41 / 193
転入生
夏が来る
しおりを挟む
「え...ナツさん?」
「話は後だ、戦いに集中するといい」
これは僕が見ている夢だろうか、確かに心では現実を否定し戦うことによって埋めていた穴があった。
それが逃げることだとも分かっていた。
でも彼は僕の目の前にいる。
きっとナツさんの固有魔法だ。
今はそれが一番幸せなんだ。
「ナツ...俺を利用したのか」
利用?どういうことだろう。
「人聞きが悪いな、君が独りでやったことだろう?」
「あぁ、そうか...そういう事か」
ウラマは空を見上げて言った。
全ては彼の思惑通りなのだ。
利用するだけして後はポイ。
「だったら、死ぬまで殺してやる...!」
ウラマの周りから衝撃が発生しクエルタの氷も瓦礫も全て吹き飛び更地になった。
「ナツ、俺は一瞬あんたの事をすげぇと思った時期があった、だけどすぐに勘違いだってわかったよ、もうあんたはステージに立たなくていいんだよ、鬱陶しい詐欺師が」
彼らには一体どんな過去があったんだろう、そんなことは知る余地も無くこの戦いは終わっていくのだろう。
「リッカ君、僕は後方支援だ、戦闘は君に任せる」
「そうだリッカ、俺にはお前がいるんだ...お前がァ」
距離はあまり遠くは無い、一方踏み出し先にあの手を切り落とせばいい。
お互い構える。
僕は一気に走り出した。
ウラマも構えるが空間圧縮が間に合わないスピードで詰める。
しかしウラマは消えた。
しまった...!これは圧縮ではなく移動だ。
背後を取られ右手が肩に触れる。
「まずい──」
しかしその手には鎧が自動的に襲いかかりお互いに未遂で終わった。
アヴがやってくれたのか?後で礼を言わないとな。
そんなことを考えている途端にウラマは僕の後ろにいた。
また移動か...!
アヴの鎧を着た僕とて光の速度は追えない。
しかし移動の際には必ず僕に近づくタイミングがある、そこを狙って──。
「リッカ君!真上だ!」
やばい!
僕はすぐにカウンターの構えに入った。
間一髪で避けたが足がもう使い物にならない。
地面に座った状態でウラマとの勝負は厳しいだろう。
しかし彼の右手には深手を負わせた、お互いきついだろう。
そこにウラマが近づいてきた。
この状態で何とか──。
「お前は、リッカ、俺みたいになるなよ」
彼は悲しそうな顔をしていた。
するとウラマは振り返りナツさんの方向へと走っていった。
そして慣れないだろう左手でナツさんに殴りかかろうとした。
「ナァツッッッ!」
「弱いな、君は」
そこでウラマはハッとした。
あぁ、俺はステージに最初から立ってなんかいなかった。
最初から俺は主人公を光らせるためのライト。
そして必ず消える、一つの影でもある。
俺はただ、観客で良かったんだ。
ナツの後ろにいつの間にかいたパーティーがウラマを殴り返した。
それはそれは、渾身も渾身、顔の原型など留めていないだろう。
「フゥン、無様だァ」
「ありがとう、パーティー」
───
俺は死んだのか。
好き勝手生きて、最後は手の平で踊らされていたように思わされて終わりとは、なんとも切ない。
「君も僕と一緒だよ、モルド」
「あぁお前か、シャッターマン」
「僕は君の何だった?」
「お前は俺の...」
共演者?監督?それとも友達?
