集団就職の星

ハリマオ65

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9話:智恵さんの新しい仕事内容が明らかに

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 そして、もう一つ質問させて下さいと智惠さんが言い、契約に違反したら即刻くびは、わかりました。しかし
「訴訟や損害賠償を求めることがありますと書いてある所を指さして、ここを詳しく説明してと言った」。すると白髪の紳士が、さすがですねと言い、英語も十分に、ご理解いただいているのですねと言い、益々心強いと言った。

「会社の仕事の遂行を意図的に妨害したり機密情報を流したりすると訴訟や損害賠償を求める事があると伝えた」。海外の企業では当たり前の事ですと言った。じゃー意図的でなくて情報が漏れた場合はと、たずねるとケースバイケースですが、大きな被害がなければ、特に何の処置もないが、大きな損害となると判断されると、意図的でなくても即刻クビですと教えてくれた。

 それを聞いて智惠さんが、それは、やむを得ないでしょうねと納得して契約所を書いて差し出した。その後、その会社に採用となった。そして外人さん2人と白髪の紳士に、海藤夫妻が、それぞれ握手して、そのビルを後にした。帰る道すがら海藤努が俺の収入よりも遥かに高くなったねと笑いながら言った。この仕事が成功すれば良いねと智惠さんの肩をたたいた。

 1982年4月3日から東京大手町の銀行オンラインの会社に入社して最初の日、会議室に呼ばれて総勢38名で、そのうち女性が5名が整列して東京支店長に呼ばれて壇上に上がった。海藤智惠さん一橋大学商学部を出られて三菱銀行で12年間勤めて1年にわたり銀行オンラインの勉強をされた専門家で主に各部署の連携で我が社の総合力向上力向上を期待していますと紹介された。

 なお役職は総務部付きの部長として勤務していただきますと、みんなに紹介していただいた。その後、支店長室に呼ばれ白髪の紳士が、早乙女龍一と申しまして、以前、東京大学の電子工学科でネットワークの勉強していたと自己紹介をした。これから、お話しすることは、重度の機密情報が含まれていますので絶対に他言しないで下さいと念を押してから話し始めた。

 まず現在、東大、東工大、慶応大学の3つの大学間のコンピュータネットワークを計画していますと話してくれた。1、2年後の完成をめざしていますと言った。この高速インターネット・ネットワークが完成しないと、次の銀行オンラインシステムに進めませんので早急に作るように日本政府、大蔵省から言われていますと話した。次に銀行等、金融機関でも三井銀行、三菱銀行、住友銀行、富士銀行が、個々に銀行オンラインシステムの開発をしています。

 オンラインシステムで一番進んでいると思われるのが三井銀行で関連するソフトウェアも他の企業に販売して大儲けしているようだと教えてくれた。しかし、この銀行オンラインシステムは開発費用、維持管理費用、スタッフへの給料を考えると大手銀行といえども1社では難しいと言うことが大手銀行でも理解したようで三井銀行も銀行オンラインの業務を独立させたがっている。

 現在、我が社と交渉中で、多分、1984年までには、銀行オンライン事業部ごと我が社に売却する可能性が高いと踏んでいますと語った。そして1985年には我が社が日本発の金融機関全社を繋ぐオンラインの専門会社として事業を開始する予定ですと言った。智惠さんが他社の攻勢はないのですかと質問すると、ない事もないと話した。

 日本、アメリカ、欧州のコンピュータメーカーが参入したがっているが、実際には、その規模、コスト、人件費を考えるとリスクが大きすぎて、やらないはずですと断言した。それに対して、言われる内容は理解できますが、そんなにリスクが大きい事業を、なぜ、あなたと、この会社が、やろうとしているのか、また、お金の出所も不明ですねと言った。
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