神速艦隊

西太平洋戦争

電子偵察機

ハワイ防衛の矛と盾が強化される中、“眼“に関しても当然強化されていた。
つまり偵察機である。
それだけ精強な矛や盾を持っていたとしても目が見えなければ何もできない。
これまでは陸攻や艦攻がその役割を担ってきたが、もはやそれだけでは手ぬるい。
そこで空技廠は“電探を搭載した偵察機“を開発し、眼をすこぶる良くしようと考えた。
機体は銀河と流星のものを流用したため開発は川の流れのようにするすると進んでいった。
そして2機の偵察機が完成したのである。


艦上電子偵察機彩雲
最高速度：時速610㎞
武装：12.7㎜機銃1挺
プロペラ：直径3.72ｍが4枚
搭乗数：3人
航続距離：時速300㎞で400海里
電探：一号機上電探
全長：11.46ｍ
全幅：14.50ｍ（折り畳み時7.88m）



この彩雲はいざとなれば時速610㎞で敵機の追撃を振り切れる。
また巡航速度も時速400㎞と早く、これで偵察がよりしやすくなった。
彩雲は直掩空母を除くすべての空母に2機が配備されることが決まっていた。


電子偵察機天雲
最高速度：時速640㎞
武装：20㎜機銃4挺、12.7㎜機銃2挺
プロペラ：直径3.72ｍが4枚
搭乗数：7人
航続距離：時速300㎞で1400海里
電探：二号機上電探
全長：15.58ｍ
全幅：20.00ｍ


天雲は彩雲が搭載する電探より性能が良い電探を搭載できた。
また航続距離に関しても彩雲の比ではない。
ただ元が銀河がであるということもありもっぱら航空基地での運用に限られていた。
それでもその長大な航続距離を生かして戦場に長く居座り、敵の情報や味方の誘導などを行える。
彩雲は海軍専用機のような立ち位置だったが天雲に関しては陸軍でもその有用性が認められていた。


これらの電子偵察機は双方とも1943年の9月には制式採用され順次生産されていった。
だが各航空機メーカーは戦闘機や爆撃機等などの生産によりほとんど飽和状態であった。
そこで山本は外交経由でイギリスに”この2機種を生産してほしい！”と直談判。
イギリスはこれを快諾してスピットファイアの生産ラインの一部をそのまま彩雲と天雲の生産ラインに変更した。
既にイギリス海軍は大西洋からUボートを駆逐しつつあり、完成した電子偵察機は喜望峰周りで日本に到着することになっていた。
これに塩沢や堀は顔を綻ばせていたが、実は山本が直談判を行った際にイギリス海軍から”ある提案”があった。
それは今だ調整中でありまだ塩沢と堀には伝えていないが必ず戦局に寄与するものだった。