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第4話:神戸地震と多くの銀行の破綻とその理由
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7月には、企業の求人票・説明会が解禁され就職戦線が始まり大勢の学生たちが、会社説明会に参加した。1995年1月17日、早朝、5時46分に発生した兵庫県淡路島北部を震源とする大地震が、起こった。
最初、NHK、朝6時のニュースで、ヘリコプターから阪神高速の橋脚が折れている映像が映し出され愕然とした。さらに神戸駅周辺から多くの火の手が上がっている様子が、テレビにい映し出された
その他、鉄筋コンクリートのビルの1階が、完全につぶれているショッキングな映像が流れ、背筋が。凍る思いをした。その後、大きな家財道具が倒れ沢山の人が亡くなったと報道された。この日は、このニュースで、会社でも持ちきりであった。
関西出身の社員たちは、電話かけてもつながらないと言った。また、大阪から神戸に繋がる国道は、大渋滞で動きが取れないと語っていた。そこで、その後、大型船を使っての救援物資の輸送が始まった。
被災して家を失った大勢の人々が、寒中の中、焚火「たきび」にあたっている姿を見て、気丈な四宮俊二も涙を流した。1995年8月30日18時。神戸・ポートアイランドにある神戸商工会議所。報道陣は、第二地銀トップの兵庫銀行頭取、吉田正輝の言葉にかたずを飲んだ。
「自主再建を目指したが、景気低迷や阪神大震災で資産内容が悪化し、負の遺産を穴埋めできなかった…」預金量2兆5千億円。戦後初の銀行破たんだった。
同じころ、大阪では信組トップの木津信用組合が破たん。大阪近郊、在住の庶民たちが、窓口に預金を引き出そうと殺到し、怒号が、飛び交った。金融機関が、最も恐れる預金の取り付け騒ぎである。その悪夢が、現実となった。
「その後、大蔵省では蔵相の武村正義が会見し、住専問題は残るが、個別金融機関の処理問題はヤマを越したと平静を装った」
しかし、その言葉を信じるものは、誰一人いなかった。
「今から思えば、日本経済の曲がり角であり、今に続く危機の始まりだった」
東京・信濃町。社団法人金融財政事情研究会の理事長室で、吉田は、静かに語った。兵庫銀行の最後の頭取、吉田正輝は、大蔵省銀行局長、日本銀行理事などを歴任した。
そして、1993年6月に神戸へ赴任。故長谷川寛雄の下、積極経営を展開し1971年には、香川県の高松相銀を吸収。兵庫銀行の危機的状況後に頭取を担当して危機からの回復を達成し、多大な功績があった、まさに「中興の祖」であった。
その後も、池田銀行の合併を画策するなど、拡大路線を走った。次々につくったノンバンクが、バブル期に不動産融資に傾斜した。それが裏目に出た。バブル崩壊とともに、不良債権は雪ダルマ式に増えた。
ノンバンクの債権が焦げ付いた。破たん前の不良債権は、1兆5千億円、うち回収不能分は、7千9百億円に上った。兵庫銀行、破たんに代表される第一次金融危機。前兆は1994年にあった。東京で東京協和と安全の2信組が破たん。
乱脈経営が明らかになるにつれ、国会は混乱。金融機関の破たん処理に原則すらないことが明らかになる。大蔵省銀行局長の西村吉正は1995年6月、2信組処理の混乱を教訓に、「金融システムの機能回復について」と題する基本方針を発表する。
金融機関の破たん認定までの流れを、当局の裁量からルール化する「早期是正措置」の導入を明示。さらに預金保険の発動に言及、「五年間はペイオフしない」の文言を盛り込んだ。今なお国民の大きな関心を集める政策が、国民の目にとまった最初の年だった。
金融機関の破たんに際し、預金保険が預金を払い戻す仕組みで、預金者を安心させることが狙いだ。だが、預金保険法は保護する預金を一千万円までとし、全額保護しないとの考え方に基づいていた。
二信組の処理をめぐり、「ペイオフ発動」の声も上がる中、西村は最後まで反対した。
「当時、国民は銀行がつぶれるなどとは思ってもいない。預金が全額戻らないと分かればどうなったか…」。
