陰陽師の末裔

１９話：雨宮と栗山の結婚と米軍機墜落事故

　その後、一段落すると、冷蔵庫の野菜室に入れてあったビスケットを取り出してきて、珈琲を飲みながら、それを食べた。そして、栗山さんは、きれい好きで、洗濯を干した。掃除が終わると１０時過ぎで、デパートでも行かないと雨宮が、誘った。

　君に世話になったのだから、今日は、僕が、おごるからと言うと、栗山さんが、喜んで、美味しい物を食べようと言った。外に出ると、今日も暑い、一番近い、デパートに入ると、冷たいビールを頼んだ。

　そして、ポテトフライ、ハンバーグ定食、フライドチキンとサラダを取って、ゆっくりと食べた。その時、雨宮が、ゆっくりとした口調で、僕と結婚しないと突然言い出した。それに、何て答えたら解らず、栗山は、困って黙った。

　急に、言われても困るものなと、雨宮が、言い、できたら、結婚したいと思っただけさと話すと、栗山は、言ったことには責任持ちなさいようねと、起こった口調で、反論した。もちろん、無責任な発言ではないとムキになった。

　すると、栗山の顔が、安心したように柔和になり、結婚の日取りと場所を決めましょうと言い出した。しかし、数分後、焦って結婚式するより、すむところを探し、第一、お金を貯めましょうと言い出した。

　その変わり身の早さに、女って、駆け引きが、上手だなと、栗山が、彼女の行動を見ていた。そして、栗山が、僕は、君と結婚したいだけで、その他、具体的なことは、全て、君に任せ、後からついて行くと笑顔で言った。

　わかった、でも、しっかり、金を稼ぎなさいよと、言い切った。貧乏なんて、絶対嫌だからねと、笑いながら、告げた。了解、しっかり働き、投資で稼いで、君を大切にし、楽しい家庭を築きますと栗山が言った。

　すると、彼女が、指切りねと言い、突然、指切りげんまんをしてきた。面白いね、意外と子供っぽいねと、栗山が笑った。しかし、彼女の目に、涙が浮かび始めたのを、栗山は、見逃さなかった。

　その後、雨宮が、栗山家を訪ね、結婚したいと話し、両親から了解をもらった。そして、１９７７年１２月２４日、雨宮と栗山は、結婚届を地元の役所に提出して、正式に結婚し、栗山朋子が雨宮朋子となった。

 １９７７年、９月１７日１３時過ぎ、厚木基地「厚木海軍飛行場」を離陸し、太平洋上の航空母艦・ミッドウェイに向かおうとしたアメリカ海兵隊の戦術偵察機ファントムが、離陸直後に燃料満載の状態でエンジン火災を起こした。

　乗員２名は、射出座席を用いて緊急脱出し、パラシュートで、神奈川県横浜市青葉区鴨志田町に着地した後、海上自衛隊第71航空隊のヘリコプターに収容されて基地に無事帰還した。

　一方、放棄され、制御を失った機体は５キロ離れた、荏田町・大入公園付近の住宅地に墜落した。火だるまになった機体の破片を周囲３００メートルから４００メートルに飛び散らせ、周辺の家屋２０戸を炎上・全半壊させた。

　事故発生から１０分後の１３時２３分に出動した海上自衛隊のＳ-６２Ｊ救難ヘリコプターは、１３時２５分頃黒煙を目撃、３０分頃事故現場上空に到着した。既に消防車が来ているのを確認した上でパイロットを収容。

　再度事故現場上空に状況を確認「放水が開始されていた」上で、基地に帰還した。これとは別に４０名ほどの陸上救難隊が編成され事故現場へ向かう準備をしたが、事故現場が基地から約１８キロと離れていた事と消防の救援活動が開始されたので出動しなかった。

　アメリカ軍関係者は、1時間後の１４時２０分に現場に到着し、日米地位協定「第２条」を盾に真っ先に現場周囲の人たちを締め出した後、エンジンなどを回収。この作業の際には笑顔でピースサインを示して記念撮影をおこなう兵士もいたと言う。
＊写真は「パパ・ママ・バイバイ」のビデオのシーンです。

　墜落地周辺では、火災により一般市民９名が負傷、周辺の人々により次々に車で病院に搬送されるも、うち３歳と１歳の男児２名の兄弟は、全身火傷により、翌日の未明までに相次いで死亡した。

　また兄弟の母親である２６歳の女性も全身にやけどを負い７０回にも及ぶ皮膚移植手術を繰り返しながら長期間にわたり入退院を繰り返した。移植する皮膚は夫と父親の提供する分だけではとても足りず、新聞で提供者を募った。