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王都
義姉
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私はメロディー・アンドレア。
アンドレア家嫡男マイクの妻で、3歳の息子ヒイロの母です。
実家は子爵家ですが、領地を祖父の代で売ってしまい、今は王宮の税務官として働く父のお給料だけで生活してました。
兄弟が多く、上の兄と姉は学院に通いましたが、私を含めた他の兄弟たちは職業訓練校を卒業しています。
私は運が良いことに洗礼式で『査定』のスキルをいただけ、冒険者ギルドが学費の援助までしてくれ職業訓練校を卒業し就職出来ました。
冒険者ギルドの女性職員は華やかな容姿のものが多く、気後れする事も多かったです。
3年ほど窓口業務をこなし、お得意様の依頼者様や冒険者の方もでき、楽しく仕事をしていた時に本部の上席役員会議に呼び出され、アンドレア領の冒険者ギルドへの出向が命令されました。
あとで聞くと、
婚約者がおらず、身元が保証されており、面倒をかける親戚もいない。
そして、何より口が固いことが評価されての派遣だそうです。
王都のギルドから北部辺境への派遣なので、気付かないうちに失敗をおかし左遷されたと思い、謝ったところ、
アンドレアは出世街道の大本命との事。
数年勤め戻ってくれば、上役の席が約束されているそうです。
ただ居心地が良すぎて、せっかく出世を約束しても帰ってこない人が続出してしまうので、婚約者や養う家族がいない事が条件の1つだったのです。
配属前に、現地で見聞きした事は口外しないことを教会で魔法契約までして、アンドレアへ旅立ちました。
アンドレアの冒険者ギルドへ到着して、仕事を始めると驚きの連続でした。
まず、生活がとても楽です。
庶民たちまで魔道具が行き渡り、お風呂に毎日入れるし、食事も美味しい。掃除も掃除用のスクロールなるもので、埃を払ってくれる。
洗濯は、洗濯を専門に扱っている方たちにギルドを通じて出していて、お風呂の時に下着と寝間着を洗うぐらい。
王都で大家族を支えている母に、スクロールは無理でも食材を送ってあげたかったのですが、守秘義務の為に出来ない事が悔しかったです。
ギルドの仕事でも王都では滅多に見ることのない魔獣の素材が持ち込まれる。
『査定』の力をフル活用しました。
そんな充実した生活の中、出会ったのが後の旦那様であるマイクです。
彼がふらっとギルドに入ると、マジックバッグから素材をドサドサと出し始め、
「納品お願い。ギルド長に税金分。と伝えてー」
と、気軽に帰ろうとしました。
ギルドカードの提示もなく、高価な素材を預り証もなく置いていくなんて、冗談ではありません。
受付から乗りだし、帰ろうとした彼の腕を掴みました。
今から考えれば、お恥ずかしい。
「お待ちください。すぐに預り証を発行します。
手続きしていただかないと困ります!!」
思わず大きな声になってしまった事に気付き周りを見回すと、ギルド職員どころか冒険者の皆さんも固まってしまってます。
「そっか、ごめんね。」
手を取られた男性は捕まれてないほうの手で頭を書きながら謝ってくれました。
「いえ、こちらこそ。大きな声を出し、申し訳ありません。」
真っ赤になる顔を自覚しながら頭を下げると。
私の頭を宥めるようにポンポンと叩いてくれ、
「あっ!!ごめん。妹にいつもやってるから、癖で頭を撫でちゃった。嫌だったよね。
本当にごめん!!
預り証は、酒場にいるから終わったら言って。取りに戻るし、ゆっくりで良いよ」
と、言ってくださいました。
妹とは、従妹のバーバラの事でしたが、羨ましいと思った事を覚えています。
もう、この時にマイクの事が好きになっていたのだと思います。
その後、魔の森の奥に住む、アンドレア家いわく『女好きの白金竜』様に光の守護をいただいたり、マイクの弟や従妹から薬草や魔道具の知識を叩き込まれたり、
いつの間にか外堀を埋められ結婚をしてました。
王都ギルドの予想どうり、帰らない人の仲間入りとなったしだいです。
そして、不思議な事に、
いま、マイクと息子と一緒に都に移り、店を経営しております。
憧れてやまなかった学院でマイクやバーバラの代役の時だけですが、講師を勤める事にもなってしまいました。
金銭的に通うことすら出来なかった学院。
そこに学生ではなく講師で訪れることになるなんて、
本当に何が起こるかわからない世の中でございます。
アンドレア家嫡男マイクの妻で、3歳の息子ヒイロの母です。
実家は子爵家ですが、領地を祖父の代で売ってしまい、今は王宮の税務官として働く父のお給料だけで生活してました。
兄弟が多く、上の兄と姉は学院に通いましたが、私を含めた他の兄弟たちは職業訓練校を卒業しています。
私は運が良いことに洗礼式で『査定』のスキルをいただけ、冒険者ギルドが学費の援助までしてくれ職業訓練校を卒業し就職出来ました。
冒険者ギルドの女性職員は華やかな容姿のものが多く、気後れする事も多かったです。
3年ほど窓口業務をこなし、お得意様の依頼者様や冒険者の方もでき、楽しく仕事をしていた時に本部の上席役員会議に呼び出され、アンドレア領の冒険者ギルドへの出向が命令されました。
あとで聞くと、
婚約者がおらず、身元が保証されており、面倒をかける親戚もいない。
そして、何より口が固いことが評価されての派遣だそうです。
王都のギルドから北部辺境への派遣なので、気付かないうちに失敗をおかし左遷されたと思い、謝ったところ、
アンドレアは出世街道の大本命との事。
数年勤め戻ってくれば、上役の席が約束されているそうです。
ただ居心地が良すぎて、せっかく出世を約束しても帰ってこない人が続出してしまうので、婚約者や養う家族がいない事が条件の1つだったのです。
配属前に、現地で見聞きした事は口外しないことを教会で魔法契約までして、アンドレアへ旅立ちました。
アンドレアの冒険者ギルドへ到着して、仕事を始めると驚きの連続でした。
まず、生活がとても楽です。
庶民たちまで魔道具が行き渡り、お風呂に毎日入れるし、食事も美味しい。掃除も掃除用のスクロールなるもので、埃を払ってくれる。
洗濯は、洗濯を専門に扱っている方たちにギルドを通じて出していて、お風呂の時に下着と寝間着を洗うぐらい。
王都で大家族を支えている母に、スクロールは無理でも食材を送ってあげたかったのですが、守秘義務の為に出来ない事が悔しかったです。
ギルドの仕事でも王都では滅多に見ることのない魔獣の素材が持ち込まれる。
『査定』の力をフル活用しました。
そんな充実した生活の中、出会ったのが後の旦那様であるマイクです。
彼がふらっとギルドに入ると、マジックバッグから素材をドサドサと出し始め、
「納品お願い。ギルド長に税金分。と伝えてー」
と、気軽に帰ろうとしました。
ギルドカードの提示もなく、高価な素材を預り証もなく置いていくなんて、冗談ではありません。
受付から乗りだし、帰ろうとした彼の腕を掴みました。
今から考えれば、お恥ずかしい。
「お待ちください。すぐに預り証を発行します。
手続きしていただかないと困ります!!」
思わず大きな声になってしまった事に気付き周りを見回すと、ギルド職員どころか冒険者の皆さんも固まってしまってます。
「そっか、ごめんね。」
手を取られた男性は捕まれてないほうの手で頭を書きながら謝ってくれました。
「いえ、こちらこそ。大きな声を出し、申し訳ありません。」
真っ赤になる顔を自覚しながら頭を下げると。
私の頭を宥めるようにポンポンと叩いてくれ、
「あっ!!ごめん。妹にいつもやってるから、癖で頭を撫でちゃった。嫌だったよね。
本当にごめん!!
預り証は、酒場にいるから終わったら言って。取りに戻るし、ゆっくりで良いよ」
と、言ってくださいました。
妹とは、従妹のバーバラの事でしたが、羨ましいと思った事を覚えています。
もう、この時にマイクの事が好きになっていたのだと思います。
その後、魔の森の奥に住む、アンドレア家いわく『女好きの白金竜』様に光の守護をいただいたり、マイクの弟や従妹から薬草や魔道具の知識を叩き込まれたり、
いつの間にか外堀を埋められ結婚をしてました。
王都ギルドの予想どうり、帰らない人の仲間入りとなったしだいです。
そして、不思議な事に、
いま、マイクと息子と一緒に都に移り、店を経営しております。
憧れてやまなかった学院でマイクやバーバラの代役の時だけですが、講師を勤める事にもなってしまいました。
金銭的に通うことすら出来なかった学院。
そこに学生ではなく講師で訪れることになるなんて、
本当に何が起こるかわからない世の中でございます。
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