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12話 お友達
翌日から私の夢のような生活が始まった。
ばあや様が仕立てて下さった背中に大きなリボンのついた可愛いドレスを着て、髪は編み込みにしてもらい、可愛いお花の髪飾りを付けてもらった。
朝食はアーレンス城では色んなパンが並んでいたけど、ここではマフィンやパンケーキが並んでおり、私が夜中にくすねていたような普通のパンはなかった。
朝食後は使用人さんたちと一緒にオスカー様がお出かけになるのをお見送りする。
今日は夕方まで戻られないそうだ。もっとオスカー様とお話ししたいと思っていたから、少しだけ寂しくなった。
そんな贅沢な寂しさを覚えるなんて、幸せな証拠だと、私は感じた。
⸺⸺
昨日はレベッカ様に屋敷の中を案内してもらったため、今日は屋敷の外の広いお庭を案内してもらった。
綺麗に剪定された色んな形の植木を見ながら2人でお庭を歩く。
「こんなふうに誰かとお庭を歩くのは初めてです」
私がそう言うと、レベッカ様はクスッと笑った。
「昨日は、誰かとお屋敷の中を歩くのは初めてだと仰っしゃっていましたね。初めてのことがたくさんですね」
「そうなんです。初めてのことばかりなんです。次はどんな初めてのことが待っているか、楽しみで仕方がないのです」
「実は、私も誰かにお仕えするのはこれが初めてなのですよ」
「まぁ、そうでしたのね。初めて同士ですね」
「はい! 初めてお仕えするのがフローラ様で良かったです。私、フローラ様のためなら何でもしますから、何でも遠慮なく仰っしゃって下さいね!」
レベッカ様はそう言って手をグッと握り、気合のこもった瞳で私を見てきた。
「それなら私、早速レベッカ様にお願いがあります」
「はい! なんなりとお申し付けください!」
「あの、私……今までに一度もお友達ができたことがないのですが、レベッカ様は私のお友達になって下さいますか?」
「お友達……私なんかでよろしいのですか!? 使用人ですよ?」
「やはり、お嫌でしょうか……」
少し贅沢を言い過ぎた、そう思ってシュンとしていると、レベッカ様は私の手を両手でギュッと握りしめてきた。
「嫌な訳がございません! 私で良ければ、フローラ様のお友達になります! 実は年も21歳で、フローラ様と近いのですよ!」
「まぁ、レベッカ様……ありがとうございます! 初めてお友達ができました。2つ違い、なのですね。それでお友達とは、一体何をなさるのでしょうか……」
「そうですね……まずは、言葉遣いからお友達っぽくしてみましょう! 2人の時は、私も敬語を省略させていただきます」
「お友達は敬語を使わないのですか?」
「ええ、そうよ! だから気軽にレベッカって呼んで。私もフローラって呼ぶから!」
そのレベッカ様の変わりように少し驚いたけど、これがお友達……。敬語や敬称を使っていないのに、なぜだか失礼に感じない。それが、お友達なんだ。
「れ……レベッカ! こ、これでよろ……よろし……?」
「これでいい? だよ」
「レベッカ、これでいい?」
「うん、完璧だよフローラ!」
「わぁ、これがお友達……! なんだか楽しいです! えっと、楽しい!」
「うんうん、いい感じ。じゃぁ、一緒に町に遊びに行こう!」
「町?」
「オスカー様の治めるこのシュナイダー領の、お屋敷に隣接している『ルスティの町』だよ。すごく良いところだから、フローラも楽しいと思う」
「本当? 私、行ってみたい……!」
「よし、じゃぁ早速行こう。まずは一緒にフローラの外出許可をバーバラ様に取りにいこう」
「はい!」
私は期待に胸を膨らませて、レベッカと共にばあや様のもとへと向かった。
ばあや様が仕立てて下さった背中に大きなリボンのついた可愛いドレスを着て、髪は編み込みにしてもらい、可愛いお花の髪飾りを付けてもらった。
朝食はアーレンス城では色んなパンが並んでいたけど、ここではマフィンやパンケーキが並んでおり、私が夜中にくすねていたような普通のパンはなかった。
朝食後は使用人さんたちと一緒にオスカー様がお出かけになるのをお見送りする。
今日は夕方まで戻られないそうだ。もっとオスカー様とお話ししたいと思っていたから、少しだけ寂しくなった。
そんな贅沢な寂しさを覚えるなんて、幸せな証拠だと、私は感じた。
⸺⸺
昨日はレベッカ様に屋敷の中を案内してもらったため、今日は屋敷の外の広いお庭を案内してもらった。
綺麗に剪定された色んな形の植木を見ながら2人でお庭を歩く。
「こんなふうに誰かとお庭を歩くのは初めてです」
私がそう言うと、レベッカ様はクスッと笑った。
「昨日は、誰かとお屋敷の中を歩くのは初めてだと仰っしゃっていましたね。初めてのことがたくさんですね」
「そうなんです。初めてのことばかりなんです。次はどんな初めてのことが待っているか、楽しみで仕方がないのです」
「実は、私も誰かにお仕えするのはこれが初めてなのですよ」
「まぁ、そうでしたのね。初めて同士ですね」
「はい! 初めてお仕えするのがフローラ様で良かったです。私、フローラ様のためなら何でもしますから、何でも遠慮なく仰っしゃって下さいね!」
レベッカ様はそう言って手をグッと握り、気合のこもった瞳で私を見てきた。
「それなら私、早速レベッカ様にお願いがあります」
「はい! なんなりとお申し付けください!」
「あの、私……今までに一度もお友達ができたことがないのですが、レベッカ様は私のお友達になって下さいますか?」
「お友達……私なんかでよろしいのですか!? 使用人ですよ?」
「やはり、お嫌でしょうか……」
少し贅沢を言い過ぎた、そう思ってシュンとしていると、レベッカ様は私の手を両手でギュッと握りしめてきた。
「嫌な訳がございません! 私で良ければ、フローラ様のお友達になります! 実は年も21歳で、フローラ様と近いのですよ!」
「まぁ、レベッカ様……ありがとうございます! 初めてお友達ができました。2つ違い、なのですね。それでお友達とは、一体何をなさるのでしょうか……」
「そうですね……まずは、言葉遣いからお友達っぽくしてみましょう! 2人の時は、私も敬語を省略させていただきます」
「お友達は敬語を使わないのですか?」
「ええ、そうよ! だから気軽にレベッカって呼んで。私もフローラって呼ぶから!」
そのレベッカ様の変わりように少し驚いたけど、これがお友達……。敬語や敬称を使っていないのに、なぜだか失礼に感じない。それが、お友達なんだ。
「れ……レベッカ! こ、これでよろ……よろし……?」
「これでいい? だよ」
「レベッカ、これでいい?」
「うん、完璧だよフローラ!」
「わぁ、これがお友達……! なんだか楽しいです! えっと、楽しい!」
「うんうん、いい感じ。じゃぁ、一緒に町に遊びに行こう!」
「町?」
「オスカー様の治めるこのシュナイダー領の、お屋敷に隣接している『ルスティの町』だよ。すごく良いところだから、フローラも楽しいと思う」
「本当? 私、行ってみたい……!」
「よし、じゃぁ早速行こう。まずは一緒にフローラの外出許可をバーバラ様に取りにいこう」
「はい!」
私は期待に胸を膨らませて、レベッカと共にばあや様のもとへと向かった。
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