口下手男同志の友情と女性への愛

ハリマオ65

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22話:手術後、中学の同級会1

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 それを見ていた善継も。まるで感染したかのように、目頭を熱くした。とっさに善継が、また、何かあったら気軽に言って下さいと言うと、令二の目から涙があふれた。善継、お前は、本当にやさしい、良い奴だなと、肩をたたき、お言葉に甘えて、今後も、いろいろお世話になりますと、令二が、深々と頭を下げた。恥ずかしいから、やめて下さいと言った。

 続けて、善継が、令二さんは,純粋な人で、生きるのに不器用で誤解されているが、自分に正直に生きている,心の優しい良い人なんだと告げると、また、涙がこぼれた。令二が、善継に、死ぬまで、面倒かけるけど、宜しくと、小さな声で言った。そして、昼食を食べて、帰って行った。帰り道、人には、相性というものがある。

 きっと、令二さんは、不器用だけど、きっと、俺には、正直に話せるのだろうと,今迄の付き合いを振り返って、そう思った。そして、これからも、彼の人生が終わるまで、付き合うことになるのだろうと、覚悟を決めた。これだけ、濃い関係の人は、他にいないと言う事は、よっぽど、馬が合うかもしれないと想像した。やがて2014年になった。

 今年10年ぶりに、中学時代の同窓会の案内が届いた。そこには、2名の死亡が書かれていた。そうか、俺も62歳、普通なら、定年を迎えて2年たったとだと実感した。そして、同窓会幹事の元、級長の相模義三に電話を入れると,是非、来てくれと言われ,行く約束をした。日時は、早く帰る人もいるので、3月12日、午後16時。

 場所は、国道16号線沿いのファミリーレストラン・スカイラークと決まった。その日、善継が、久しぶりに、16時に会場に行くと、女性達が多く、佐藤君代、里山良江、と常連さんに交じって、清水菊江が初めて参加した。そして、幹事の相模義三ともう1人女性の幹事、衣笠富子が来ていた。そして、その他8人の合計14人が来ていた。

 酒を飲むには、まだ早いのでと幹事の相模義三が挨拶し、今日は、ご参加ありがとうございます。我々も60歳を過ぎ、いろんな人生を歩んできたと思う。今迄の思い出や話したい事など存分に語ってもらいたいと思いますと開会の挨拶をした。そして用事で帰る時には、幹事の私と衣笠富子に言って帰っていただきたいと思いますと言った。

そして席は自由なので、自分でお決め下さいと言って、同級会が始まった。そして善継は、清水菊江と衣笠富子、他、男性3人の6人の席に着いた。開口一番、衣笠さんが井方君、株で随分と稼いだようじゃないと、水を向けた。それに対して、えー、まーと、答えると、億り人になったんだってと続けて、言われた。

 それは、ご想像に、お任せしますというと、相変わらず、端れ悪いのねと笑いながら言った。それを聞いて、初めて参加した、衣川富子が、どうやったのと聞くので、そんな細かい話は、無粋だよと言った。すると、男性達も,教えろというので、少しずつ話した。うちの父が、みんなも知っているように井方算盤塾を昔からやっている。

 塾経営の傍ら株投資をしていて、それを見ていて興味を持った。そして、僕が中学時代から数学が好きで、株の本を見ていたとき、これから電気関係の時代が来ると思い、高専の電気科に入学した。そしてソニーと言う会社が有望だと思った。そして高専で習った標準偏差、わかりやすく言うと、株価の変動であります。

 一定の値段より下で買い、ある値段から上で売ると儲かると言う数字を導き出した。その数字と株価のチャートを見て株投資したところ、全勝、負けなしで、倍々ゲームで資産が増えたと言った。その答えに対して、友人の里見健太が、お前の話は、相変わらずむずかしいなと言い、さっぱりわからないと言った。

 すると、衣川富子が、すごいわね。さすが、数学の天才と言われただけのことはあると、ほめた。そして、実は、私の元・旦那も株が好きで、1970年、1980年代は、株投資もそんなに難しくなくて、倍々ゲームで増やして、1990年代には億り人になったわ。

 そして、ヤフーで成功して、続いて,ソフトバンク、光通信とインターネット株に手を出して、2000年の冬には資産が5億円を越えた。これを聞いて、わおーと大きな声が上がった。しかし、井方君も知っているとおり、光通信とソフトバンクの大きな下げで、2001年には1億円を切ってしまった。
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