32 / 66
その頃、山中研究所
しおりを挟む
トオルは新工場建設を目指していたが急に話が進まなくなっていた。
「所長、西園寺グループ、源グループともに断りの連絡がきました。」
トオルは席を立ち上がり、
「なんで!」
「しかも、両者とも今後の援助は打ち切ると言ってきてます。」
「なんでなんだ!新薬が大量に作れたらどれだけの人が助けられるか!よし、両者にはボクが直接交渉する。岩屋くんアポを取ってくれ。」
西園寺グループ、トオルはタツヤ社長に会いに来ていた。
「タツヤ社長!なぜ援助を打ち切るのですか、この新薬は世界を救う事が出来るのです。大量生産を果たす事、これは世界に求められていることなんです。どうか、再検討を!」
「だから?」
「何を言ってるのですか?西園寺グループは世界を救う気はないとおっしゃるのですか?」
「私としては世界を救う前に息子を守る事のほうが大事でね。」
「息子さんに何かあったのですか?」
タツヤはキレそうになるのを押さえながら。
「何、事故にあってね、一時期意識不明になっていたんだよ。一歩間違えばどうなったか。」
「それは・・・心中お察しします。しかし、それとこれとは話が違います!」
「いや、繋がるのだよ。」
「はい?」
「君の奥さんが殺そうとした、桐谷リョウくん。あれは娘の婚約者なんだ。私にとっても大事な大事な息子同然の人間だ。私も世界を救う為には横に置いて考えるべきかも知れないが、どうやら私にとって世界より家族のほうが大事らしい。社内でも反対意見はでたが、少なくとも私の父と私が健在のうちは支援しない方針に決まった。どう説得されても受ける事はない。わかったかね。」
「はい、失礼しました・・・」
トオルは肩を落とし、西園寺グループを後にした。
源グループでは会議室に通され、ヨシナリ社長から重役まで揃っていた。
「この度はお話出来る機会を頂きまして。感謝いたします。」
「よくも顔を出せたな!」
坂田専務が敵意をあらわしていた。
「え、えーと」
「まて、坂田!取りあえず話を聞いてからだ。」
「はっ!殿失礼しました。」
「部下が失礼したね、話を聞こうか。」
「はい、ボクが訴えたいのは新薬生産の為の工場建設の打診と資金援助の申し出です。」
「よくもまあヌケヌケと!」
卜部常務も怒りを向けてきた。
「押えろ卜部!さあ続きを。」
「はい、えーこの新薬ですが現在世界で流行している病気に対して、かなりの薬効が認められております。これを世界に配布できれば世界中で苦しむ人を救う事が出来ます。これに協力していただければ御社の名声は高まる事でしょう。」
「ふーん、じゃあ。その薬の権利を買い取ろう。」
「えっ!」
「君も世界を救いたいのだろ、金をやるから薬を渡せ。」
「何を言うのですか!」
「なんだ、渡せないのか?結局綺麗ごとのべても自分の名声が欲しいだけじゃないか!」
「いや、でも・・・」
「言っておくが、私としては君を支援するつもりは欠片もない!世界を救いたいと言う意思は受けとるから金で売るならよし。じゃなければ、別の研究所に支援を強め開発させる。」
「なぜ!ボクの所じゃダメなんですか!」
「君は娘の恩人を殺そうとした家の者だ、何故支援が受けれると思う。」
「えっ!娘の恩人って?」
「なんだ、桐谷リョウは知ってるだろ。君の嫁が殺そうとした相手だ。」
「あれは嫁も反省して・・・」
「反省?何を言ってる?君は反省したら家族を殺されかけても許せるのかね?じゃあ今から君の家族を病院送りにしてやるから、それから話そうか?」
「いや、何を・・・」
「君が言った事だろ、せめて相手と和解しないと話にならない。」
「しかし、嫁は謝罪に行きました。」
「追い返されたのだろ?そして、そのまま放置。ノーベル賞の嫁のお陰で、逮捕もされない、ニュースにもならない。やな世の中だな。」
「決してそのような事は・・・僕達も誠意を持って・・・」
「しかも、リョウくんは君にとっても恩人だったはず。なぜそんな真似が出来るか私には理解はできない。そして、我が源グループは昔から続く武門の家、恩義を忘れては成り立たない。我々が不義の輩に手を貸すことはあり得ないと知れ!」
ここでヨシナリの怒りが表面に出てきた。
あまりの威圧にトオルは腰が抜ける。
「いいか!これより源グループは山中研究所を敵と見なす!渡辺、坂田、卜部、薄井潰しにかかれ。」
「はっ!殿の御命令伺いました、これより各所に手配いたします。」
