陰陽師の末裔

ハリマオ65

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38話:タリバンの崩壊と奥さんの早期退職

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 一方で、ブッシュ大統領は、この戦いはイスラーム教徒を相手にする十字軍の戦い「クルセード」と表明し、世界各地のイスラーム教徒の反発が起きたため発言を取り消したが、イスラーム圏では反米暴動が各地で起きた。

 2001年10月7日、アメリカ・イギリス軍「有志連合」は、インド洋の艦船から戦闘爆撃機による攻撃を開始、また潜水艦から巡航ミサイルを発射して、カーブルのターリバーン政権中枢やアルカーイダの訓練所などの空爆を開始した。

 この空爆でアフガンに投下された爆弾は、第二次世界大戦中、1941年から42年のロンドン大空襲でドイツ軍が投下した爆弾の半分に相当する1万トンに達した。空爆に加えて、武器や砲弾の援助を受けた反ターリバーンの「北部同盟」が攻勢に出た。

 そして、マザリシャリフ、ヘラート、首都カーブルを制圧した。アメリカ・イギリス地上部隊は最後のターリバーンの本拠カンダハール攻略に参加した。こうして戦闘2ヶ月でターリバーン政権は崩壊した。

 アフガニスタンでは、その後、アメリカ軍の支援のもとで戦う「北部同盟」は、もともとはターリバーンの主体であるパシュトゥーン人以外のアフガン人であるタジク人やウズベキ人の部族長が寄り集まった軍閥集団。

 かつてのソ連軍の侵攻の際には、パシュトゥーン人もその他の部族もゲリラ兵として協力して戦った仲間。アメリカ軍に支援された北部同盟は、2001年末までにターリバーン政権を首都カーブルから追い出し、権力を奪回した。

 これによってアフガニスタン人同士だけで戦う「アフガニスタン内戦」から、アメリカ軍と政府軍対ターリバーンという構図になった。また、アメリカ兵に助けられている政府軍よりもターリバーン兵を味方と感じる者が多く、ターリバーンの勢力はじりじりと回復していった。

 日本も9月11日の米同時多発テロ直後、米国支持を表明した小泉首相は、米軍などが報復攻撃に踏み切った場合の自衛隊による後方支援などを盛り込んだ7項目の対応策を発表。

 これを踏まえ、政府は後方支援を可能とするためテロ対策特別措置法案を国会に提出、10月29日に成立した。同法に基づき、海上自衛隊の艦艇3隻が11月下旬、インド洋に派遣された。

 ウサマ・ビンラディン容疑者のイスラム原理主義テロ組織アルカイダをかくまうアフガニスタンのタリバン政権に対し、空爆を中心とした激しい軍事攻撃を実施した。この攻撃で首都カブールは陥落しタリバン政権は崩壊。

 2001年8月、雨宮朋子の勤める銀行で早期退職者を募集し始めた。それによると60歳定年、1年前なら通常の退職金に10%上乗せで、最大、50歳、10歳前なら予定退職金の2倍のもらえると言う。

 この話を雨宮朋子は、夫の雨宮ほたるに話すと、50歳になるのはいつと聞かれ2001年11月と答えた。すると、君が、早期退職したら退職金いくらになるのと聞くと、2倍の4600万円と答えた。

 それに対して、雨宮ほたるは、私は、早期退職しても良いと思うけどどうだと、聞き返した。経済的に大丈夫ならそうしたいわと答えた。大丈夫だよと言うと、早期退職に応募しますと語った。9月に、雨宮時雄は、NECを受験し、内定の通知を受けた。

 その後、卒業論文を書き終わり、提出し、受理された。新横浜からNECの研究所に約40分かけて通勤を始めた。最初の1ケ月は、会社での心構えや頭に入れておくべき情報を学ぶ研修の日々が続いた。

 そして、9月から、上級研究員の助手を務めて、指示通りにデータを作成する仕事に従事した。東京電力が、家庭用光ファイバー・サービスとして「TEPCOひかり」のサービスを開始。雨宮時雄の家で、このサービスを契約し光インターネットのサービスを受け本格的にインターネットを開始。

 11月、雨宮朋子は、上司の課長に銀行の早期退職制度に応募してますと答え、退職し、退職金4600万円を手にした。その結果、今までの彼女の貯金が2000万円と合わせて、総資産が6600万円となった。雨宮ほたるは、それを知り、しっかり貯めたなと笑った。
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