俺とアーサー王

しゅん

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8日目「騎士王と外食」

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「まずい···オワタ」
俺は今勉強をしてる。教科書や参考書にノートを広げ、あたかも勉強ガチ勢ですかのように見せつけている感じになっている。
「どうしたんです、主」
「うるさいな、人間」
というか、原因はほとんどこいつらにあるのだが。
家事をしつつ合間を縫って勉強をする予定だった。なのに!
アーサーの奪取に来た、ランスロットちゃんの事や、そのランスロットちゃんの我儘など、一息つける間もない。
「あのな、俺はテスト期間なんだ、お前らには構ってられない、ご飯作る暇もないから無駄遣いしない程度に外に食べに行ってくれ」
アーサーとランスロットちゃんが顔を見合わせる。
「し、仕方ないですね、主の命令ですし」
「そうだな!仕方ないから外食するか!」
その後2人でガッツポーズしたのを俺は見逃さなかった。

「どこへ行きます?ランスロット卿」
「アーサー王に任せます」
私たちは国道付近をブラブラしながら店を探していた。
せっかく主が外で食べろ、と言ったのだ。中途半端な値段のものを食べても主に失礼かもしれない。ならば色々ぶちまけていいのではないか?
「そうですね···」
私は考えると1つの店に目が着いた。
「「あそこは?」」
被ってしまった。

「ランスロット卿、貴方は私に任せる、と言いましたね」
「いえいえ、アーサー王こそどこがいいか聞いたではありませんか」
私が指さしたのはバイキング、時間制で無限に食べることが出来る素晴らしい店だと思う。
しかしランスロット卿が指さしたのは高級な寿司屋。
「かの騎士王がそんな安っぽいものを食していたら民が呆れますよ」
「いや、騎士王がどれほど豪快な者か見せつける方が私は良いのだ」
値段的には確かに寿司屋の方が勝るだろう。だが私は沢山食べたい。質より量、軍隊よりモードレッドなのだ。
「では、勝負で決めましょう、アーサー王」
一体この少女は何で私と戦うというのだろう。正直言って絶対勝てる自信がある。
さぁ、一体何で──!
「どちらが先にイクか!」

「くっ、ううっ!ラ、ランスロット卿!どこでッ、そんなテクニックをッ!」
「ハァハァ···アーサー王、そんなものですか!」
そう、私たちは近くの公園で腹筋勝負をしていた。
ランスロット卿の運動した方がお腹も空くということに賛成し、そこにあった芝生を見て、私もランスロット卿も閃いた。
腹筋だ!
それで交互に足を抑えてもらいながらやっているのだが···
ランスロット卿がこちょこちょして邪魔してくる。
「うおおッ!ずるいですよランスロット卿!」
「何もおかしなことを私はしてません!おかしいというのであればルールブックを持ってきてください!」
結果、100回できた。
「さぁ、ランスロット卿あなたの番です」
絵面的にヤバそうだがこれは列記とした騎士の勝負であるから仕方ない。
しかしランスロット卿は静かに不敵な笑みを浮かべながら、口を開いた。
「やっ、やめてくださいー!こんな公衆の面前でぇ!」
私はそこから逃げるように走り出した。

「私への敬意はどこで捨ててきたのですか」
「会議の途中で人間の家まで逃げ込む王に敬意もクソもありませんよ」
本当のことなので反論できない。
「では、ランスロット卿の記録は0なのでバイキングですね」
「アーサー王、先程の不敬お詫び致します」
ランスロット卿の手のひら返しに困惑して、ジャンケンしたら私が買ったのでバイキングで大量に食べた。

「美味しかったですねランスロット卿」
「ええ、次は寿司屋に行きましょう」
この子の要求は主に叶えてもらいましょう。
「買い物してから帰りましょう」
その足でスーパーに向かった。

「何これ」
俺の前には正座してるアーサーと座禅を組んでるランスロットちゃんがいる。そして俺たちの間にスーパーの袋、そしてその中に脂の乗った大トロがある。
「アーサー、お前、前にもこんなのあったな、覚えてるか?」
「はい、ですがあの時より安いです」
いや、問題はそこじゃないんだよ。
「何でこうなっちゃうかな」
俺がゴソゴソ袋を漁って中からある物を出す。
俺の手には大トロが。
「よし、私が1つ丸々食ってやるから心配すんな」
俺は咄嗟にランスロットちゃんの届かない高さに2つの大トロを挙げる。
「1つは保存して1つは食うよ、おっ、なんだ欲しいか?この大トロが欲しいのか?このチッ!」
チビって言おうとしたら股間殴られた!

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