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14話:プレゼンテーションと関西出店、その場所は?

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 その後、首都圏の高度臨床検査センターの数の患者数と一覧表にしたものを見せると歓声があがった。多分想像以上だったのであろう。そして、これからも場所は企業秘密で言えませんが、年に数カ所ずつ高度臨床検査センターをオープンさせるつもりですと言った。その後、高度臨床検査センターの設置費用と返済年数と投資家の数と金利の表を見せると、また歓声があがった。

 その歓声は、費用が高いことを驚いているのですかと聞くと、機械のリース費用と維持管理費用、事務経費、人件費、また、投資家の数と金額、首都圏って、さすがにすごいですねと驚いていた。関西圏では、こんな多額な費用、どれだけ投資してくれるか心配ですと言うと、投資家は首都圏だけでなく、全国、一部は外国人だというと、また驚いていた。

 規模の大きさには、歓談の声が出たが、投資家探しと費用の大きさ、実際に患者さんが来てくれるのか、運営していけるのか、それが心配なようで、最初の頃の感嘆の声がなくなり、ため息の様な声ばかり出る様になった。そこで運用方法については、もう既に運用してから15年間は見ていますので、きっと上手くできますよと言った。しかし、やはりやってみなければわからないと聞いて、いつなのかと銀行員の顔に書いてあった。

 それでは、とっておきの資料をお見せしますと言い、この所、数年の利用者数の推移を見せると順調に増えてるや、おまへんかなどと関西弁が飛び交った。最後にライバルはいない現状では三菱UFJ銀行さんだけですから安心して大きな船に乗ったつもりで、突っ走ろうではないですかと、丹沢先生が言った。しかし強調するほど、むなしく聞こえるのは、佐藤と泉田だけではなかった様な気がした。

 やがて、約1時間のプレゼンが終わり、何か質問はと言うと、行員は、みな疲れて、厄介な仕事を仰せつかったとでも言いたげな顔をして下をむいてるのを見ていた。案ずるより産むがやすし首都圏では一気にとはいかないものの着実に20年間の実績を積み上げ一件の脱落もありませんよと言った。しかし時間かかりそうとでも言いたげだった。

 そして、プレゼンの担当者3人が、明るい顔をして元気に一緒にやっていきましょうとかけ声をあげたが、むなしく聞こえたのは泉田だけではなかったような気がする。終了後、3人は急ぎ足で帰ったのは言うまでもない。その後、三菱UFJ銀行との交渉の窓口は佐藤さんに決まり、一号店をどこにするか、交渉しようと連絡が入り、4月18日、連休前に一度来て欲しいと連絡があった。

 4月18日出かけて、佐藤さんがどうせなら、大阪、京都、神戸に1つずつ高度臨床検査センターをオープンさせましょうというと、一度に3つですかと尻込みした。そこで首都圏には既に24ヶ所できますよ、それなので大阪圏に1つもないのか、おかしいと思いますよと言った。どこにするかは、客の流れを見て一番立地の良さそうな所を捜して下さいと言うと、その分値段が高くなりますよと言った。

 大丈夫、何とかなりますよと、佐藤さんが銀行員を励ますほど心配になっていル様子が、よくわかった。確かに成功すれば、我が社にとっては大きな武器になると思いますが、何せやったことがない案件なので自信がないというのが本音ですと言った。20年前の東京でもそうでしたが成功が実証されているじゃないですかと資料を見せると、でも、それで失敗しないことになる訳ではありませんからと、相変わらず消極的だった。

 この銀行のトップを呼んで下さいと言うと数分後、来て、あんたが厄介な仕事を持ってきた人ですかとでも言わんばかりの怪訝そうな目つきで見て、今忙しいからと顔に書いてあったのがわかった。他の銀行、三井住友、または、みずほ銀行さんにお願いしましょう金というと、やらないと入ってません。

 ただ、失敗したくないだけですと本音を吐いた。今迄、成功してきたノウハウを教えて上げると言ってるのですからもっと積極的にバックアップして下さいと言うと、具体的な事は、ずべて指示して下さい。お願いしますと頭を下げたので、一緒に頑張りましょうと言うと少し明るい顔になった。
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