13 / 31
第1章 ソロキャンパー、大地に立つ(異世界の)
13、ソロキャンパー、資金を手にする。
しおりを挟む****
伯父さんがこの世界に来ていた。
もしかしたら、と思うことはあった。
僕が異世界に来たことで。
伯父さんも7年前のあの日こうやって異世界に来たんじゃないかと。
でも、僕の前の召喚が300年前だと聞いて
伯父さんではないと決めつけていた。
「そうだよな。異世界転移なんて不思議な事があったんだ。それ自体が時空を無視する事もあるって事か」
それにしてもだ。
伯父さんが、僕に色んな事を教えてくれた伯父さんが、尊敬してやまない伯父さんが、僕と同じ様に異世界に来てたなんて・・・。
「どんな偶然だよ・・・」
****
「それにしても、セイ殿とユズル殿に血の繋がりがあったとは・・・、驚きですな」
『『じゃの。しかしまたイレギュラーが増えたの・・・』』
タラちゃんによると、自身が覚えている中で、血の繋がりがあったはぐれ人はやはりいなかったらしい。
増えていくイレギュラーに、さしものタラちゃんも明らかに思案顔だ。
しかし、現状でイレギュラーが続いていてもやる事は変わらない。
マクサーンへ向かい、シブカンに住む神代の者の一人『リヴィアス』に会いに行く事。
一つだけ変わったとすれば、伯父さんの足跡を辿ること位だろう。
マモン様の話によると伯父さんは【神々の収穫】が沈静化した後、この世界を巡る旅に出たらしい。
「生きていらっしゃるかは分からん。人族の寿命は短い故な・・・、だが希望は捨てるな、ユズル殿」
「分かっています。覚悟はしていますが希望は捨てません」
僕にとっては7年前、しかしこの世界では300年前の話だ。生きているとは思えない。
でも、僕にとっては行方が分かっただけでも
嬉しかった。
その後、マモン様から世界の地図を頂いた。
日本地図そっくりの物が来るかとこっそり期待していたが、残念ながらそうではなかった。
今僕達がいるフィーゴ公国、その東にブンゴール連邦があり、南には明確に国が無く「ハヤト」という好戦的な民族が割拠している。
北には「人修羅」と呼ばれる魔族と人族の混血が入り乱れた「グラーゴ王国」という国がある。その先には海峡があり、そこを渡るととてつもなく大きな森林地帯が広がり、その遥か先には霊峰と呼ばれる高く聳える山がある。
タラちゃんによると、その間にも国があるらしいのだけど地図には載ってなかった。
大体の位置関係が分かったところで、マクサーンへ行く為の計画を再考する。
マクサーンに行く為には海を一度渡らなければならない。
その為には公都から西に向かい「トライア」という港町から船に乗る必要がある。
なので、まずは公都の際を流れる川沿いに「トライア」に行く事になった。
****
話が纏まった僕達は手続きを終えたアイーシャ達と合流し、道々で討伐した魔物の討伐報酬を受け取りにギルダーズへ向かう。
素材もギルダーズで売ろうと思っていたのだけど、リゼルさんが「物によっては、ギルダーズ以外の店の方が高く売れる」と言うので、まずはギルダーズで討伐証明、その後観光がてら店々を廻ろうかという事で落ち着いた。
さて、まずはギルダーズギルド本部である。
ギルダーズはフィーゴ公国独自の組織であり、他の国と連携している訳ではないので公都のギルダーズが本部になる。
オ・グーニ支部の数倍はある建物の扉を開けると、左手に食堂、もしくは酒場だろうか、テーブルと椅子が並べられ、多くのギルダーで賑わっている。
右手には10台程のベンチがあり、大きな掲示板の様なものに、依頼書が所狭しと貼り付けられている。
扉をまっすぐ進んだ先には受付や買取用カウンターがあり、数組のギルダーが列をなしていた。
「まずは受付で討伐証明を」とのリゼルさんの言葉に従い、受付のカウンターに並ぶ。
「ギルダーズへようこそ!本日は私、プルエが担当させて頂きます。討伐証明の申請ですか?」
で、出た!出たよ!ここに来ての「エルフ」のお姉さん!やっぱいたか~、エルフ。
銀髪で少しだけ尖った耳、色素は全体的に薄く、体の線も薄い。出る所は出てるけどな!
