死に損ないの春吹荘 

ちあ

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二章 学校での立場とは

やはり差別があるようで

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 あのテストから時間が経ちまして。この度、クラスLINEというものが誕生いたしました。 
 これがなにを示すかって?入らないと、テスト系で毎回先輩たちにお世話になるってことだよ!これから範囲だんだん大きくなってくし!
 ……ということで、私たちみんな入れたんだけどー、宵衣先輩は入れません。
「おぉい、帝?」
「やーだー」
「先輩……」
「ネコちゃん?」
「もう無理だろ」
「お前だけか」
 うーん、入れよっていうメンツと、もうそれでいいよってメンツがいるなぁ。うん、まぁ、十人十色だもんね!(使い方、違くね?)
「別に入れなくてもー、センセーいるし~」
 まぁね、宵衣先輩のクラス担任灰咲先生ですからね。絶対的に入らなきゃいけない先生から情報もらえれば別に入る必要ないよねー。
「……めんど」
 小声で呟かないでください。
「それ言ったら僕らも、一人だけ入れればいーんじゃない?」
 あ、確かに。ソラの言うことも一理ある。
「LINEいじめされたくないしね」
「……はぁ」
 何故にため息をつくの、ユウは。
「どーせ俺だろ?」
「「え?」」
「全会一致で、俺にするんだろ」
 ユウさん、よくわかってらっしゃいますね!
「笑顔になんじゃねぇよ」
 あれ、私笑顔だった?
「……それ、クラス連絡もあるから、結局全員入れろ」
 と、瞬先輩が言う。
 あぁ~……宵衣先輩以外、入れなきゃ駄目なやつや。
「じゃ。帝以外、入れとけよ~」 
 うーん。宵衣先輩以外が、もうすでに定着しつつあるw


 てことで数日後。私は、伊勢田先生……ではなく!朱音からクラスLINEに招待してもらった。
「これでいい?」
「うん、ありがと、朱音」
「いや、この制度作ったの生徒会だし……普通にするけど」
 そう言いながらも、朱音は、参加用に交換した個人ラインに、『よろしく』とメッセージを送ってくれる。
 朱音、何気に律儀だし、結構ツンデレ?!
 とりあえず、開いてみますか。
 
『中等部二年C組
陽崎:よろしくお願いします。
田中:よろっす
一宮:はいんの、おそ。
百合野:別にそれくらいいでしょ。
宮川:はいはい~喧嘩やめー
田中:えーと、陽崎さん、俺と交換して、もらえる?
陽崎:はい
田中:ルール説明的なのするから』
 私はそこで一回落ちて、田中くんとのラインを見る。