「俺とお前が友達かぁ、そんな時期もあったな、でももう違うだろ、俺とお前は一緒に地獄に落ちる。利用された者同士仲良くしようよ」
「地獄か、俺に相応しいかもな」
「どうしたの?モルドらしくない」
「分かったんだ、お前の気持ちが、そうかこんなにも自分が可笑しいのか」
「それだけ?」
俺は立ち上がった。
「まだ、心が踊り始めてるさ」
「そう来なくっちゃ」
「仲良くな、寄り道しながら進もう」
そして消えた。
「話は後だ、戦いに集中するといい」
これは僕が見ている夢だろうか、確かに心では現実を否定し戦うことによって埋めていた穴があった。
それが逃げることだとも分かっていた。
でも彼は僕の目の前にいる。
きっとナツさんの固有魔法だ。
今はそれが一番幸せなんだ。
「ナツ...俺を利用したのか」
利用?どういうことだろう。
「人聞きが悪いな、君が独りでやったことだろう?」
「あぁ、そうか...そういう事か」
ウラマは空を見上げて言った。
全ては彼の思惑通りなのだ。
利用するだけして後はポイ。
「だったら、死ぬまで殺してやる...!」
ウラマの周りから衝撃が発生しクエルタの氷も瓦礫も全て吹き飛び更地になった。
「ナツ、俺は一瞬あんたの事をすげぇと思った時期があった、だけどすぐに勘違いだってわかったよ、もうあんたはステージに立たなくていいんだよ、鬱陶しい詐欺師が」
彼らには一体どんな過去があったんだろう、そんなことは知る余地も無くこの戦いは終わっていくのだろう。
「リッカ君、僕は後方支援だ、戦闘は君に任せる」
「そうだリッカ、俺にはお前がいるんだ...お前がァ」
距離はあまり遠くは無い、一方踏み出し先にあの手を切り落とせばいい。
お互い構える。
僕は一気に走り出した。
ウラマも構えるが空間圧縮が間に合わないスピードで詰める。
しかしウラマは消えた。
しまった...!これは圧縮ではなく移動だ。
背後を取られ右手が肩に触れる。
「まずい──」
しかしその手には鎧が自動的に襲いかかりお互いに未遂で終わった。
アヴがやってくれたのか?後で礼を言わないとな。
そんなことを考えている途端にウラマは僕の後ろにいた。
また移動か...!
アヴの鎧を着た僕とて光の速度は追えない。
しかし移動の際には必ず僕に近づくタイミングがある、そこを狙って──。
「リッカ君!真上だ!」
やばい!
僕はすぐにカウンターの構えに入った。
間一髪で避けたが足がもう使い物にならない。
地面に座った状態でウラマとの勝負は厳しいだろう。
しかし彼の右手には深手を負わせた、お互いきついだろう。
そこにウラマが近づいてきた。
この状態で何とか──。
「お前は、リッカ、俺みたいになるなよ」
彼は悲しそうな顔をしていた。
するとウラマは振り返りナツさんの方向へと走っていった。
そして慣れないだろう左手でナツさんに殴りかかろうとした。
「ナァツッッッ!」
「弱いな、君は」
そこでウラマはハッとした。
あぁ、俺はステージに最初から立ってなんかいなかった。
最初から俺は主人公を光らせるためのライト。
そして必ず消える、一つの影でもある。
俺はただ、観客で良かったんだ。
ナツの後ろにいつの間にかいたパーティーがウラマを殴り返した。
それはそれは、渾身も渾身、顔の原型など留めていないだろう。
「フゥン、無様だァ」
「ありがとう、パーティー」
───
俺は死んだのか。
好き勝手生きて、最後は手の平で踊らされていたように思わされて終わりとは、なんとも切ない。
「君も僕と一緒だよ、モルド」
「あぁお前か、シャッターマン」
「僕は君の何だった?」
「お前は俺の...」
共演者?監督?それとも友達?
「俺とお前が友達かぁ、そんな時期もあったな、でももう違うだろ、俺とお前は一緒に地獄に落ちる。利用された者同士仲良くしようよ」
「地獄か、俺に相応しいかもな」
「どうしたの?モルドらしくない」
「分かったんだ、お前の気持ちが、そうかこんなにも自分が可笑しいのか」
「それだけ?」
俺は立ち上がった。
「まだ、心が踊り始めてるさ」
「そう来なくっちゃ」
「仲良くな、寄り道しながら進もう」
そして消えた。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
9
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる