箱入りの魔法使い

しゅん

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転入生

長い祭

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ウラマは死んだ。

彼は顔の上半分が吹き飛ばされていて脳みそが出ていた。

それでも彼は笑っていたのだ。

「パーティーさん、良かったんですか?ウラマさんは友達では...」

「道を違えた友にこそ、私の鉄槌が必要だった。私ももっと早く気づくべきだったぁ」

「何はともあれ、皆無事だ、避難している」

無事、確かにそうだ。

でもこの地面に大量に滴っている赤い血はきっとたくさんの犠牲者の物だ。

「ナツさん、ウラマさんは何が目的だったんでしょうか」

「それはまさに、神のみぞ知る、だね」

クエルタの氷がとけ始めた。

「でもリッカくん、まだ終わってないみたいだ」

デカブツがピンピンしている。

まさかあの二人を──。

「安心しろリッカ君、死体は無い。彼女達は逃げただけだ」

この人は本当に人の考えを汲み取るのが早い。

その心配はやめてまた戦いに集中する。

「ナツさん、こいつは一体」

「見る限り古代兵器の一つだね、引き金ひとつで火を吐き出す道具だ」

魔法じゃなかったのか。

だったらあの武器を落とさせれば被害は抑えられる。

と思ったのだが。

「グアッ!」

「どうした!リッカ君」

アヴだ、半分力を貸した方の片割れ。

あいつが体を乗っ取ろうしている。

ウラマさんとの戦いで僕の自我も消えかえている。

鎧がだんだん僕を侵食していく。

このままでは皆の迷惑に...

精神世界に入っしまえば体を動かすことなんて絶対できない。

「頼む...やめてくれ...」

『マァコンカイハタノムゼハンブンノオレ、コイツオモシロイヤツダゼ』

「...アヴ...!」

デカブツが古代兵器から火を吹き出す。

僕はそれをモロに食らった。

「僕ちゃんに何をするぅ!」

パーティーさんがそれを殴り飛ばす。

傍から見れば大火傷だろう。

「むっ、僕ちゃん中々タフだなぁ」

鎧は剣だけに戻り、その剣は火さえも一刀両断した。

「僕が手を貸すまでもない、か」

リッカ君、君は本当に──

そのままデカブツをも半分こにしたのだ。

──僕の都合よく動いてくれるな。

───

「もういいよ、君たちと戦う必要が無くなった。美味しいご飯でも食べに行こうかな」

「そっちが逃げるなら仕方ないが乗ることにしよう」

ハルと謎の魔王軍の生き残り。

彼らの戦いは終わった。

「はぁ、やはり学校側にはバケモノが揃っているようだ」

魔王軍の生き残りも帰ろうとした。

「ねぇ、話がある」

それはクエルタとサフィだった。



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