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第八章 ポールの冒険
136話 魔法の島
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ヴァース暦1685年1月24日、ルフスレーヴェ、ラルーカ島上陸。
⸺⸺ラルーカ島⸺⸺
自然豊かな島であり、島の東側をエルフの国『ニンファ王国』が、西側をヒュナムの国『ドクラーク王国』がそれぞれ治めている。
ニンファ王国の民は魔力の扱いに長け、ドクラーク王国の民は錬金術の扱いに長けている。
両国は長年友好的な関係を築いており、その象徴として魔法と錬金術の融合によって生み出される“魔法生物”がこの島の名物となっている。
⸺⸺ドクラーク王国、王都ドクラーカ⸺⸺
ルフレヴェ一行は島の西側のドクラーク港に船を停泊させ、ドクラーク王国の王都へと足を踏み入れた。
「わぁぁ、本当にぬいぐるみや人形が歩き回ってる……」
ミオは目をキラキラとさせながらそのメルヘンな街並みを見渡す。
勿論ヒュナム族やその他種族の人間もたくさん歩いていたが、それと同じくらいの数の魔法生物が自分の足でてくてくと歩き回っていた。
『うわぁ、なんか変な感じ……。オイラ、ここでなら独りで歩いても変な目で見られないね』
ポールはそう言ってミオのリュックから飛び降り、自分の足で王都の大通りを感じる。
「普段こんな事できねぇし、自分で歩くのは構わねぇがお前は気配がねぇから絶対に逸れるなよ……」
と、クロノ。
『うん、分かってるよ。オイラちょっとあっちのお店見てくるから』
ポールは小さな手を振りながら露店を目指して歩いていく。そんな様子に早くも不安を覚えるクロノであった。
そんな時、エルフ族の女性がルフレヴェの前へと姿を現す。
「いたいた! やっと来たわね。まったくどれだけ待ったと思ってるのよ」
「えっ、私たち、ですか……?」
ミオは驚きつつも代表で受け答える。すると、彼女の脳内で聖霊たちが騒ぎ出す。
『ミオ、ティニーよ!』
と、ミシェル。
『お転婆ティニーですわね』
『地の聖霊、パウラたちのお友達』
「聖霊さんだって!」
ミオがそう叫ぶと、周りの皆も驚きを顕にする。そんな彼らを見てティニーはドヤ顔で自己紹介を始めた。
「ふふん。ウチは“地の聖霊ティニー”よ! ミオが来るのずっとずっと待ってたんだからね、感謝しなさいよねっ!」
「な、なんかうるさそうな聖霊だな……」
と、ケヴィン。
「ちょっとアンタ! こんなおしとやかなレディに向かって失礼しちゃうわねっ。ふふん、ウチは聖霊の間じゃ大人しいで有名で……」
「その聖霊のシスネが“お転婆ティニー”って言ってたよ」
と、ミオ。
「な、何ですって!? シスネにだけは言われたくないわよ!」
ティニーは両腕をパタパタとさせて怒りを顕にする。それに対し国綱が「それはワシも同意じゃ……」と苦い顔をして呟いていた。
「ったく、じゃぁ早速アルバウスまで案内するわ。融合はその後でいいわね」
「分かった、じゃぁポールを呼んでこないと……」
ミオはそう言ってポールの居るはずの露店へ向かうが、すぐに引き返してくる。
「ポール……居なかった……」
「なんか、そんな気はしたよね……」
と、クライヴ。
「もう勘弁してくれ……」
クロノは額を押さえる。
そして、一同の大きな大きなため息が王都の片隅に響きわたったのであった。
⸺⸺ラルーカ島⸺⸺
自然豊かな島であり、島の東側をエルフの国『ニンファ王国』が、西側をヒュナムの国『ドクラーク王国』がそれぞれ治めている。
ニンファ王国の民は魔力の扱いに長け、ドクラーク王国の民は錬金術の扱いに長けている。
両国は長年友好的な関係を築いており、その象徴として魔法と錬金術の融合によって生み出される“魔法生物”がこの島の名物となっている。
⸺⸺ドクラーク王国、王都ドクラーカ⸺⸺
ルフレヴェ一行は島の西側のドクラーク港に船を停泊させ、ドクラーク王国の王都へと足を踏み入れた。
「わぁぁ、本当にぬいぐるみや人形が歩き回ってる……」
ミオは目をキラキラとさせながらそのメルヘンな街並みを見渡す。
勿論ヒュナム族やその他種族の人間もたくさん歩いていたが、それと同じくらいの数の魔法生物が自分の足でてくてくと歩き回っていた。
『うわぁ、なんか変な感じ……。オイラ、ここでなら独りで歩いても変な目で見られないね』
ポールはそう言ってミオのリュックから飛び降り、自分の足で王都の大通りを感じる。
「普段こんな事できねぇし、自分で歩くのは構わねぇがお前は気配がねぇから絶対に逸れるなよ……」
と、クロノ。
『うん、分かってるよ。オイラちょっとあっちのお店見てくるから』
ポールは小さな手を振りながら露店を目指して歩いていく。そんな様子に早くも不安を覚えるクロノであった。
そんな時、エルフ族の女性がルフレヴェの前へと姿を現す。
「いたいた! やっと来たわね。まったくどれだけ待ったと思ってるのよ」
「えっ、私たち、ですか……?」
ミオは驚きつつも代表で受け答える。すると、彼女の脳内で聖霊たちが騒ぎ出す。
『ミオ、ティニーよ!』
と、ミシェル。
『お転婆ティニーですわね』
『地の聖霊、パウラたちのお友達』
「聖霊さんだって!」
ミオがそう叫ぶと、周りの皆も驚きを顕にする。そんな彼らを見てティニーはドヤ顔で自己紹介を始めた。
「ふふん。ウチは“地の聖霊ティニー”よ! ミオが来るのずっとずっと待ってたんだからね、感謝しなさいよねっ!」
「な、なんかうるさそうな聖霊だな……」
と、ケヴィン。
「ちょっとアンタ! こんなおしとやかなレディに向かって失礼しちゃうわねっ。ふふん、ウチは聖霊の間じゃ大人しいで有名で……」
「その聖霊のシスネが“お転婆ティニー”って言ってたよ」
と、ミオ。
「な、何ですって!? シスネにだけは言われたくないわよ!」
ティニーは両腕をパタパタとさせて怒りを顕にする。それに対し国綱が「それはワシも同意じゃ……」と苦い顔をして呟いていた。
「ったく、じゃぁ早速アルバウスまで案内するわ。融合はその後でいいわね」
「分かった、じゃぁポールを呼んでこないと……」
ミオはそう言ってポールの居るはずの露店へ向かうが、すぐに引き返してくる。
「ポール……居なかった……」
「なんか、そんな気はしたよね……」
と、クライヴ。
「もう勘弁してくれ……」
クロノは額を押さえる。
そして、一同の大きな大きなため息が王都の片隅に響きわたったのであった。
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