俺とアーサー王

しゅん

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7日目「騎士王と買い物」

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今、俺の家はすごいことになっている。
アーサーが正座しながらテレビ見ていて、ランスロットちゃんが寝ながら漫画を見ている。
「何だこれ」
まるで、ニートの集合みていになってしもた。
このままではいけない。
「立て!お前ら、出かけるぞ」
「命令すんな、てめぇ」
今のは段落変えるいい所だったのに。

「おい、口が悪くないか?ランスロットちゃん」
あえて"ちゃん"の所を強調する。
「何だと、この人間風情が!」
ランスロットちゃんが俺に掴みかかってくる。
「うるせぇ!」
俺は昨日買ったランスロットちゃんの白いワンピースを引っ張った。
「あ、おい!やめろ、服が破ける!」
俺達が騒いでいると、
「主よ、出かけるとはどこへ?私はどこでも賛成です」
アーサーが反応した。
「フフン、もちろんショッピングだ!」
「私は黒のブラジャーが欲しい」
「分かった、黒の紐パンな、明日からはムチムチなパンツ一丁で生活してもらう」
ランスロットちゃんが俺の股間を殴ってきた。

俺の隣には自慢なのかムキムキの筋肉がよく見える服を着ている。それを見て感動するのは俺だけか···?鎧を脱ぐようになるとは。
そしてアーサーの隣に相変わらず白いワンピースを着ているランスロットちゃんがいる。こう見えてアーサーには中々懐いているらしい。
「主、どこに行くつもりですか?はっ!まさかあそこに···」
アーサーが俺の思考に気づいたように反応してくれる。
「そう···エオンのタイムセールだ」
しかも、おひとり様1個。アーサーとランスロットちゃんがいることによって合計3つ買える。
「おい人間、私には高級肉を買え」
キャメロットのやつらは肉の呪縛にでもかかってんのか。

「うおー、 すげー!」
店に入るなりランスロットちゃんが年相応の反応を見せる。
「タイムセールまでまだ時間があるからそこら辺ブラブラしようぜ」
俺がそんなこと言うと
「よし!フードコートに行こう!」
昼はもう食っただろう。
「お前のスポブラを買いに行ってやるよ」
「スポブラでは無い!黒いEカップ用のブラだ!」
お前そんなにないだろ、強いてAだろ。

本当はこういうことになるって思ってたのだが、本当にお約束どうりにやってしまうとは···
「あいつら、どこ行った?」
そう、迷子である。
くそっ、あいつらがいないと3つ買えない!
俺が頭をかいてなやんでいると···
そこで館内チャイムが響く。
『えー、迷子のおしらっ!』
そのチャイムはゴトっと音を立てるとすぐに、
『迷子ではない!迷子になった身内を探しに来たのだ!』
『や、やめてください!あぁ!ブラを、ブラを引っ張るのをやめてください!出てしまいます、色んなものがぁぁー!』
そこで放送が切れた。
一体何があったんだろう。急いで迷子センターに行って、惨状を目の当たりにしなければ。

「うーん、これは少しデカイな」
「いや、お前も成長したらハマるようになるぞ」
俺は迷子センターで係員のブラを試着しているランスロットちゃんと何か話し合っていた。
「ここのブラジャー屋は私に頑なにブラの試着をさせてくれんのだ」
当たり前だ、と思ったがつっこむとまた金的をやられそうなのでやめておく。
「って、あ!タイムセールまで時間がねぇ!行くぞランスロットちゃん!」
「その呼び方やめろ!」
俺はブラを持ったままのランスロットちゃんを食品売り場まで運んでった。

しかし、そこの場所に行った時既にそこには人だかりができており、入る隙はなかった。
くそっ、万事休すか。
しかしその中に見覚えのある巨体が。
そうアーサーである。
「主、見てください、いっぱい取れました!今日はコレで焼肉でもしましょう」
俺は買い物カゴの中を見ると、
「お前、しれっと高級肉入れてんじゃねぇよ」
騎士王がまさかこんな姑息な手を使うとは。

ちょっとだけランスロットちゃんとの親睦を深めることが出来て、いい行事だったと思う。

「おい、お前その肉分けろ」
「そんなに焦らなくても胸は育つぞ」
「私は小さい方が好きなのですが」
少し騒がしくなったウチは全然楽しいです。

──とある場所。
「あれっ?私のブラは?」





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