集団就職の星

ハリマオ65

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10話:システムテストは過密スケジュール

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 ここまで話したのだから、最後まで話ししましょうと言った。もともとコンピューターの高速ネットワーク、インターネットは、アメリカのNASAで開発され、その応用は多岐にわたる技術。特に金融システムをになう会社は、巨大で強固でなければならない。そのためにアメリカ政府、NASA、日本政府、大蔵省は、大手企業、米国でも日本でも優秀な企業を選び大金をつぎ込み研究開発させた。

 具体的には、GE、IBM、ゼロックス、マイクロソフト、日立製作所、沖電気、シャープ、日本電気、富士通、シーメンスなど自由主義の大国の金が投入されていますと話した。そう言う関係で、最初は、きちんとした形の金融機関のオンライシステムを確立することが非常に大事なのですと話してくれた。

 共産主義国は、その技術のスパイ活動が盛んに行われていますが総合力がなければ、このシステムは出来ないので、その使命を我が社が負っていて責任も重いのですと話すと大きくて重い肩の荷が下りた様に、ため息をついた。今までの話を聞いて智惠さんが、ありがとう、良くわかりました。大きな使命のために出来るだけの努力は惜しみませんと言った。

 そして、早乙女支店長と、がっちりと握手をした。よかった援軍が出来てと喜んでくれ、明日から全員を厳しく指導して行くので、ついてきて下さいよと笑った。翌日から智恵子さんのオフィスにネットワークやソフトウェアの図解入りの入門書から専門書まで多くの本が所蔵され、そのほとんどが、英語で書かれている本だった。

 まず、全員が基礎を完全に理解して今に何をしているのか、これから何をするのかを理解するための基礎知識習得の時間に充てられた。オフィスの電話が鳴ることは、めったにない。数人単位で大学の研究機関や企業の研究機関へ出向いて研究する人が多い。半年が過ぎて1984年10月になり早乙女支店長に呼ばれて智恵さんが東京大学、東京工業大学、慶応大学のネットワーク研究チームを訪問して紹介してくれた。

 すると、早乙女支店長が学生達にドクター早乙女と呼ばれ、その道の第一人社である事がわかった。東京大学、東京工業大学、慶應義塾大学の3つの大学が互いに実験的にコンピュータをUUCPで結んだ「JUNET」について概略の説明を受けた。日米の優秀で規模の大きい企業と銀行が選ばれて、システム開発、実験を繰り返す事になる。

 具体的には1985年、日本IBM、日本電気、富士通、日立製作所、東芝、三菱電機、沖電気、シャープ、三菱銀行、三井銀行、住友銀行、富士銀行などと結ぶ計画。その交渉が智惠さんの仕事だよと教えられた。そして早乙女博士に、ここまでは話して良い事と話してはいけない機密情報を交渉前に確認し合ってから出かけるようになった。
 
 その頃、海藤が、1982年1月にソニー株を1300円で2万株を2600万円で購入した株が上昇。1985年6月にソニー株を2200円で2万株を4400万円で売り税引き後利益が1420万円となった。

その後、システム開発の中心企業が日本IBM、日本電気、富士通、日立製作所、東芝、三菱電機。そのシステムをテストするのが、三菱銀行、三井銀行、住友銀行、富士銀行であることが判明。1985年も押し迫り12月になり、来年の交渉のスケジュールが公開。2日に1回のペースで3人でチームを組んで日本で初めての移動電話NTTの「ショルダーホン」をもって他社を訪問する事となった。

 そして、その仕事が、過密スケジュールである事がわかった。この頃、知恵さんが、投資仲間の3人と会えなくなった。その代わり海藤努が会合に参加、情報交換をした。しかし智惠さんが、どんな仕事をしてるとか一切、秘密にした。そして1986年となった。海藤家では毎年恒例の初詣でに出かけ海藤努は一家の健康と安全を智惠さんは新しい仕事が軌道に乗りますようにと願った。
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