吉田は、大蔵の大物OB、その様な人物が、第二地銀トップにつくこと自体、異例中の異例。
「いかに収拾するか。それが、私の使命だった」
兵庫銀行の当時の頭取、吉田正輝は、語った。
最初、NHK、朝6時のニュースで、ヘリコプターから阪神高速の橋脚が折れている映像が映し出され愕然とした。さらに神戸駅周辺から多くの火の手が上がっている様子が、テレビにい映し出された
その他、鉄筋コンクリートのビルの1階が、完全につぶれているショッキングな映像が流れ、背筋が。凍る思いをした。その後、大きな家財道具が倒れ沢山の人が亡くなったと報道された。この日は、このニュースで、会社でも持ちきりであった。
関西出身の社員たちは、電話かけてもつながらないと言った。また、大阪から神戸に繋がる国道は、大渋滞で動きが取れないと語っていた。そこで、その後、大型船を使っての救援物資の輸送が始まった。
被災して家を失った大勢の人々が、寒中の中、焚火「たきび」にあたっている姿を見て、気丈な四宮俊二も涙を流した。1995年8月30日18時。神戸・ポートアイランドにある神戸商工会議所。報道陣は、第二地銀トップの兵庫銀行頭取、吉田正輝の言葉にかたずを飲んだ。
「自主再建を目指したが、景気低迷や阪神大震災で資産内容が悪化し、負の遺産を穴埋めできなかった…」預金量2兆5千億円。戦後初の銀行破たんだった。
同じころ、大阪では信組トップの木津信用組合が破たん。大阪近郊、在住の庶民たちが、窓口に預金を引き出そうと殺到し、怒号が、飛び交った。金融機関が、最も恐れる預金の取り付け騒ぎである。その悪夢が、現実となった。
「その後、大蔵省では蔵相の武村正義が会見し、住専問題は残るが、個別金融機関の処理問題はヤマを越したと平静を装った」
しかし、その言葉を信じるものは、誰一人いなかった。
「今から思えば、日本経済の曲がり角であり、今に続く危機の始まりだった」
東京・信濃町。社団法人金融財政事情研究会の理事長室で、吉田は、静かに語った。兵庫銀行の最後の頭取、吉田正輝は、大蔵省銀行局長、日本銀行理事などを歴任した。
そして、1993年6月に神戸へ赴任。故長谷川寛雄の下、積極経営を展開し1971年には、香川県の高松相銀を吸収。兵庫銀行の危機的状況後に頭取を担当して危機からの回復を達成し、多大な功績があった、まさに「中興の祖」であった。
その後も、池田銀行の合併を画策するなど、拡大路線を走った。次々につくったノンバンクが、バブル期に不動産融資に傾斜した。それが裏目に出た。バブル崩壊とともに、不良債権は雪ダルマ式に増えた。
ノンバンクの債権が焦げ付いた。破たん前の不良債権は、1兆5千億円、うち回収不能分は、7千9百億円に上った。兵庫銀行、破たんに代表される第一次金融危機。前兆は1994年にあった。東京で東京協和と安全の2信組が破たん。
乱脈経営が明らかになるにつれ、国会は混乱。金融機関の破たん処理に原則すらないことが明らかになる。大蔵省銀行局長の西村吉正は1995年6月、2信組処理の混乱を教訓に、「金融システムの機能回復について」と題する基本方針を発表する。
金融機関の破たん認定までの流れを、当局の裁量からルール化する「早期是正措置」の導入を明示。さらに預金保険の発動に言及、「五年間はペイオフしない」の文言を盛り込んだ。今なお国民の大きな関心を集める政策が、国民の目にとまった最初の年だった。
金融機関の破たんに際し、預金保険が預金を払い戻す仕組みで、預金者を安心させることが狙いだ。だが、預金保険法は保護する預金を一千万円までとし、全額保護しないとの考え方に基づいていた。
二信組の処理をめぐり、「ペイオフ発動」の声も上がる中、西村は最後まで反対した。
「当時、国民は銀行がつぶれるなどとは思ってもいない。預金が全額戻らないと分かればどうなったか…」。
吉田は、大蔵の大物OB、その様な人物が、第二地銀トップにつくこと自体、異例中の異例。
「いかに収拾するか。それが、私の使命だった」
兵庫銀行の当時の頭取、吉田正輝は、語った。
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