「・・・ユズルさん?」
何故かアイーシャからの目が冷たい。
・・・解せぬ。
「そ、そうですね、討伐証明をお願いします」
「では、討伐部位を提出して下さいね~」
「は、はい!」
タラちゃんの無限収納から直接出すのはマズいと皆の意見が一致していたので、予め適当な袋に詰め直した、討伐部位をカウンターに並べていく。
内訳は・・・。
**********
ブレードマンティスの顎×10
ヒュージクリケットの瞳×10
ラク―の角×25
メロウボアの鼻×1
クラウンマンティスの冠×1
そして、
ゴラオンスパイダーの頭×1
**********
「これはまた大量ですね!そのうえ、クラウンマンティスに、メロウボア、この蜘蛛は・・・、まさかゴラオンスパイダー!?」
あ、これはマズい気がする・・・。
その予感は辺りの様だ。
ギルド内がざわつく。
「ま、まずは報酬をお渡ししますので、カードをお預かりしますね」
パーティー分必要との事で、4人分のカードをプルエさんに渡す。
「アイーシャ様、5等級ですね。レベルは21、リゼル様、4等級レベル34、今回の討伐でだいぶレベルアップされたようですね!おめでとうございます!で、次が・・・」
そ、それ以上はやめて頂きたい。
「次は、ユズル・イスルギ様、6等級?、レベルが48!?」
ギルド内のざわつきが大きくなる。
ざわつきの大きさに合わせて、デジャブも大きくなる。
「最後に・・・」
本当にやめて頂きたい!切実に。
「タラ様、また6等級??レベルが、が、5、512!?」
嗚呼・・・。
****
ギルド登録時の騒ぎと同じ、いやそれを超える様な大騒ぎの中、僕達は討伐証明の手続きを済ませていく。
(この騒ぎはもう諦めるしかないかな)
ふとタラちゃんの方を見ると、なんだか拗ねた様な顔をしている。
「どうしたんですか?タラちゃん」
『『・・・ってない』』
「え?」
『『上がってない!!』』
「え?何が?」
『『儂だけレベルが上がってない!!』』
・・・子どもか。
「いや、それは仕方がないでしょ?タラちゃんレベル高すぎですもの」
『『それが関係あるのかの!?』』
「あると思いますよ?」
アイーシャが口を挟む。
この世界でのレベルの概念はおおよそ地球でのレベルの概念と同じだった様で、レベルが低いうちは所謂「経験値」が入りやすく、レベルアップもしやすい、レベルが高くなればなるほど「経験値」は入りにくくなりレベルアップしにくくなる。
只、レベルアップについては各々が所属する組織(ギルド、騎士団等)で申請しなければアップしないらしい。
レベル512のタラちゃんがレベルアップしなかったのも当然である。
「要するにタラちゃん様が凄すぎるんですよ」
『『成程の。わしが強過ぎただけという事じゃの?』』
「そうですぅ。さすがタラちゃん様ぁ」
『『そうかそうか、クフフッ』』
只一人、タラちゃんのレベルを知らなかったリゼルさんだけが、口をポカンと開けながら固まっていた。
「・・・あのう」
それにしても、タラちゃんレベル高すぎない?
「宜しいでしょうか?」
「は、はい!すいません」
プルエさんが何か書き込まれた紙を持ってきている。
「こちらが討伐報酬の目録です。御確認を」
目録を受け取ると、中身を確認。
**********
ラク―25体:金貨12枚大銀貨1枚
ヒュージクリケット10体:金貨15枚
ブレードマンティス10体:金貨20枚
メロウボア1体:金貨5枚
クラウンマンティス1体:大金貨7枚金貨5枚
計:大金貨11枚、金貨2枚、大銀貨1枚
**********
おお!これはすごい金額なんじゃないか?
・・・って、あれ?
「あれ?ゴラオンスパイダーの分が入ってないみたいですけど?」
「はい。それについてはお話したい事もございますので、場所を移させて頂いても宜しいですか?」
特別室?もしくはギルド長の部屋行きかな?
こ、これはかなりの高額報酬が期待出来るのでは!?