「うむ、西園寺にも一報入れておけ、この件に関して口出し無用、まあ、協力は受けると同盟の打診もしておこうか。」
「御意!」
「お、お待ちを・・・!」
「まだ、いたのか。渡辺摘まみだせ!」
「はっ!」
渡辺本部長はトオルを引きずりながら部屋を出る。
渡辺はトオルを玄関先に放り出し。
「貴様が殺そうとした相手はな、我々の主君になる予定相手なのだ!我等の怒りとくと受けるがよい!」
トオルは社に戻る渡辺を見送る事しか出来なかった。
「所長、西園寺グループ、源グループともに断りの連絡がきました。」
トオルは席を立ち上がり、
「なんで!」
「しかも、両者とも今後の援助は打ち切ると言ってきてます。」
「なんでなんだ!新薬が大量に作れたらどれだけの人が助けられるか!よし、両者にはボクが直接交渉する。岩屋くんアポを取ってくれ。」
西園寺グループ、トオルはタツヤ社長に会いに来ていた。
「タツヤ社長!なぜ援助を打ち切るのですか、この新薬は世界を救う事が出来るのです。大量生産を果たす事、これは世界に求められていることなんです。どうか、再検討を!」
「だから?」
「何を言ってるのですか?西園寺グループは世界を救う気はないとおっしゃるのですか?」
「私としては世界を救う前に息子を守る事のほうが大事でね。」
「息子さんに何かあったのですか?」
タツヤはキレそうになるのを押さえながら。
「何、事故にあってね、一時期意識不明になっていたんだよ。一歩間違えばどうなったか。」
「それは・・・心中お察しします。しかし、それとこれとは話が違います!」
「いや、繋がるのだよ。」
「はい?」
「君の奥さんが殺そうとした、桐谷リョウくん。あれは娘の婚約者なんだ。私にとっても大事な大事な息子同然の人間だ。私も世界を救う為には横に置いて考えるべきかも知れないが、どうやら私にとって世界より家族のほうが大事らしい。社内でも反対意見はでたが、少なくとも私の父と私が健在のうちは支援しない方針に決まった。どう説得されても受ける事はない。わかったかね。」
「はい、失礼しました・・・」
トオルは肩を落とし、西園寺グループを後にした。
源グループでは会議室に通され、ヨシナリ社長から重役まで揃っていた。
「この度はお話出来る機会を頂きまして。感謝いたします。」
「よくも顔を出せたな!」
坂田専務が敵意をあらわしていた。
「え、えーと」
「まて、坂田!取りあえず話を聞いてからだ。」
「はっ!殿失礼しました。」
「部下が失礼したね、話を聞こうか。」
「はい、ボクが訴えたいのは新薬生産の為の工場建設の打診と資金援助の申し出です。」
「よくもまあヌケヌケと!」
卜部常務も怒りを向けてきた。
「押えろ卜部!さあ続きを。」
「はい、えーこの新薬ですが現在世界で流行している病気に対して、かなりの薬効が認められております。これを世界に配布できれば世界中で苦しむ人を救う事が出来ます。これに協力していただければ御社の名声は高まる事でしょう。」
「ふーん、じゃあ。その薬の権利を買い取ろう。」
「えっ!」
「君も世界を救いたいのだろ、金をやるから薬を渡せ。」
「何を言うのですか!」
「なんだ、渡せないのか?結局綺麗ごとのべても自分の名声が欲しいだけじゃないか!」
「いや、でも・・・」
「言っておくが、私としては君を支援するつもりは欠片もない!世界を救いたいと言う意思は受けとるから金で売るならよし。じゃなければ、別の研究所に支援を強め開発させる。」
「なぜ!ボクの所じゃダメなんですか!」
「君は娘の恩人を殺そうとした家の者だ、何故支援が受けれると思う。」
「えっ!娘の恩人って?」
「なんだ、桐谷リョウは知ってるだろ。君の嫁が殺そうとした相手だ。」
「あれは嫁も反省して・・・」
「反省?何を言ってる?君は反省したら家族を殺されかけても許せるのかね?じゃあ今から君の家族を病院送りにしてやるから、それから話そうか?」
「いや、何を・・・」
「君が言った事だろ、せめて相手と和解しないと話にならない。」
「しかし、嫁は謝罪に行きました。」
「追い返されたのだろ?そして、そのまま放置。ノーベル賞の嫁のお陰で、逮捕もされない、ニュースにもならない。やな世の中だな。」
「決してそのような事は・・・僕達も誠意を持って・・・」
