ヒロインの娘

めい

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ダグラス前侯爵の回想

異国風の冒険者

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男は冒険者だと言う。

「うーん。呼ばれたからきたけど、やっぱり都会は怖いなぁ」

いや、賭場で身ぐるみ剥がされるのは、自業自得だと思う。
こんな学生街で、横道にあるとはいえ賭博場があるのも不思議だが………

なぜか、この男を助けたい。と思わせる
アイリスも同じなのか、私を見つめてくる。

「はぁ~、いくら負けたんだ??」

「お貴族様が立て替えてくれるのか?
うちは金さえ回収できれば、何でも良いんだが」

店の店員が揉み手でやって来る。

「金貨8枚です。」

思ったより高い!!
どんな遊び方していたんだ。

「おい。そんなに負けてないぞ!!
たしか金貨4枚のはずだ。」

「ちっ……計算できるのかよ」

金貨4枚だって、相当なもんだ。
王都で平民家族4人が1月生活できるのが金貨3枚と習ったことがある。

「わかった、貸してやる。」

デートに念のため金貨5枚は持ってきて良かった。
店員に金貨4枚渡して、彼から取り上げた服や持ち物を持ってこさせた。

洋服も異国風だ。
旅の冒険者か?
それにしては言葉使いは別として、品も良い感じがするのだけど

「行くとこは、あるのか?
我が家の庭にある作業小屋なら寝泊まりくらい出来るぞ。」

アイリスは、私のことを尊敬な目でみてくる。
しかし、アイリスには釘をさす。

「アイリス、君が優しいのは良いが、
この街だとしても、危険がないとは言えない。
誰でも助けようとするのは、やめてくれ。」

伝える事は、伝えないといけない。

「フィリップ様、私だって全ての人を助けようとは思っておりません。
でも………この方は何か不思議な力があるような?
助けなければいけない、気がして……
フィリップ様も同じでは??」

アイリスも感じていたのか。
何だろう。不思議な気持ちにさせる彼

「あ、あ、そうだな」

冒険者の男が身支度出来たようで、私たちの前にきた。
先程までは気付かなかったが、ずいぶん見目が良い。
金髪に碧眼。着ている服も絹だろうか?質素に見えるが上等な品物だ。
金貨4枚では買えない品物なのがわかる。
金貨8枚を吹っ掛けてきたのも、賭場に誘われたのも服や持ち物が狙いだったのではないか??

「改めて助かった。感謝する。
俺は北の田舎領地アンドレアのジェームスと言います。」

笑顔で握手を求めてくる。

「フィリップ・ダグラスだ。こちらは友人のアイリス孃」

握手をかわす。彼の手はゴツゴツして大きい。騎士のような手をしていた。

「アイリス・ピコノールと申します」

「フィリップ様にアイリス様
見も知らずの私を助けていただき、ありがとうございます。」

アイリスの手を取り、キスの真似をする。

所作で貴族だという事を確信する。

「で、どうする?私はアイリスを寮まで送ってから帰るつもりだが、一緒に来るか?」

この男に興味がつきない。

「もし、ご迷惑でなければ、冒険者ギルドが開くまでご一緒させてください。」

ジェームスが頭を下げる。

「いや、迷惑はもう掛けられてるぞ。」

「!?」

悲壮な顔で頭をあげるジェームスを見て、笑いが込み上げてくる。
こんな、笑ったのはいつぶりだろう。

横でアイリスも笑っている。
ジェームスも苦笑い。

そのままアイリスを寮まで送り、
作業小屋と言っても、庭での茶会などで使用する調理場や休憩場所などが完備されている小屋で二人で朝まで酒を酌み交わした。



翌日、目を冷ますと

昨日酒盛りを交わした机には。
金貨5枚とポーション2本、手紙が置いてあった。

朝早くに冒険者ギルドに行き、お金と荷物を出した事。
気持ちよく、寝ているので起こさないで旅立つ。
ポーションは彼の領地で作られる品物であり、お礼として納めて欲しい。
何か困って手助けが必要になったら、一緒にある封してある手紙を領地に送ってくれれば、自分や家族が可能な限り協力する。
2人に直接挨拶が出来なく申し訳ない。
昨晩はとても楽しかった。と、書いてあった。

置き手紙と酒臭い部屋を残して、彼は旅立った。


不思議な出会いは、忙しい生活を送るなか忘れていった。

数十年後、その手紙が天使を私たちの元へ連れてきてくれ、私たち家族だけでなく多くの人を救ってくれることになる。
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