連合航空艦隊

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欧州戦争

北海海戦

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果たして、イギリス艦隊まで20海里の地点で航空戦が生起した。
40機のFw190は高度を確保して迫りくるイギリス迎撃隊を見据える。
数は同数程度だが、その機種はフルマーだった。
この機体は複座で7.7㎜を8挺装備している。
だが、如何せん鈍重であった。
そんなことはFw190のパイロットの知る所ではないのだが、この時点でもはや勝敗は決しているような物だった。
両者はヘッドオンの形で近づく。
そして先にFw190が4挺の20㎜弾を叩き込んだ。
フルマーは次々と20㎜の餌食となっていく。
両者が通り過ぎた時、フルマーはその数を半分に減らしていた。
ここからはそれぞれ追撃戦に移る。
だが、フルマーの武装である7.7㎜ではFw190は撃墜できない。
結局、Fw190は1機も落伍することなくフルマー戦闘機隊を血祭りに上げた。
戦闘機同士の戦闘が終結した頃、攻撃隊はイギリス艦隊に突撃。
第1目標は空母であった。
イギリス空母からの反撃の芽を潰しておきたかったのである。
500㎏爆弾を装備する機体が次々と2隻の空母にダイブしていく。
イギリス艦隊も対空砲火で対抗したが、戦艦が狙われるとばかり思っていたため空母周辺の護衛艦艇は相対的に少なかった。
結果的にJu87を3機撃墜したが、26機に突入を許してしまう。
急降下爆撃はドイツの十八番であり、命中率は凄まじいものがあった。
アークロイヤルに6発、フューリアスに7発が命中した。
どちらの艦も即座に戦闘力を喪失し、傾き始めていた。
これを見るや攻撃隊の隊長は目標を重巡に変更した。
戦艦へ攻撃すれば被害が大きくなる。
ドイツ海軍航空隊は2隻の空母からなる90機しかないため、おいそれと損害は出せないのだ。
残りは雷装の21機。
21機は7機づつに別れそれぞれ重巡を狙っていく。
まさか自分たちが狙われるとは思わなかった重巡にとっては不幸以外の何物でもなった。
結果的にケント、サセックス、コーンウォールに2発づつ命中。
撃沈とまではいかなかったがこれら3隻は戦闘力を喪失し艦隊から落伍した。


予想外の損害にサマヴィルは頭を抱えながらも、とにかくドイツ艦隊へ突撃を命じた。
そしてその命令から40分後に両者は砲戦距離へ突入することになる。


「敵艦隊、迫ってきます!」
リュッチェンスはその報告に何も動じない。
「航空隊はすでに展開してあるのか?」
「はい、すでに3機の爆撃機が弾着観測を行える状況にあります!」
リュッチェンスは心の中で歓喜した。
(何たる僥倖!これで我々の砲撃精度はぐんと跳ね上がる!)
ただ彼も誇りあるドイツ海軍軍人。
そのような心情は表に出さず、ただ淡々と命令を下した。
「ビスマルク、並びにティルピッツは砲撃用意。他艦は肉薄せよ!」


サマヴィル艦隊にとっての誤算は相手に41㎝砲搭載艦が1隻しかいないと誤認したことである。
彼らも日本とドイツがなにか不穏な動きをしていることは知っていた。
そしてビスマルクの主砲口径が41㎝砲であるということも突き止めていた。
ただし、ティルピッツに関しては情報が収集できていなかったのである。
なのでサマヴィル艦隊は最初からドイツ艦隊を侮っていた。
砲撃戦が始まると双方の41㎝砲が火を噴く。
どちらも砲身の長さなどは同じであるが日本制の41㎝砲の方が性能で勝っていた。
主砲門数では2門ほどドイツ艦隊が劣りながらも観測機のおかげもあり第2斉射で命中弾を得た。
命中したのはネルソンだった。
彼女は2発の41㎝砲弾を喰らい、いきなり第2砲塔が使用不能となった。
これにはサマヴィルも驚きを隠せない。
(なんだと…やられたか。制空権が無いとこれほどまでに不利なのか…)
彼は上空を飛び回る弾着観測機を睨んだがそれで変わることは何もない。
状況は刻々と悪化する。
またも砲弾がネルソンに直撃したのだ。
今度は煙突に命中し、機関出力が大幅に低下。
沈みこそしなかったが艦隊行動にはついて行けなくなった。
ここで3隻の巡洋戦艦が参戦してくる。
彼らはネルソンへの砲撃を集中。
5隻のイギリス戦艦はどうにか目標をこちらに逸らそうと懸命に砲撃したがドイツ艦艇はそのすべてが新型で機動性はイギリス艦隊を凌いでいた。
なので当たらない。
そうしている内に、ついにネルソンが断末魔を上げた。
彼女は6発の41㎝砲弾に8発の35.6㎝砲弾を喰らいついにバイタルポートが抜かれ、航行を停止したのだ。
但しドイツ側もビスマルクに2発の砲弾が命中しており、戦闘行動に支障はないが無傷ではなかった。
砲撃戦はまだ続く。
そうこうしていると装甲艦、重巡洋艦がイギリス艦隊に肉薄してきていた。
ここで先の航空戦で重巡3隻が戦闘不能になったことが効いてくる。
装甲艦と重巡を負わせると11隻のドイツ艦隊に対してイギリス艦隊は健在な重巡が2隻しかいないのだ。
当然、砲火力で押し負ける。
その後に待っているのは雷撃と至近距離での戦艦への砲撃だった。
サマヴィル艦隊にとってはこれらは邪魔者でしかなかったが、戦艦の主砲は如何せん旋回速度が遅く装甲艦や重巡の軌道について行けなかった。
またこの間にドイツ戦艦群による砲撃が継続している。
そして、決定的な出来事が起こった。
砲撃戦の最中、ビスマルクの砲弾があろうことか旗艦フッドの弾薬庫に命中。
フッドはおろか、司令官のサマヴィルすら一瞬のうちに海の藻屑となった。
これによりイギリス艦隊の統率は崩壊。
戦艦達は各個撃破されていき、最後にはとどめの航空攻撃が行われた。
結果的にこの北海海戦ではドイツ側の損害がビスマルク中破、シャルンホルスト大破、プリンツ・オイゲン大破、駆逐艦2隻沈没だったのに対してイギリス側はフッド、レナウン、ネルソン、ロドニー、クイーン・エリザベス、アークロイヤル、フューリアス撃沈、他損傷多数というドイツの大勝利で幕を閉じたのだった。
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