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七章 春吹荘崩壊
思い出
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お別れ。
大っ嫌いだった。
大っ嫌いなんだ。
昔も、今も。
ボクからいろんなもの取ってくから。
幼馴染みに、晴加ってやつがいた。
いつもにこにこしてた。 ボクとはちょっと違う意味で。
心配をかけないために笑ってたって感じ。
ボクは、自分を見放されないために笑ってたからは違う
だから、違うから君ならわかるかな?
ねぇ、晴加。
君との記憶ってさ、なんだろね。
ボクにとって君は救いだった。
でもね、呪いなんだ。
君がいたからボクは、今まで壊れきれなかった。
君が死んだからボクは自分を呪っていた。
君のこと大好き。
でもね、たまに気になるんだ。
ボクってどーすればいいのかなって。
よくわかんないよね。
答えなんてないよね。
わかってるって。
だから、雪芽たちに聞きに行くね。
糸吉を連れて下の階に降りると、そこには大人以外いない。
「……?」
「あら、ミカちゃーーー!」
ゆっきーが振り返ってこちらにすぐさま駆け寄る。
「どうしたの?」
「え?」
「目、真っ赤に晴れてるわ」
心配そうにボクの目の辺りをさする。
あ、そっか。
泣いたもんね、あれだけ。
そりゃそうなるか。
あはは……気がつかなかったや。
「大丈夫?」
優しく聞いてくる。
そっか、そっか。
ボクにあるのは、なにも晴加だけじゃないのか。
ゆっきーは、こんなに心配してくれたんだ。
ごめんね、ごめんね。
「ん」
ギュッとゆっきーを抱きしめる。
「ミカちゃ……」
「……」
「ふふっ。いー子、いー子」
頭を撫でられてまた泣き出しちゃった。
落ち着くと、ゆっきーはボクをソファに座らせて、ココアを入れてくれた。
ちびちびそれを飲む。
りっひーは、そんなボクをみながら、糸吉とじゃれる。
「ねぇ」
「んー?」
こっちをみずに返事をする。
りっひーらしいね。
「テープ」
「どーした?」
いや聞けよ!
「ちょっとぉ~、聞きなさいよ」
と、自分用の紅茶を入れてきたゆっきーがりっひーを注意する。
「悪りぃ悪りぃ」
で、なんだっけ?と素っ頓狂な顔して聞く。
「あははっ」
思わず吹き出した。
「?」
「ふふっ」
ゆっきーは笑った。
ワンテンポ遅れてたから……誰にたいしてかはわからないや。
「ワウウ」
なーでーろー!
と言わんばかりに、手を止めたりっひーに体を擦り付ける糸吉。
「わぉっと?! あ、悪い悪い」
なんでわんこに謝ってんだよww
いつもより、ちゃんと笑えた。
「で~、聞いてもいいのかしらぁ?」
ゆっきーが明るめに、しかし、気遣って聞く。
「いーよ」
ボクは答えた。
それから話した。
テープのこと。
晴加のこと。
あの日のこと。
泣きたかったってこと。
泣いていいよって言って欲しかったこと。
頑張るなって言って欲しかったこと。
十分だって言って欲しかったこと。
全部全部。
吐き出しはじめたら、止まらなくてずっと、泣きながら、ゆっくり、しゃくりあげながら、話した。
二人は黙って聞いてくれて。
最後には撫でてくれた。
「ごめんね、気がつかなくって」
って、ゆっきー。
ううん、いいの。
ボクも、君たちの優しさに気がつけなかったから。
ずっと悩んでたもん。
「悪かったな、言えばよかったわ」
思ってるだけじゃ伝わらねーもんだなって、りっひー。
そーだね。
だってボク、りっひーたちの優しさは分かったけど、本当に理解はしてなかったもん。
りっひーも、ゆっきーも、みんな同じなのに。
みんな、晴加のこと失ってるのに。
ひとりぼっちになろうとしちゃったからね!
「クゥ」
糸吉が体をくっつける。
「ん?」
って、覗き込んだら、ほっぺた舐められた。
「ふふっ」
ありがとね。
もう、平気かな。
まぁまだ治りはじめだけど。
治りはじめたよ、晴加。
とりあえず、天国かなんかで待ってやがれだ!