「はい、分かりました。皆もそれで良いですか?」
皆の首肯を確認して「ではこちらへ」と促すプルエさんの後を付いていく。
ギルドの奥、重厚な扉の前へ案内されるとプルエさんがその扉をノックする。
「入ってくれ」
扉の所為でくぐもっているが、それでも力強さを感じさせる声が返ってきた。
「失礼いたします」とプルエさんを先頭に部屋の中に入ると、想像していたよりもずっと簡素で、質実剛健という感じのする室内だった。
「先程お話した皆様をお連れしました」
「御苦労、ああ、プルエはそのまま残ってくれるか?後の処理もある事だしな。それと皆さんはこちらに腰かけてくれるか?」
と、ギルドの長なのであろう、いかにも歴戦の猛者といった感じの男性がソファーに座る様勧めてくる。
「さて・・・、初めまして皆さん。私はギルダーズギルドのギルド長を務めている「マロン・コットデール」だ。今日は呼び出しに応じてくれて感謝する」
マロンさん、心の中で「栗さん」と呼ぶことにする。
「ゴラオンスパイダーについてだが、証明部位については確認できた。それで・・・、素材についてだが、何かお持ちかな?例えば「足」であったり「牙」であったり・・・、如何だろうか?」
僕はゴラオンスパイダーとの戦いについてマスターに説明した後「これだけですが・・・」と爆散した後に残っていた素材を、タラちゃんに出してもらう。
「ほう!タラ殿は「空間収納」をお持ちか!成程、討伐数の割に荷物が少なかったのはそういう訳か」
後でタラちゃんに聞いたのだけど、タラちゃんの袋は「無限収納」、容量に制限がある「空間収納」とは、比べ物にならない程レアらしい。国宝どころの話ではないみたいだ。
話を戻す。粉々になったゴラオンスパイダーから僕たちがなんとか回収できた素材は「牙×1」「足(爪付き)×3」「足(爪無し)×1」そして討伐部位の頭。そう多くはない。
「少ないですが」とテーブルに並べると、栗さんは「これだけあるならば充分だ」とニコニコ顔だ。
なんでも、ある程度強力な武器の素材になるらしく、最近自身の武器を壊してしまった栗さんは武器の素材を捜していたとのこと。
そこに僕たちがゴラオンスパイダーの討伐証明を申請。
「これは千載一遇のチャンス!」とばかりに、部屋へ来てもらったという訳だった。職権乱用かよ。
「で、だ。牙と爪付きの足を2つ個人的に買わせて貰いたい。牙はナイフに、足は弓に加工したいのでな」
「それは構いませんが、討伐報酬もお願いしますよ?」
「勿論だとも!討伐報酬が大金貨15枚だな。これはギルド規定の金額だ。そして素材についてだが、牙が金貨5枚、足が大金貨1枚、合わせて大金貨2枚と金貨5枚でどうだ?」
相場が分からないが金額に不満はない。それに、ここで栗さんに好印象を与えておくのは悪いことではないと考え、皆に確認をとる。
皆もそれで構わないといった感じなので「ではそれで」とマスターに返事をする。
「ありがとう!これでやっと私も討伐に出れる!助かった!」
「いえいえ、こちらこそ懐が寂しかったので。助かりました」
「残りの素材は返すとして、・・・もう一つ相談なのだが・・・」
「? なんでしょう?」
「メロウボアの肉、売ってくれんか?」
・・・食いしん坊万歳!
**************************************
追記:ユズル達がいる世界の位置関係を図にしてみました。
テケトーにイラレで線引っ張っただけなので、下手とか絵心( ´,_ゝ`)プッとかは勘弁してくだせえ。
まあ、下手なんですけどねw
0
あなたにおすすめの小説
転生したら世界一の御曹司だった〜巨乳エルフメイド10人と美少女騎士に溺愛されています〜
まさき
青春
異世界転生した最強の金持ち嫡男、
専属エルフメイドと美少女騎士に囲まれて至福のハーレム生活
現代日本で「地味だが実は超大富豪」という特殊な人生を送っていた青年は、ある日事故で命を落とす。
しかし目を覚ますと、そこは魔法と様々な種族が存在する異世界だった。
彼は大陸一の富を誇る名門貴族――
ヴァン・バレンティン家の嫡男カイルとして転生していたのだ。
カイルに与えられたのは
・世界一とも言える圧倒的な財力
・財力に比例して増大する規格外の魔力
そして何より彼を驚かせたのは――
彼に仕える十人の専属メイド全員が、巨乳美少女だったことである。
献身的なエルフのメイド長リリア。
護衛騎士でありながら隙あらば誘惑してくる女騎士シルヴィア。
さらに個性豊かな巨乳メイドたち。
カイルは持ち前の財力で彼女たちの願いを叶え、最高級の装備や生活を与えていく。
すると彼女たちの忠誠心と愛情はどんどん加速していき――
「カイル様……今日は私が、お世話をさせてください」
領地を狙う貴族を金と魔力で圧倒し、
時にはメイドたちの愛が暴走して甘すぎる時間に巻き込まれながらも、
最強の御曹司カイルは
世界一幸せなハーレムを築いていく。
最後までお読みいただきありがとうございました。よろしければ応援をお願いいたします。
転生後はゆっくりと
衣更月
ファンタジー
貧しい集落で生まれたリリは、生まれた瞬間から前世の記憶があった。
日本人特有の”配慮”に徹した赤ん坊を演じていたことで、両親から距離を置かれた挙句、村人からも「不気味な子」として敬遠されることに…。
そして、5才の誕生日に遠くの町に捨てられた。
でも、リリは悲観しない。
前世の知識チートは出来ないけど、大人メンタルで堅実に。
目指すは憧れのスローライフが出来るほど、ほどほどの守銭奴としてリリは異世界人として順応していく。
全25話(予定)
ユーヤのお気楽異世界転移
暇野無学
ファンタジー
死因は神様の当て逃げです! 地震による事故で死亡したのだが、原因は神社の扁額が当たっての即死。問題の神様は気まずさから俺を輪廻の輪から外し、異世界の神に俺をゆだねた。異世界への移住を渋る俺に、神様特典付きで異世界へ招待されたが・・・ この神様が超適当な健忘症タイプときた。
酒好きおじさんの異世界酒造スローライフ
天野 恵
ファンタジー
酒井健一(51歳)は大の酒好きで、酒類マスターの称号を持ち世界各国を飛び回っていたほどの実力だった。
ある日、深酒して帰宅途中に事故に遭い、気がついたら異世界に転生していた。転移した際に一つの“スキル”を授かった。
そのスキルというのは【酒聖(しゅせい)】という名のスキル。
よくわからないスキルのせいで見捨てられてしまう。
そんな時、修道院シスターのアリアと出会う。
こうして、2人は異世界で仲間と出会い、お酒作りや飲み歩きスローライフが始まる。
【しっかり書き換え版】『異世界でたった1人の日本人』~ 異世界で日本の神の加護を持つたった1人の男~
石のやっさん
ファンタジー
12/17 13時20分 HOT男性部門1位 ファンタジー日間 1位 でした。
ありがとうございます
主人公の神代理人(かみしろ りひと)はクラスの異世界転移に巻き込まれた。
転移前に白い空間にて女神イシュタスがジョブやスキルを与えていたのだが、理人の番が来た時にイシュタスの顔色が変わる。「貴方神臭いわね」そう言うと理人にだけジョブやスキルも与えずに異世界に転移をさせた。
ジョブやスキルの無い事から早々と城から追い出される事が決まった、理人の前に天照の分体、眷属のアマ=テラス事『テラスちゃん』が現れた。
『異世界の女神は誘拐犯なんだ』とリヒトに話し、神社の宮司の孫の理人に異世界でも生きられるように日本人ならではの力を授けてくれた。
ここから『異世界でたった1人の日本人、理人の物語』がスタートする
「『異世界でたった1人の日本人』 私達を蔑ろにしチート貰ったのだから返して貰いますね」が好評だったのですが...昔に書いて小説らしくないのでしっかり書き始めました。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
高校生の俺、異世界転移していきなり追放されるが、じつは最強魔法使い。可愛い看板娘がいる宿屋に拾われたのでもう戻りません
下昴しん
ファンタジー
高校生のタクトは部活帰りに突然異世界へ転移してしまう。
横柄な態度の王から、魔法使いはいらんわ、城から出ていけと言われ、いきなり無職になったタクト。
偶然会った宿屋の店長トロに仕事をもらい、看板娘のマロンと一緒に宿と食堂を手伝うことに。
すると突然、客の兵士が暴れだし宿はメチャクチャになる。
兵士に殴り飛ばされるトロとマロン。
この世界の魔法は、生活で利用する程度の威力しかなく、とても弱い。
しかし──タクトの魔法は人並み外れて、無法者も脳筋男もひれ伏すほど強かった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