田中:よろ。
陽崎:よろしく。
田中:ここのルールだけど、簡単に言うと、こう言う感じ』
 えーと、なになに?
『一、不快になる発言は控える。
 二、場を乱さない。
 三、常時連絡を邪魔しない。
 四、なにもない時は、好き勝手遊びましょー』
 いやぁ、偏見で言っていい?
 これさ、三番と四番以外、守られないパターンだよね。てか、集団心理で、二三番目に破った人、標的にされるよね。
 これさぁ。ルールじゃないじゃん。形だけのお約束、じゃん。
 LINEいじめ、ある意味きついからね??
 本人がそこにいないから、いつもより凶暴化するし、集団的にやるし。結構気が滅入るし、病む系なんだよなぁ……。
 んー……連絡以外、無視するか!
「ありがとね、朱音」
「え、ええ。なんか、嫌そうだけど?」
「んー、LINEてさ、馴染みないし、いじめの話とか聞くからさ。ちょっと平気かなぁ……みたいな?」
「あぁ、じゃ。頑張って」
「うん、ありがとね~」
 私がそう言うと、朱音は帰っていく。
 バレてないよね、マジ、死ぬほど嫌ってこと。
「クーちゃぁ~ん!」
 わぁっ!
「な、なんです、先輩」
「辛気臭い顔すんなぁ」
 マジ?
「うんっ♪ ボク、そーゆーのには鋭いから♪」
 まぁ、確かに鋭そうではある。うん。
「どーした?」
「いや、LINEが……いじめにつながりそうなルールだなって」
「あぁ~」
 宵衣先輩に納得してもらえるのって、変な感じだな。
「ねーねー、チョイっと見せて?」
「え、いーですけど……」 
 私はそう言うと、宵衣先輩にスマホを渡した。
「ふぅん……。なるね」
 なるね、って、なるほどね、ってことよね。うん。
「えーと、キミの友達ってだぁれ?」
「んーと、」
 ここでの話、よね。
「朱音だけ、ですね。あのー、百合野って名前の子です」
「百合野、朱音ちゃん?」
「はい、生徒会の子で」
 宵衣の顔が一瞬こわばる。
「ふぅん。 ま。がんばりなー」
「え?あ、はい」
 ん?宵衣先輩、今、ちょっと意味深な顔してたーーーか?
 うん、わかんない!
「クーレーちゃぁーーーて、ネコ先輩?」
「ん? あぁ、帝先輩」
「やっほー」
「おぉ、ソラ&ユウ」
「なに?それ」
「某企業の作品名みたいに言うな」
「え?なんだっけ?」 
 私、マジで語呂いいから言ったんだけど。これ、たぶん、無意識にパクってんな。
「アレだよ、ハワイのやつで、モンスターと女の子の話」
 んー……あ、あれか。名前は出さずともわかったぞ。
 宵衣先輩も、ソラも、『あぁ~あれか』って顔してますね。
「あの、帰りません?」
 あんたの変なツッコミからこうなったんだがーーーて、元を正せば、私のせいか。
「ん、帰るか」
「かーえーろぉ~」
「そーだな、帰るか」
 そう言って私たちは、ゾロゾロと春吹荘に帰宅した。



 それから数日後。
 わたしが久々にクラスLINEを見ると、そこでは……

『 中等部二年C組
一宮:あのさ、百合野 あんた、調子乗ってない?
金田:確かにぃ。場を乱すというか、目立つというかさぁ
宮川:おいおい、そーゆーのやめようぜ?
田中:ルールになしって言ったろ
一宮:いやいや、そもそも乱したの、百合野だから
矢田:ですよね~。 断罪なら、別じゃね?
田中:でも、ここでは禁止だから。
宮川:伊勢田せんせーもいるしよ、やめようぜ?
一宮:いいよ、じゃあ、みんな、違う部屋に移そ
宮川:……。
金田:いーってことだね
矢田:百合野、ちゃんときてね?』

 ……ちょいちょいちょい?
 え、私じゃなくて朱音パターン?!
 いや、まぁ、勘違いされやすいタイプの子かなってのはわかってたけど、ここまで?え、こんな?
 てか、話を乱してるっていうか、正論言ってるだけだよね?正論が嫌なのは、わかるけど、さすがにひどい。
 それに朱音、先生とか、上からの連絡の時くらいしか、コメントしてないのに。
 私は、どうしようかと悩んでから、一応こーゆー時は証拠が大事なので、移ることにした。

『断罪ルーム
一宮:ふぅん、そこそこだね。二十一人か。
矢田:百合野、いるね。
宮川:こーゆーの、よくねぇよ。
一宮:お前らが、ルールだのなんだの言ったから、別のルーム作ったんじゃん
田中:でもよぉ……
金田:そんなに嫌なら、出てけよ。作ったの、一宮ちゃんなんだからさ』

 ねぇ!結構な修羅場なんだけど。
 というか、これって……周りに相談してもいいのかな?伊勢田せんせーは、もう無理だし、頼るとしたら、ソラはやめて……ユウか、宵衣先輩くらい。
 灰咲先生でもいけるけど、ちょっと無理そうだな。
 私は、ユウと宵衣先輩にLINEで、

