敏腕セールスの移住

２０話：進学塾を始める

　陰山は移住者にとって魅力的な地域にするために彼らと懇談会を毎月、市役所の会議室で行っていたが、ある時、子供３人の大家族の両親から、子供のために優秀な進学塾を近くで探したのだが見つからないと言われた。ないなら、作りましょうと、陰山が言うと市役所の職員がどうやって作るんですかと質問した。

　それに対し、この近くにTR大学医学部とYG工専があるじゃないか、そこの学生に、塾講師のアルバイトの募集をかけて、やってもらえば良いと言った。すると先ほどの大家族の母親からＹＧ駅の近くに本格的な進学塾ができれば
ありがたいと言われた。早速、明日からＴＲ大学医学部、ＹＧ工専へ言って掛け合ってきますと陰山が答えた。

　直接、学校に行き交渉すると募集するのは自由ですからどうぞと言ってくれ、募集用ポスターを作成してくれれば掲示板に貼っておきますと言われた。募集後１週間で、講師役希望の学生３０人から応募があった。次に駅近くのテナント物件を山田さんと陰山が探して回った。最大５０人位まで入れる広さのテナントが見つかり契約した。

　以前レンタルオフィスの机と椅子を作ってもらった家具工場に行き、事情を話し机と椅子５０セットできるだけ安く作ってくれる様にお願いしてみると納期は1週間、受取時に現金で支払うという条件で１セット１.５万円で５０セットで７５万円という破格値で購入する事ができ、運搬もお願いし了解してもらった。

　1週間後、テナントに机と椅子が搬入され、陰山と山田さんと運搬してくれた２人で運び入れた。これで教室が完成し、その後、山陰創造社と市役所のホームページで中学生と高校生の塾の生徒募集を週1回の授業で中学生が月に５千円、高校生1万円の条件で掲載すると2日で間で８０人、1週間で１２０人の応募があり内訳は中学生８０人、高校生４０人。陰山達は翌月から進学塾開設のため動き出した。

　陰山が講師役の人達に受験のために以前出題された問題をできるだけ出題してテストを行い個人の弱点を見つけて強化して欲しいと話した。受験塾は何と言っても実績なので模擬試験を多く行い実力向上をさせて欲しいとお願いした。

　そして、半年が過ぎて進学塾の生徒の合格発表が発表され中学生は８０人の内、１５人がＹＧ工専、その他６５人は市内の進学高校へ合格した。高校生は１２０の内、TR大学の工学部３０人、農学部に２０人、医学部に１０人、隣の県のSMNE大学の法文学部、理工学部３５人、法文学部２５人と高校生は志望校に全員合格できた。

　特にレベルの高い生徒ばかり集まったのだろうが全員合格は素晴らしい、成果だった。受験結果を受け４月に新しい塾生が中学が８５名、高校から４６名、入学してきて、先生役のTR大医学部の学生やTR工専の学生が喜んだのは言うまでもなく、今年も頑張ろうと意気さかんだった。

　その後、進学塾への入学希望者が増えていったため、もう１つ市内の空き店舗を改修して４０名は入れる教室をつくった。第１と第２で１回、最大定員は９０名の進学塾になっていった。９月末で進学塾に受験生、合計２１５名の
応募があった。進学塾は、きめ細かい授業と模擬試験なども好評で、それに質疑応答の時間帯も増やしていった。

　進学塾もパート教師の希望者数は十分に供給できて、この事業は、うまく回り市内でも話題になり進学希望者の難関校、合格数が増えるたびに入校生が増えていった。