「しかも、リョウくんは君にとっても恩人だったはず。なぜそんな真似が出来るか私には理解はできない。そして、我が源グループは昔から続く武門の家、恩義を忘れては成り立たない。我々が不義の輩に手を貸すことはあり得ないと知れ!」
ここでヨシナリの怒りが表面に出てきた。
あまりの威圧にトオルは腰が抜ける。
「いいか!これより源グループは山中研究所を敵と見なす!渡辺、坂田、卜部、薄井潰しにかかれ。」
「はっ!殿の御命令伺いました、これより各所に手配いたします。」
「うむ、西園寺にも一報入れておけ、この件に関して口出し無用、まあ、協力は受けると同盟の打診もしておこうか。」
「御意!」
「お、お待ちを・・・!」
「まだ、いたのか。渡辺摘まみだせ!」
「はっ!」
渡辺本部長はトオルを引きずりながら部屋を出る。
渡辺はトオルを玄関先に放り出し。
「貴様が殺そうとした相手はな、我々の主君になる予定相手なのだ!我等の怒りとくと受けるがよい!」
トオルは社に戻る渡辺を見送る事しか出来なかった。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
距離を置きたい女子たちを助けてしまった結果、正体バレして迫られる
歩く魚
恋愛
かつて、命を懸けて誰かを助けた日があった。
だがその記憶は、頭を打った衝撃とともに、綺麗さっぱり失われていた。
それは気にしてない。俺は深入りする気はない。
人間は好きだ。けれど、近づきすぎると嫌いになる。
だがそんな俺に、思いもよらぬ刺客が現れる。
――あの日、俺が助けたのは、できれば関わりたくなかった――距離を置きたい女子たちだったらしい。
女子ばっかりの中で孤軍奮闘のユウトくん
菊宮える
恋愛
高校生ユウトが始めたバイト、そこは女子ばかりの一見ハーレム?な店だったが、その中身は男子の思い描くモノとはぜ~んぜん違っていた?? その違いは読んで頂ければ、だんだん判ってきちゃうかもですよ~(*^-^*)
クラスのマドンナがなぜか俺のメイドになっていた件について
沢田美
恋愛
名家の御曹司として何不自由ない生活を送りながらも、内気で陰気な性格のせいで孤独に生きてきた裕貴真一郎(ゆうき しんいちろう)。
かつてのいじめが原因で、彼は1年間も学校から遠ざかっていた。
しかし、久しぶりに登校したその日――彼は運命の出会いを果たす。
現れたのは、まるで絵から飛び出してきたかのような美少女。
その瞳にはどこかミステリアスな輝きが宿り、真一郎の心をかき乱していく。
「今日から私、あなたのメイドになります!」
なんと彼女は、突然メイドとして彼の家で働くことに!?
謎めいた美少女と陰キャ御曹司の、予測不能な主従ラブコメが幕を開ける!
カクヨム、小説家になろうの方でも連載しています!
幼馴染の許嫁
山見月あいまゆ
恋愛
私にとって世界一かっこいい男の子は、同い年で幼馴染の高校1年、朝霧 連(あさぎり れん)だ。
彼は、私の許嫁だ。
___あの日までは
その日、私は連に私の手作りのお弁当を届けに行く時だった
連を見つけたとき、連は私が知らない女の子と一緒だった
連はモテるからいつも、周りに女の子がいるのは慣れいてたがもやもやした気持ちになった
女の子は、薄い緑色の髪、ピンク色の瞳、ピンクのフリルのついたワンピース
誰が見ても、愛らしいと思う子だった。
それに比べて、自分は濃い藍色の髪に、水色の瞳、目には大きな黒色の眼鏡
どうみても、女の子よりも女子力が低そうな黄土色の入ったお洋服
どちらが可愛いかなんて100人中100人が女の子のほうが、かわいいというだろう
「こっちを見ている人がいるよ、知り合い?」
可愛い声で連に私のことを聞いているのが聞こえる
「ああ、あれが例の許嫁、氷瀬 美鈴(こおりせ みすず)だ。」
例のってことは、前から私のことを話していたのか。
それだけでも、ショックだった。
その時、連はよしっと覚悟を決めた顔をした
「美鈴、許嫁をやめてくれないか。」
頭を殴られた感覚だった。
いや、それ以上だったかもしれない。
「結婚や恋愛は、好きな子としたいんだ。」
受け入れたくない。
けど、これが連の本心なんだ。
受け入れるしかない
一つだけ、わかったことがある
私は、連に
「許嫁、やめますっ」
選ばれなかったんだ…
八つ当たりの感覚で連に向かって、そして女の子に向かって言った。
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる