龍神様の住む村

世万江生紬

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季節話

龍神様と七夕

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 龍神様と龍平が暮らすようになってしばらく。2人は夜にのんびり星空を眺めるほどには打ち解けていました。

 「晴れているから綺麗に見えるなぁ。」

「そうですね。」

「天の川だ…織姫と彦星は会えたのだろうかぁ。」

「…先に言っておきますけど『一年に一度しか会えないなど私には耐えられない』だの『私なら毎日泳いででも逢いに行く』なんて歯が浮くような台詞は言わないでくださいね。」

「ぬぁっ!?今まさに言おうとしておったのにぃ。」

龍平は龍神様が考えていそうなことをあえて先回りして牽制します。そして見事龍平の思惑通り、龍神様は悶えました。

「やっぱり言おうとしてたんですね…貴方恥ずかしくないんですか。」

「むぅ?好いた者に愛を囁くことに何の恥がある。寧ろ伝えられなかったならば後悔の方が大きいだろう。」

「そ、そうですか…。」

龍平は龍神様の直球の愛の言葉には冷静に返すことが出来るほど慣れましたが、こう言う天然から来る直球の言葉にはまだ少し慣れません。顔が赤くなったのがバレないよう、龍神様からふいっと顔を背けます。

「でもまあそうだな。天の川の伝説は愛にばかりかまけて仕事をおざなりにしたことによる罰だぁ。罰ならばしっかり償うべきだなぁ。」

「へぇ、随分真面目なことを言うんですね。」

「それからその後、罰をしっかり受けてからもう一度やり直せばいい。お互い後ろめたさの中で会うよりは全て清算してから逢いたいだろう。私なら、本当に愛する者が罰を受け終わるまで何百年何千年でも待つぞぉ。」

「そうですか…。」

「龍平?どうしたぁ、少し表情が暗いぞぉ?何か気に触ることを言ったかぁ?」

「い、いえいえ、龍神様が浪漫の欠片もないようなことを言うからですよ。俺はもう少し空想的に見たいですから。」

「むぅ、龍平は現実的な方が好みかと思ったのだがぁ。」

「はは、あてが外れましたね。…でもこの夜空の綺麗な星は現実にある、空想的な景色です。」

「そうだなぁ。」

 龍平は空を見上げる龍神様を横目でちらっと見てから、また空を見上げました。龍神様の「何百年でも何千年でも待つ」という言葉、長命な神様からすればごく普通のことなのでしょう。ですが龍平は普通の人間。命の長さにこんなにも違いがあるのかと悟った龍平はほんの少し、寂しく思いました。
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