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6話:セカンドオピニオンの話

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 10月5日、会場の公共の会議場にメンバー43人が集まり、預託金として出せる金額を合計すると1億0150万円となったと佐藤さんが公表して、これで、行けると言い、具体的には、来春の2012年4月迄に、医療機械屋と製薬メーカー、卸、医師会に働きかける。そして以前、話したSZ銀行と打ち合わせる事になった。

 その話を聞いて泉田誠一が、興味あるので、交渉の席にも付き合いますから、言って下さいと佐藤さんに伝えると、君みたいな若い医療関係者に手伝ってもらえれば、ありがたいと言ってくれた。医師会とOBの人と話はついてると言い最後の問題は、高度臨床検査センター、実際に機械を動かす臨床放射線技師と放射線科の医師だと言った。

 その晩、泉田誠一は、弟の誠二に電話し放射線科の医師が必要だという話をすると笑いながら、それは、無茶だと言った。今、現在、一番不足しているのが放射線科医師で米国の数分の一だと教えてくれた。だたCT、MRIなどの画像を撮るだけなら放射線技師と簡単に説明できる暇な研修医やメスをもてない外科医、使えない内科医、訳があって臨床医になれない医者でも十分だろうと言った。

 検査結果を見て、患者さんに簡単に説明し、どこの科すべきか教えるくらいで十分だろうと言った。それよりも首都圏、大都市圏では、セカンドオピニオンのニーズの方が、現在、話題になっていると言った。誠一が誠二に、もっと詳しく教えてくれと言うと、富裕層の年寄り連中が、自分の病気とその治療法が間違っていないだろうか、不安に思う連中が少なからずいる。

 彼らが、自分が。今迄にしてきた治療が本当に正しいのか、不安になる。だから、もっと良い治療の方法があるのかを第三者的なと言うか中立的立場になった、名医に診てもらいたいと言う願望が多い様だ。その要望を満たしてもらいたいと言うのがセカンド・オピニオン制度。しかし、知ってると思うが、医者の世界は、超封建的で、他の医者の悪口は御法度、他の医者のミスなんて、口が裂けても言えないと言うのが、現状であり、簡単には行かない。

 しかし、それではダメだと、元、大学教授や良識のある医者からの訴えも多く、実際に放射線科の医師がガンがあると伝えたはずが内科医に伝わっておらず、放置されて死亡した例も、たまにニュースになっている。確かに日本では、医者の数が絶対的に、不足していることは間違いないが、誤診をしちゃーいけないし、それを隠しておくのは、絶対に間違いだ。

 その点、セカンドオピニオン精度は重要なのかも知れないと言い、そう言う事ができる施設ができればニーズはあるだろうと語った。実際に、教えた高度臨床検査センターで、そのセカンドオピニンを有料で紹介するサービスも昨年から、密かに始めてるらしいと聞いたと教えてくれた。へー、大都会
は進んでるねと、誠一がおどけて言った。

 また、その情報が入ったら、また教えるよと誠二が兄の誠一に言った。やがて、2011年が終わり2012年を迎えた。2012年に以前、面会した新宿の高度臨床検査センター長の丹沢康仁さんに、静岡でCTとMRIのリースしてもらい、医療ビルで。来年から高度臨床検査センターを始める予定ですと連絡すると、丹沢さんが、え、静岡市でと言った。

 100万人以下の人口で、浜松市よりも人口少ないですねと聞かれ、えー、そーですと答えると、それは、無謀だと言った。まず、黒字にならないと思いますよと言い、約10年前に試算したときに、福岡と札幌でも、損益分岐点ギリギリだったと語った。それを静岡市では、難しいと言われた。それより良かったら、東京のグループに資本参加して見ませんかと言われた。

 次に、オープンする予定の所ででも、そちらのスタッフで、やってみてからにした方が良いと言われ、佐藤さんが、以前試算した資料を見せてもらえませんかと聞くと、えー、わかりました、メールで送りますと言ってくれ、その後、直ぐに送ってくれた。その書類を見ると、その地域の人口密度から、年齢層、性別比率、平均年齢、年収など、事細かに調べ上げられていた。
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