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ダグラス前侯爵の回想
限界
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もう限界だな。
横のベッドで寝ているアイリスを見て思う。
物語は愛した者同士が結婚して、ハッピーエンドで終わる。
私とアイリスは正に愛する者と結婚。
出来の良い息子にも恵まれ、なに不自由ない生活を送れている。
ハッピーエンドを迎えた夫婦のはずだった。
だが実際のアイリスは身体も心も壊し、
床に伏す事が多く、最後に笑ったのは何時であったか?
思い出すことも出来ない。
名門侯爵家当主。そんなものはアイリスより大事ではなかった。
もっと早くに息子へ、親戚の者へ相続させれば良かったのだ。
言い訳だな。
アイリスの変化をもっと真剣に受け止めていれば、ここまでの状況に陥らなかったはずなのだから。
結婚には消極的だった母は、公爵家出身。
伯爵家の中でも力の弱い実家から嫁いできたアイリスを次期女主人と母は認めなかった。
結婚後どんどん萎縮していくアイリス。
息子も3年目で産まれた。
嫡男の誕生に私たち夫婦と父である侯爵は喜んだが、出産が終わったばかりの妻に母は
「男子を2人生んで始めて嫁と認められるのだ。」
と、言い放った。
出産直後の嫁への暴言に、流石に父も母を嗜めたが、
「当たり前の事です。一人目を生むのに3年もかかったのだから、妾を認める事も考えてもらわなければ」
と、さらに暴言を吐く。
「子供など、養子を貰ってもかまわないのだから気にするな」
と、私と父が言っても、気休めにしかならず
少しづつアイリスの心を蝕んでいく。
嫡男である息子はスクスクと育ったが、
自分の手元で育てたい。との希望も母に却下され、乳母が面倒を見ることに、
10歳の洗礼時にダグラス家に多い水の魔法、母の実家フォルガ家に多い火の魔法のスキルを持つことがわかると、
母の孫への干渉が酷くなり、
公爵家令嬢と婚約させ、結婚に至る。
息子ジェームスの結婚するころには、私が侯爵を継いでいたが、
母の暴走は止まらなかった。
また、嫁も母と同じ身分至上主義。
アイリスを軽んじていた。
その状態を良しとしなかった父は母を連れて領地に戻り、
社交シーズンすら王都には訪れたなっていった。
母から解放されたダグラス家のタウンハウスでは、表面上アイリスを女主人として尊重するようになり、
私も王宮での仕事を少なくし、アイリスの体調にも改善されていった。
………ジェームスの末子ガブリエラの婚約が決定するまでは。
横のベッドで寝ているアイリスを見て思う。
物語は愛した者同士が結婚して、ハッピーエンドで終わる。
私とアイリスは正に愛する者と結婚。
出来の良い息子にも恵まれ、なに不自由ない生活を送れている。
ハッピーエンドを迎えた夫婦のはずだった。
だが実際のアイリスは身体も心も壊し、
床に伏す事が多く、最後に笑ったのは何時であったか?
思い出すことも出来ない。
名門侯爵家当主。そんなものはアイリスより大事ではなかった。
もっと早くに息子へ、親戚の者へ相続させれば良かったのだ。
言い訳だな。
アイリスの変化をもっと真剣に受け止めていれば、ここまでの状況に陥らなかったはずなのだから。
結婚には消極的だった母は、公爵家出身。
伯爵家の中でも力の弱い実家から嫁いできたアイリスを次期女主人と母は認めなかった。
結婚後どんどん萎縮していくアイリス。
息子も3年目で産まれた。
嫡男の誕生に私たち夫婦と父である侯爵は喜んだが、出産が終わったばかりの妻に母は
「男子を2人生んで始めて嫁と認められるのだ。」
と、言い放った。
出産直後の嫁への暴言に、流石に父も母を嗜めたが、
「当たり前の事です。一人目を生むのに3年もかかったのだから、妾を認める事も考えてもらわなければ」
と、さらに暴言を吐く。
「子供など、養子を貰ってもかまわないのだから気にするな」
と、私と父が言っても、気休めにしかならず
少しづつアイリスの心を蝕んでいく。
嫡男である息子はスクスクと育ったが、
自分の手元で育てたい。との希望も母に却下され、乳母が面倒を見ることに、
10歳の洗礼時にダグラス家に多い水の魔法、母の実家フォルガ家に多い火の魔法のスキルを持つことがわかると、
母の孫への干渉が酷くなり、
公爵家令嬢と婚約させ、結婚に至る。
息子ジェームスの結婚するころには、私が侯爵を継いでいたが、
母の暴走は止まらなかった。
また、嫁も母と同じ身分至上主義。
アイリスを軽んじていた。
その状態を良しとしなかった父は母を連れて領地に戻り、
社交シーズンすら王都には訪れたなっていった。
母から解放されたダグラス家のタウンハウスでは、表面上アイリスを女主人として尊重するようになり、
私も王宮での仕事を少なくし、アイリスの体調にも改善されていった。
………ジェームスの末子ガブリエラの婚約が決定するまでは。
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