僕が一人暮らしをするまで

世万江生紬

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第22話

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○月✕日

 今日はいよいよ引越しの日だ。今までにある程度の荷物は運んでいたが、当日ギリギリまで使っていたものも車に乗せて、ついにという感じだ。家族と最後に過ごす晩御飯は僕の好きな物だけを作ってくれた母。文句を言いつつ荷物を車に運ぶのを手伝ってくれた弟。何かを言う訳では無いがチラチラと僕の方を気にかけていざ車に乗り込もうとすると一番に車まで見送りに来た父。愛されて育った自負はあるが今日は一段と愛を感じたように思う。今日は地域の花火大会の日で付近が通行止めになるので、花火大会が終了してから夜遅くに移動することにしていたので、最後の日をのんびりと実家で過ごしてから新居に向かった。まあ一生の別れという訳では無いので若干の寂しさはあるが『またね』と行って家を去った。


○月✕日

 引越して1日目は早速家で諸々の片付け…ではなく、一日を買い物に費やした。一人暮らし準備の買い出しをしていて改めて思ったが、僕は買い物に多大な時間がかかるタイプだと思う。紙皿1つ買うのにも陳列してある商品全てに目を通し内容枚数と形状を鑑みて熟考する、こんな買い方をしていたら時間もかかるというもの。百均で食器や紙皿、鴨居フックやクッションゴムなんかの便利グッズ、ニトリでフライパンや収納グッズ、家電屋で買い忘れた電気ケトル、スーパーで調味料含めた食料品を大量に買うと一日が終わっていた。貴重な休日がつぶれたようにも感じるが必要なものを揃えられた充実感も感じる。明日からはいよいよ平日が始まる。日常の本拠地が変わって僕の日常もどのように変わっていくのか楽しみだ。


○月×日

 いよいよ今日は一人暮らしを始めて初めての平日。つまりは仕事だ。日中の仕事内容に特に変わりはなく、問題は通勤路だ。今まで実家から新居に来るために通っていた道路は国道で、そこから少し入った住宅地の中に新居がある。そして職場に行く道は途中で国道に出る必要があるのだが、これがまあ出られない。当然平日の朝なのだから通勤ラッシュで交通量が多く大きな道に出られないのだ。今日はたまたま譲ってくれる車がいたから国道に出られたが、出たところで動かない。これは完全に計算外だったが念のため早めに家を出ていたので遅刻することはなかった。また別の通勤ルートを考えなければならないと感じた。

 後日の話になるが、この後何パターンか試してみた結果通勤時間が絶対値で行ける通勤ルートを発見した。ビビりなので何かあったら怖いなと家を早くに出てしまうので勤務時刻の20分前には職場に着いてしまうような生活を送っている。そしてついでに帰りのルートもいろいろ試してみたのだがこれも上々の結果だ。仕事帰りにはお金を下すためにATMに寄ったり、ガソリンスタンドに寄ったり、買い物をするためにスーパーに寄ったりするがそのどれのパターンでも最適な時間で行けるルートをそれぞれ開拓した。僕は漫画をよく買うのだが本屋が近くにないことだけが心残りだ。実家にいた時には帰り道に大きな書店があったので寄れたのだが今は車で30分ほどかけないと本屋がない。調べたところスーパーの近くに昔はあったようだが今は潰れてしまったらしい。なんと時の流れとは寂しいものだ。
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