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どんな時でも君のぬくもりは
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カランカラン
「いらっしゃいませ。」
「いらっしゃいませ~。」
「こんにちは~。」
ここは悩めるお客様が来店される喫茶店。本日のお客様はこのお店の常連さん、東堂さゆりです。さゆりは勉強を頑張る女子高校生。いつも勉強をするためにこのお店にやって来ます。
「さゆりちゃん、いらっしゃいませ。」
「こんにちは~。あー、外寒っ!」
「席座ってゆっくりしてくださいな~。」
「どーもー。」
さゆりはいつものようにカウンター席に座り、上着を脱ぐとすぐに鞄から勉強道具を取り出しました。そしてシュシュで髪をきゅっと結います。
「今日もお勉強偉いですね。」
「まぁね。...アタシさ、行きたい大学が出来たんだ。」
「おぉ!目標が出来るのはいいことですね!」
「うん。お母さんも応援してくれてるし、めっちゃ頑張ろって思ってる。」
さゆりは少し恥ずかしそうにはにかみながら、それでいて力強く言います。そんな様子を見て、さゆりのためにいつもの紅茶を淹れながら薔薇紳士も口元を緩めます。
「でもね...お金あんまかかんないとこって思って色々探してここに行きたいって思ったんだけど、結構頭いいとこでさ。アタシ大丈夫かなーってちょっと不安なんだ。ま、それでも頑張ろって思ってるんだけどね。」
「そうですか...目標が高いのはいいことですけど、ちょっと不安にもなっちゃいますよね。」
「そうそう!あー、後悔はみじんもしてないけどなんか、ぅあー!」
さゆりはまとまらない自分の気持ちを放出するかのように頭をガシガシとかきむしります。そんな様子をみていちごはなんと声をかければいいのか分からずタジタジとしていると、薔薇紳士がさゆりの前にコトリと紅茶を置きました。
「とりあえず、こちらの紅茶でも飲んで落ち着いてください。まだ頬が赤いですし、寒さが取れていないでしょう。」
「あ、ありがと...と、そう言えば今日朝お母さんにカイロ貰ったんだった。ポッケ入れっぱなしにしてたな...。」
「おや、ではせっかくなのでそのカイロで手を温められては?」
「そうですね、そうします...あ。」
さゆりはカイロをポッケから取り出すと、何かを見て動きを止めます。不思議に思ったいちごがさゆりの手元に目をやると、そこには「頑張ってね。応援してるから」と書かれたカイロがありました。さゆりはそれを何も言わずぎゅっと握っていました。
「...どんな時でも、お母様のぬくもりは温かいですね。」
「...うん。そうですね。」
薔薇紳士はゆっくりと伝えると、さゆりもこくんと頷きます。そしてパンッと自分の頬を叩きました。
「よしっ!くよくよすんの終わり!頑張ろ!いちごちゃん、何かお菓子メニューにある!?」
「ありますよ~。糖分摂取ですね。」
お母さんの温かいぬくもり。それはどんな言葉より、誰の応援より、心の支えになるのです。
「いらっしゃいませ。」
「いらっしゃいませ~。」
「こんにちは~。」
ここは悩めるお客様が来店される喫茶店。本日のお客様はこのお店の常連さん、東堂さゆりです。さゆりは勉強を頑張る女子高校生。いつも勉強をするためにこのお店にやって来ます。
「さゆりちゃん、いらっしゃいませ。」
「こんにちは~。あー、外寒っ!」
「席座ってゆっくりしてくださいな~。」
「どーもー。」
さゆりはいつものようにカウンター席に座り、上着を脱ぐとすぐに鞄から勉強道具を取り出しました。そしてシュシュで髪をきゅっと結います。
「今日もお勉強偉いですね。」
「まぁね。...アタシさ、行きたい大学が出来たんだ。」
「おぉ!目標が出来るのはいいことですね!」
「うん。お母さんも応援してくれてるし、めっちゃ頑張ろって思ってる。」
さゆりは少し恥ずかしそうにはにかみながら、それでいて力強く言います。そんな様子を見て、さゆりのためにいつもの紅茶を淹れながら薔薇紳士も口元を緩めます。
「でもね...お金あんまかかんないとこって思って色々探してここに行きたいって思ったんだけど、結構頭いいとこでさ。アタシ大丈夫かなーってちょっと不安なんだ。ま、それでも頑張ろって思ってるんだけどね。」
「そうですか...目標が高いのはいいことですけど、ちょっと不安にもなっちゃいますよね。」
「そうそう!あー、後悔はみじんもしてないけどなんか、ぅあー!」
さゆりはまとまらない自分の気持ちを放出するかのように頭をガシガシとかきむしります。そんな様子をみていちごはなんと声をかければいいのか分からずタジタジとしていると、薔薇紳士がさゆりの前にコトリと紅茶を置きました。
「とりあえず、こちらの紅茶でも飲んで落ち着いてください。まだ頬が赤いですし、寒さが取れていないでしょう。」
「あ、ありがと...と、そう言えば今日朝お母さんにカイロ貰ったんだった。ポッケ入れっぱなしにしてたな...。」
「おや、ではせっかくなのでそのカイロで手を温められては?」
「そうですね、そうします...あ。」
さゆりはカイロをポッケから取り出すと、何かを見て動きを止めます。不思議に思ったいちごがさゆりの手元に目をやると、そこには「頑張ってね。応援してるから」と書かれたカイロがありました。さゆりはそれを何も言わずぎゅっと握っていました。
「...どんな時でも、お母様のぬくもりは温かいですね。」
「...うん。そうですね。」
薔薇紳士はゆっくりと伝えると、さゆりもこくんと頷きます。そしてパンッと自分の頬を叩きました。
「よしっ!くよくよすんの終わり!頑張ろ!いちごちゃん、何かお菓子メニューにある!?」
「ありますよ~。糖分摂取ですね。」
お母さんの温かいぬくもり。それはどんな言葉より、誰の応援より、心の支えになるのです。
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