『今、ラインいじめっぽいのはじまってて! 友達がやばい、助けて』

 これでいいよね、あの人たちだし、きてくれるはず!
 いや、そう信じるしかできない。


百合野:で。なにをしたいの?
一宮:空気読めないあんたを、断罪したい♪
金田:まぁウザいしねー
矢田:仕方ないでしょ。
百合野:なにしろっての?
一宮:いや、目障りじゃん?
矢田:うるさいよねー、正論ばっか
金田:正論がいいならさ、どっかの宗教にでも入れば?
矢田:で、本題に入ろ?目障りだから、消えて欲しいの。
百合野:なにして欲しいか、はっきり言ってくれない?
一宮:いやぁ、別に、目障りで、煩くて、うざくて、一緒に居たくないだけよ。
矢田:どーしてほしいか、まぁぼんやりとしかないし?あんたは、そーゆー時、どうしてほしい?
百合野:距離を置く。
金田:距離置いてても嫌なの。
百合野:無視。
矢田:無視してても、視界に映るの
百合野:自分がどこか行けばいい。嫌なら、そいつの居ないとこいく。
金田:思ってる人数が多ければ?
百合野:ハブればいいでしょ、なに、なに言わせたいの?』

 朱音、一応強気に返してる。でも、これ……。
 強気で返す。だって、嫌だから。答えはわかる、死んでほしい、そう言えばいい。でも。そう言ったら、煽られて、死のうと思っちゃうから駄目。
 傷ついても、ボロボロでも、その言葉を言わないように、打たないように耐えないと。
 ……いつか、私もそんなこと思ってた。それ、結構辛いよね。


陽崎:あのさ、
一宮:なぁに、陽崎さん。
陽崎:これ、自殺強要だよね?
一宮:は?
金田:なに言ってんのー?
矢田:死んでほしいって、あんたも思ってんだ?』

ガラガラッ
 その時、扉が開いて、宵衣先輩とユウ、そしてソラが入ってきた。
「あ!」
「おいおい?」
「なにしてんのー」
「なんで僕に連絡しないの?!」
「ユウがいればどうせ来るじゃん」
「ひどっ」
「んな場合じゃねーだろ、見せろ」
 私は、みんなに見えるように、スマホを構えた。


矢田:てことは、陽崎も、私たち側ね。
一宮:百合野も仲良くしてたくせに~
金田:ひっどぉい』

「っ!」
 私は、否定を打とうとしたけど、ユウに取り上げられる。
「挑発に乗んな」
「かーしてっ♪」
 宵衣先輩がそれを取り上げる。
「あっ」
 タタッ
「そーしんっ♪」
 なに打ったんです、宵衣先輩!

陽崎:思ってないよ。経験論で語っただけで。
陽崎:というか、あんたってことは、そっちは思ってるってことだよね。
陽崎:自殺強要だよね、ほんとに』
 
 宵衣先輩ーーー?!
「ちょ。え、ちょ!」
「煽りすぎ!」
「わぁお……」
「大丈夫、これくらいは、言われる覚悟でやんなきゃね?」
 それはそうですけど……!

一宮:なにイキってんの、陽崎
金田:そーそ。自殺強要?いいなぁって言ってるだけだし
一宮:馬鹿なの?
金田:だよねー。
金田:おい、矢田!どした?
一宮:矢田~?
一宮:既読ついてるんだけど。なにしてんの?』

 あ、あれ?
 矢田さん、返信ない。
「一人くらい、ビビるだろ~。そしたら、内部で潰し合い出す」
「あぁ♪ そーしたら、こっちに気が回らないから、終わりってことね♪」
 な、なにそこ、わかり合ってんのよ……。
「朱音ちゃん、だっけ?」
「はい、朱音です」
「今から、会えるか聞きな。相談乗ってあげるべきだにゃ」
 まぁ、今回、なんかすっごい役に立ってる宵衣先輩のお言葉ですし、わかりました。

『百合野 朱音
陽崎:ね、朱音
百合野:なに
陽崎:ちょっと会えない?話し合って
百合野:いいけど、なに?
陽崎:あの~……クラスLINEの話
百合野:謝る気ない
陽崎:そーゆーことじゃないの。
陽崎:あれ、完璧おかしいし、関わりたくないなって思って
陽崎:どうするか、話したいんだー
百合野:わかった。 四時に、広場でいい?
陽崎:うん、待ってる!』

「これでいーですか?」
 私は宵衣先輩にスマホを見せる。
「うん、二人で話し合っておーいで」
「はい」



 そうして私と朱音は、孤立しつつも、LINEいじめから逃れた。
 ちなみに、矢田さんたちは、宵衣先輩の言った通り、内部分裂を起こしたようだ。知らないけど。
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