魔法少女のファンな俺

世万江生紬

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魔法少女のファンな俺 幕間③

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 ここは闇の組織フィクサー本部の休憩スペース。いつものように俺の前の椅子に座りスマホをいじっている先輩に、俺は常日頃から気になっていたことを聞いてみることにした。

「先輩、俺聞きたかったことがあるんですけど。」

「なんだよ。」

「この魔導書って結構なページあるじゃないですか。でも俺が使ってるページって何個かだけなんですけど。」

「そりゃ新人はモンストル作るだけで十分だからな。そのページはモンストルの作り方のページだし。」

「じゃあ別のページには別の魔法が使えるものもあるってことですか?」

「そりゃな。人間を罠にかけるためのトラップとか、モンストルとは違う魔物の召喚とか、直接攻撃する魔法とか...」

「マジですか!?」

「うるせっ。」

俺は初めて知った事実に興奮して声を上げる。だって、俺にその力があれば、もっと魔法少女の色んな姿を、俺自身の手で引き出せることになるじゃないか。そんなのそそられ過ぎる!

「お前が何考えてんのか手に取るように分かるわ。」

「え、気持ち悪いですね。」

「テメェが分かりやすすぎるからだろうが!大方、その力俺も魔法少女に使ってみてぇとか思ってんだろうよ。」

「うわ、合ってて気持ち悪い。」

「テメェふざけんなよ。」

先輩は怒りながらスマホを机の上に置いた。だらけていた体を起こし、完全に俺とおしゃべりする体勢に入る。

「だがまあ、お前、その野望は諦めた方がいいぜ。お前にゃ無理だ。」

「やってみないと分からないじゃないですか。」

「無理だ。お前組織内部で生まれた人間じゃないだろ。まず組織外の人間が魔法を使うには魔導書が必要になる。んで、魔導書があってもモンストルを作る魔法しか使えない。これは属性の問題。モンストル関連は無属性で出来るがその他魔法はそれぞれ属性がいるんだよ。属性によって使える魔法も決まってる。組織内で生まれた人間なら生まれつき個人個人の属性があるが組織外の人間は全員もれなく無属性なんだよ。だからお前にゃ無理だ。」

「先輩がすごい先輩風吹かして知識を教えてくる...。」

「あぁ!?ありがてぇだろうが!」

俺はガッカリしながら先輩の話を聞いていた。が、俺の推しに対する意欲はいかなる壁に対しても潰えたりはしない。手を変え品を変え、可能に近づける。

「ねー先輩。」

「んだよ。」

「先輩は組織内生まれの人ですよね。」

「だったらなんだよ。」

「先輩の魔法属性は何なんですか?てかモンストル生成以外の魔法使えるんですか?」

「使えるわ。俺の魔法は便利だからしょっちゅう使ってんぞ。俺の属性は空間魔法だ。」

「えっ、じゃあいつもタイミングよく俺の仕事終わりに現れてたのってそういうこと!?」

「まあな。」

「こすっ!」

「人の魔法狡いとか言うんじゃねぇ!」

空間魔法と言うことは空間転移で一瞬で移動したり、荷物も手ぶらで持って行けるってこと。ずるい以外の何物でもない。そして空間魔法は魔法バトルものではかなり強キャラのものだ。

「じゃあ先輩、その魔法で魔法少女と対人戦やってみてくださいよ。」

「断る。必要性を感じねぇ。」

「けち。」

「誰がケチだストーカー野郎。」

馬鹿正直にお願いしても断られるだろうとは思ってたけど。思ってた以上にバッサリ断られてしまった。でも俺は諦めない。俺自身が魔法少女と対人戦闘出来ない以上、出来る誰かにやってもらうしかない。そして俺はそれを傍観する。そのためにも俺はなんとしてもこの先輩に魔法少女との対人戦等をやって欲しい。さてどうしたもんかと考えていると、俺は机の角につまようじ入れが置いてあるのが目に留まった。

「先輩...じゃあ俺と賭けしましょうよ。俺が勝ったら魔法少女との対人戦闘をお願いします。上への報告がいるなら魔法少女の戦闘スタイルの分析とでも言いましょう。俺が今まで集めた魔法少女知識すべて使ってそのための協力はします。」

「熱意がすげぇな。俺が勝ったらどうすんだよ。」

「先輩の言うことなんでも聞きます。あくまで話し合いの元俺が承諾したものに限りますが。」

「お前小汚ねぇな...。」

「賭けの内容はこれです。」

俺はそう言うと机にあったつまようじを10本容器から抜き、先輩に差し出した。小さな10本のつまようじは先輩の大きな手で持つとすっぽり隠れて見えなくなる

「先輩はこれを10本中何本でもいいので机に置いてください。そしてその上に手をかぶせて俺に見えないようにしてください。んで俺はその状態で何本先輩が机の上に置いたのか当てます。当てれたら俺の勝ち、当てられなかったら先輩の勝ちです。シンプルに10本なので俺の勝つ確率は10分の1ですけど、どうします?」

「面白れぇ。一回勝負ならやってやる。」

「マジか、やったぁ。」

「ほら目ぇつぶれ。...ほい、いいぞ。」

目を開けると机の上に左手を乗せる先輩。大きな先輩の手で隠れているのでつまようじの数は見えない。が、俺は何の迷いもなく答える。

「0本。」

「...お前マジかよ。」

先輩が手をどけると、机の上には一本もつまようじは無かった。つまりこの賭け、俺の勝ちだ。

「よっし!じゃあ約束通り、魔法少女と対人戦お願いしますね!俺はその様子じっくり観察させてもらいますんで!」

「その前にからくりを教えろ!なんで0本って分かったんだよ!」

「え、からくりなんて無いですよ。しいて言うなら勝率10分の1って言いましたけど。ああいえば天邪鬼な先輩なら一本も置かないかなって思っただけですよ。」

「...テメェの方が気持ち悪ぃわ。」

 かくして、俺は魔法少女の対人戦等をこの目で見物できるチケットを手に入れたのであった。超限定、当選激ムズのプレミアチケット、目いっぱい楽しませてもらう!
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