失速速度がそれなりに高いのは難点だが、双発機にしては軽く許容範囲だった。
格納時はさすがにエンジンごと折り畳むことは出来ないが、エンジンまでなら問題なく折り畳むことが出来、九七式艦攻とさほど変わらない大きさで格納することが出来た。
また、この九九式艦攻は雷爆統合機の側面も併せ持つため赤城の格納庫には九六式艦戦と九九式艦攻だけが艦載されてあった。
これは整備面において大きなプラスとなる。
艦爆や艦攻が同じ機体ならば整備品も統一され、整備手順も同じものになる。
これほど整備兵にとってこれほどうれしいことは無かった。
2か月もすると、赤城の乗組員たちは九九式艦攻の扱いに慣れた。
赤城での成功を受け、連合艦隊並びに海軍航空本部は段階的に現在の艦攻や艦爆を退役させる方向に動いていく。
だが、ここである問題が浮上してきた。
それは軽空母である。
現在、日本海軍では龍驤と鳳翔が軽空母として存在する。
また、空母予備艦と言われる艦艇も5隻ありこれらは全て軽空母となる予定だった。
軽空母の飛行甲板の長さはいくら頑張っても200mそこらであり、幅に至っては23mほどしかなかった。
これでも九九式艦攻の運用は可能ではあるが、やはり制約が掛かるに違いない。
鳳翔は練習空母的な立ち位置なので除外するにしても、将来的にはかならず6隻は軽空母を保有することになる。
となると、軽空母をどのように運用するのかは日本海軍の戦力をかなり変えるに違いなかった。
「…いっそ軽空母艦載機を全て戦闘機としてはどうか」
山本はそう思い付きで言ったが、航空本部長となっていた豊田貞次郎中将は大きく頷いた。
「それは名案です!艦載機を戦闘機だけとすれば爆弾や魚雷などは積む必要がありませんし、戦闘機はかなり小さいですから軽空母の艦載機数は10機ほどは増加するでしょう!」
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