ふふっ。
君との時間が『思い出』なのか『記憶』なのか『記録』なのかはわからない。
でも、思い出だったらいいなぁ。
大っ嫌いだった。
大っ嫌いなんだ。
昔も、今も。
ボクからいろんなもの取ってくから。
幼馴染みに、晴加ってやつがいた。
いつもにこにこしてた。 ボクとはちょっと違う意味で。
心配をかけないために笑ってたって感じ。
ボクは、自分を見放されないために笑ってたからは違う
だから、違うから君ならわかるかな?
ねぇ、晴加。
君との記憶ってさ、なんだろね。
ボクにとって君は救いだった。
でもね、呪いなんだ。
君がいたからボクは、今まで壊れきれなかった。
君が死んだからボクは自分を呪っていた。
君のこと大好き。
でもね、たまに気になるんだ。
ボクってどーすればいいのかなって。
よくわかんないよね。
答えなんてないよね。
わかってるって。
だから、雪芽たちに聞きに行くね。
糸吉を連れて下の階に降りると、そこには大人以外いない。
「……?」
「あら、ミカちゃーーー!」
ゆっきーが振り返ってこちらにすぐさま駆け寄る。
「どうしたの?」
「え?」
「目、真っ赤に晴れてるわ」
心配そうにボクの目の辺りをさする。
あ、そっか。
泣いたもんね、あれだけ。
そりゃそうなるか。
あはは……気がつかなかったや。
「大丈夫?」
優しく聞いてくる。
そっか、そっか。
ボクにあるのは、なにも晴加だけじゃないのか。
ゆっきーは、こんなに心配してくれたんだ。
ごめんね、ごめんね。
「ん」
ギュッとゆっきーを抱きしめる。
「ミカちゃ……」
「……」
「ふふっ。いー子、いー子」
頭を撫でられてまた泣き出しちゃった。
落ち着くと、ゆっきーはボクをソファに座らせて、ココアを入れてくれた。
ちびちびそれを飲む。
りっひーは、そんなボクをみながら、糸吉とじゃれる。
「ねぇ」
「んー?」
こっちをみずに返事をする。
りっひーらしいね。
「テープ」
「どーした?」
いや聞けよ!
「ちょっとぉ~、聞きなさいよ」
と、自分用の紅茶を入れてきたゆっきーがりっひーを注意する。
「悪りぃ悪りぃ」
で、なんだっけ?と素っ頓狂な顔して聞く。
「あははっ」
思わず吹き出した。
「?」
「ふふっ」
ゆっきーは笑った。
ワンテンポ遅れてたから……誰にたいしてかはわからないや。
「ワウウ」
なーでーろー!
と言わんばかりに、手を止めたりっひーに体を擦り付ける糸吉。
「わぉっと?! あ、悪い悪い」
なんでわんこに謝ってんだよww
いつもより、ちゃんと笑えた。
「で~、聞いてもいいのかしらぁ?」
ゆっきーが明るめに、しかし、気遣って聞く。
「いーよ」
ボクは答えた。
それから話した。
テープのこと。
晴加のこと。
あの日のこと。
泣きたかったってこと。
泣いていいよって言って欲しかったこと。
頑張るなって言って欲しかったこと。
十分だって言って欲しかったこと。
全部全部。
吐き出しはじめたら、止まらなくてずっと、泣きながら、ゆっくり、しゃくりあげながら、話した。
二人は黙って聞いてくれて。
最後には撫でてくれた。
「ごめんね、気がつかなくって」
って、ゆっきー。
ううん、いいの。
ボクも、君たちの優しさに気がつけなかったから。
ずっと悩んでたもん。
「悪かったな、言えばよかったわ」
思ってるだけじゃ伝わらねーもんだなって、りっひー。
そーだね。
だってボク、りっひーたちの優しさは分かったけど、本当に理解はしてなかったもん。
りっひーも、ゆっきーも、みんな同じなのに。
みんな、晴加のこと失ってるのに。
ひとりぼっちになろうとしちゃったからね!
「クゥ」
糸吉が体をくっつける。
「ん?」
って、覗き込んだら、ほっぺた舐められた。
「ふふっ」
ありがとね。
もう、平気かな。
まぁまだ治りはじめだけど。
治りはじめたよ、晴加。
とりあえず、天国かなんかで待ってやがれだ!
ふふっ。
君との時間が『思い出』なのか『記憶』なのか『記録』なのかはわからない。
でも、思い出だったらいいなぁ。
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