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ハリマオ65

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12話:サブプライムの前兆と世界情勢

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 2004年6月30日の連邦公開市場委員会「FOMC」から政策金利は、引き上げに転じた。2004~2006年にかけてアメリカでは、本格的な住宅ブームが、起こった。

 そして、低利の2段階変額ローンにより募集された不動産担保ローンが大量に組成された。その後、少なからぬ利用者が、住宅価格の上昇の恩恵を受けた。この住宅ローンの個別債権は、欧米の主要銀行がSPVなどを利用してMBSに証券化した。

 MBSは高利回りの金融商品として世界各国に販売された。格付け機関のムーディーズやスタンダード&プアーズ「S&P」はMBSにトリプルAの格付けをして信用を与えたが、これらの格付け機関は選出基準が不透明だった。

 さらに、格付け機関は商品リスクを知りながら高い格付けを与えていた事が、後に議会の調査で明らかになった。貸し倒れに対する保証としては、クレジットデリバティブ「債務担保証券『CDO』

 加えて、クレジット・デフォルト・スワップ「CDS」などの金融商品も利用された。SPV「特別目的会社」とは、債権や不動産の流動化や証券化など限定された目的だけの会社。M&Aにおいては対象会社を買収する目的で設立される。

 最近SPVを利用した粉飾事件が問題となり会計基準が見直され現在は実質的に支配下にあると会社は連結対象。MBS「モーゲージ・バックド・セキュリティーズ」の略で「不動産担保証券」のこと。

 日本語では「モーゲージ証券」とも呼ばれている。資産担保証券「ABS」の1つで、住宅ローンの元本や利子の返済資金を裏付け資産として発行される証券。

 米国では住宅ローンの貸し出しリスク分散などの観点から住宅ローン債権の多くが証券化されており、債券市場では米国債と同様、重要な投資対象となっています。連邦準備制度理事会「FRB」が、購入対象とするのは「エージェンシーMBS」と呼ばれる証券。

 その証券は、ファニーメイ「連邦住宅抵当金庫」やフレディマック「連邦住宅貸付抵当公社」などの政府系住宅金融会社が元利支払いを保証した証券。日本の銀行や保険会社なども保有していた。

 アメリカでは、サブプライムローン・ブーム3年目にかかる2006年1月頃から住宅価格のかげりが見え始め、不動産担保証券の貸し倒れリスクが注目され始めた。

 サブプライムローンの債務者の一部は住宅価格の上昇を見込んだ返済計画を建てたため、住宅価格低下の影響で利払い延滞率が急増。債務者の延滞が顕著になると、サブプライムローンの直接の貸し手、住宅金融専門会社に対する金融機関の融資が慎重になった。

 そのため、住宅金融専門会社では資金繰りが悪化して経営破綻が出始めた。サブプライムローンは貸し倒れの危険を分散させるために分割・証券化されて金融商品に組み入れられていたため、金融商品そのものに対する信用リスクが連鎖的に広がった。

 サブプライムローンの証券化はアメリカ国外から資本を集めることを目的としており、ヨーロッパの金融機関が関わっていた。2000年代にヨーロッパ系銀行の国際業務は拡大しドルで借りてドルで運用する取引が8兆ドルを越えた。

 この取引で、ドルの資金調達のリスクを抱えた。ヨーロッパ系銀行は、2006年には新規の不動産担保証券「MBS」の30%を裏づけをしており、アメリカに現地法人を設立をしてサプライチェーンを一体化していた住宅投資は、同年第2四半期には下落し始めた。

 こうしてサブプライムローンは、偽りのベールに隠れてアメリカ、ヨーロッパの金融機関に広く、ばらまかれていった。しかし、日本は、経済状況が良くなかったためにリスクのある商品に手を出さず大きな悪影響は、なかった。

 10月、北朝鮮は、地下核実験を実施したと発表、朝鮮半島危機は新たな段階に入った。北朝鮮は約3カ月前の7月5日にも長距離弾道ミサイル「テポドン2号」を含む7発のミサイルを発射し、金融制裁を続ける米国に揺さぶりを掛けた。

 核爆発の規模はTNT火薬相当で1キロトン未満と小さく、実験は失敗したとみられるが、国連安保理は制裁決議を全会一致で採択。大量破壊兵器やぜいたく品の禁輸、北朝鮮に関係する個人や団体の海外資金凍結などを国連加盟国に義務付けた。
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