僕が一人暮らしをするまで

世万江生紬

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第9話

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○月×日

 一旦やることすべてが終わったと思ったのも束の間、2日後にはLINEで長文のメッセージが送られてきた。内容は全部で5つ。1つ目「契約金請求書を送るのでURLから初期費用の支払い」。2つ目「家財保険の手続き」。3つ目「ライフラインの各業者への開栓連絡」。4つ目「物件の情報等お知らせするアプリへの登録」。5つ目「重要事項説明を行う日時の調整」。やることが...多い。面倒くさいと感じるのも無理はないほどやることが多い。しかもどれもそこそこ締め切り期日が近く、後回しにもしづらい。僕は1つずつ片付けていくことにした。まずは1つ目の初期費用支払い。これはURLを開き、案内通りにそのままクレジットカードで一括全額支払った。後に回すと面倒くさい上にお金関係はしっかりしておきたい。これで1つ目クリアだ。そして2つ目、これもURLを開き案内通りに以下略だ。基本入居契約は2年更新制なのだが、その2年間を保証してくれる保険。金額は1000円と今までの支払いに比べると金額が低いので拍子抜けしてしまった。このサイトに入るためのIDとパスワードはLINEのメッセージで送られてきたのだが、それを忘れて後でもう一度このサイトに入ろうと思ったらIDもパスワードも自分で設定したものじゃなくて一瞬パニックになったりもしたのだがそれはまた別の話。3つ目のライフラインの電話だが水道局に電話したら「平日しか空いてないからまた連絡して」と言われ、電気はまだ電子での登録が完了しておらず完了報告待ち状態、ガスは電気が開栓してからなので動けずでこれは後日に回すことにした。4つ目のアプリ登録だが、これは以前に登録は完了しているROOMのアプリだった。携帯番号を入力しただけで自分の情報がぱっと出てきたのだが、どういうメカニズムなんだろうか。何はともあれ今後はアプリを開くだけで細かい内容を確認出来るようになったのはありがたい。無事クリアだ。そして最後5つ目だが、これは現段階では日時を決めるだけだ。とりあえず空いている日時を3つほど送るとすぐに「この日はどうですか?」という返信が来た。これで一旦全ミッションクリアだ。


○月×日

 電気のマイページが開設したというメールが届いた。いよいよこれで電気開栓の手筈が整うということだろうか。早速ログインし、お客様情報の確認すると、今だ申請中の状態の様だ。何がどうなれば完全クリアなのかよく分からないのだがこの状態で次段階、ガスに移行しても良いのだろうか。とりあえずログイン情報を変更し、自分の使いやすいパスワードに変更してからホーム画面へ登録しておいた。これでいつでもすぐにこのページを開くことができる。支払方法が現在コンビニ払いになっているということだったので、案内に沿って口座振替に変更した。やることは整えたはずだ。

 出来ることをすべて終えたと思われるタイミングで重要事項説明の日時がやってきた。説明と言っても事前に送られた画像の内容を読み上げるだけだった。疑問に思ったところで専門的なことはわからないし何か変更になるわけでもないだろう。しかし一点、火災保険に借主が加入するようにとあったのだが、火災保険は貸主が入るものと聞いていたので疑問に思い聞いてみた。担当の者に聞いてもらいたいとのことだった。火災保険も入らねばならぬのだろうか。

 説明も無事終わり、何度目かの”一旦やること全部終了”状態になったのもこれまた束の間、重要事項説明が終わったので電子契約に進んでくださいというメールが届いた。後に回すのも嫌なのですぐさま入力し、「契約完了通知をお待ちください」の状態まで持っていった。怒涛のやることの流れ作業だ。休日にまとめてやろうと思っていたら休みがあるようで無いに等しい。ずっと電子とにらめっこだ。これでもまだライフラインは完了していないので後日に回したやることもある。家を決める手続きというのは本当に大変なんだなと感じると同時に、僕は今自立への1歩を自分で着実に踏みしめていると感じている。
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