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5話:首都圏での情報収集1

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 しかし会社を立ち上げるには、最低資本金1億円、10人なら1千万円ずつ必要だと言うと、ため息が出た。それでも、高度臨床検査センター設置委員会のメンバーは、徐々に増えていった。そのメンバの内訳は、医者、医療事務、看護婦、放射線技師、臨床検査技師、MR、医療機械屋、薬剤師の職種もいろいろだった。2009年10月の地元の新聞に載り、この話題が取り上げられた。

 その後60歳を超えた薬剤師、病院事務、医者、銀行のOBなども参加してきて、総勢28人となった。そして募金を募って1億円を超えたら高度臨床検査センターの開業場所など具体的な行動を取ろうと事務の中心メンバー、佐藤重幸さんは考えていた。やがて2010年となり4月の高度臨床検査センターのグループ名が、高度臨床検査センター準備委員会となった。

 今年の10月に、再度、個別にセンター開設のための預託金をいくら出せるか、調査し、発表すると佐藤重幸さんが宣言した。一方、泉田誠二は、2011年には、橫浜市の民間大型病院の放射線科に配属されて、週に3回勤務した。そして空いてる時間に他の個人病院、開業を1時間単位でアルバイトをして、病院の宿直をして、ひたすら働いていて、既に500万円を貯めたと話していた。

 2011年2月18日に6340円で全株売、税引き後利益3108万円となり、残金が3162万円となった。2011年8月14日、泉田誠一が実家に帰ると、弟の誠二も来ていた。その晩、家族4人でビールを飲みながら、雑談していた。その時、誠一が高度臨床検査センター設置委員会の話をすると誠二が、もう東京に、2,3年前にできたよと言った。

 それを聞いて資料が欲しいと言うと誠二が、自分のノートパソコンをあけてメールを送っておくよと言ってくれた。もう数回、手伝いに行き就職しないかと誘われた。しかし臨床医をあきらめるつもりはないので断ったと話した。その話によると大学元教授、大型病院の元院長、開業医が金を出し会社を設立。うだつの上がらない医者や高齢の放射線技師などがメンバーで多くの医師会と提携し開業医が、その高度臨床検査センターを紹介し始めた。

 20011年現在、東京に8軒、首都圏に8軒の合計16軒できていると知らせると、さすが、大東京、すごいと言った。そして誠一が、この情報を仲間に知らせて良いかと誠二に聞くとオープンの情報だから構わないと言ってくれ、早速、誠一は、佐藤重幸さんにメールで、この情報を送った。次に東京へ入り新宿では、3交代制で予約制だが人数が集まれば、夜遅くでも検査ができる体制を作ったと話した。

 すでに新宿、渋谷、池袋、上野では3交代制でやっている施設があると教えてくれた。翌日、新宿へ行くと丹沢康仁さんが、夜の仕事や公務員でも仕事が遅くなる人向けに予約を受けた。受診人数をまとめるために月、水、金、夜21以降、土、日、祭日に検査をしているが、一番重要なのは、採算性だといい、例えば、夜22時に検査して欲しいと連絡が入ったと語った。

 例えば、何曜日が空いてますかとか、土、日、祝祭日で、やってる日と時間を教えて下さいと言う患者さん達からの電話が多いと話してくれた。しかし、いくら大都会と行っても検査費用が1万円以上すると患者であふれるという訳にはいきませんと言った。最後に訪問した橫浜市北部の大型ニュータウンでは、東京都心から離れた地域では、病院数が限られて高度臨床検査センターを持つ大病院にかかっても、待ち時間が数時間かかり、非常に効率が悪い。

 また、高齢者、子供には、きびしい状態であり、とりあえずCT、MRI検査をしてデーターを開業医さんが見てから、大病院で見るべきか、開業医でも良いのか判断すると言う点で、かなりニーズがあると教えてくれた。そう言う点から見て、首都圏郊外のニュータウン人口の多い地域に限定されて言うのが現状であった。

 それ以外の政令指定都市周辺部で、人口密集地域では、まだニーズがあると思いますよと言った。そうして、2日間かけた調査の旅を終えた。10月5日、高度臨床検査センター準備委員会を開くと知らせが入った。
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