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第二章 乱召喚と恋する白魔道士
25話 レオンのお国事情
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「で、レオンも王子様なの?」
私はレオンの隣に座り直し、再度彼に詰め寄る。
「何だ、お前言ってねぇのかよ」
と、マルクス様。
「別に言う必要ねぇだろうが……。つーか、“も”っつったな? 誰だ他に自白した奴」
「クロードだよ。エルセイジ王国の第三王子様なんだって」
私がそう返すと、レオンはなぜかホッとしていた。
「なんだ、クロードか。ならいいや」
と、レオン。
「ど、どういうこと!? 他にも王子様いるの!?」
「お前は知らなくていい。この国では何の意味もない称号だろ」
「それはそうだけど……」
ここでマルクス様が口を挟む。
「この国ではそうかもしんねぇけど、特にお前。さくらを嫁にしてぇんなら自分の国の事情もちゃんと説明しておくべきだろ。嫁になりました、じゃぁ国に帰って王様と王妃様になります。っていきなりの展開は、さくらも可哀想だと思うけどな」
「何で俺がさくらを嫁にする前提なんだよ!?」
レオンは真っ赤になってそう反論する。
「何でって……そう見えるから?」
「見えねぇよ! 勝手に決めつけんじゃねぇ!」
私はそう真っ赤になって怒るレオンからは、恥ずかしさとかそういうのだけじゃなくて、どこかうんざりしたような、そんな気持ちも感じ取ってしまった。
「レオンごめんね、言いたくないならいいよ。レオンの言う通り、この国では関係のない話なんだろうし、無神経にズケズケ聞いて、ホントごめん……」
私がそう言って頭を下げると、レオンは困ったように頭をかいていた。
「別にお前が謝ることじゃねぇんだって……はぁ、俺は『バルツァー連邦国』の第十五王子だ」
レオンはなぜかそう言って聞いてもないのに自白を始めた。
「15!?」
その数字の多さに衝撃を受ける私。そして“バルツァー”とは、レオンの名字である。
「おぉ、さくら、レオンの扱い慣れてんなぁ。あえて引くことで、自白を誘ったか……」
と、マルクス様。
「わ、私そんなつもりじゃ……」
「マルクスてめぇは黙ってろ。これ以上余計なこと言ったら即話すのやめるからな」
「はーい、お口チャックしときやす」
マルクス様はそう言って口のチャックを閉める仕草を見せた。
「で、俺のいた『バルツァー連邦国』は10の国が集まってできている。バルツァー王族家の人間は、20歳になると国から追い出される。国に戻りたければ妻なり夫なりを連れて来なきゃなんねぇ」
「おぉ、王族なのに自分でパートナーを連れて来るシステムなんだ……斬新だね……」
そう言う私に対しマルクス様が「な、おもしれぇよな」と相槌を打った。
「そのパートナーを連れて帰った王族は、無条件でどこかの国の統治権が得られる。まぁ、どっかの国王に王様の座を譲ってもらうってこった。俺は、単にんなの面倒くさくて、こうしてこの国に留まってるって訳だ」
レオンのうんざりした感情は、国のシステムに対してだったか、と私は感じた。だから、あんまり話したがらなかったんだ。
でも、それなら……。
「そっか、王様が嫌なら戻らなければいいだけの話か」
私はそう解釈する。
「そうだ。現に第二と第三の兄貴は俺がバルツァーにいる間、1度も戻ってこなかった。大陸外の国で騎士になってるって噂だ」
「おぉー、でもそんなんで、国は成り立つのかな。みんな出てっちゃったらどうするの?」
マルクス様が口を挟む。
「だから、兄弟がめちゃんこ多いんだよ。従兄弟も含めて全員王子、王女って呼ばれ方をする。それに、外からパートナーを連れてくることでその国の文化を取り入れることができて、国は更に発展する。バルツァー連邦国はめちゃくちゃ発展したすげぇ国なんだぜ」
「へぇぇ、マルクス様詳しいですね!」
「おうよ、おもしれぇ国だから、連邦代表の国王とはずっと仲良くさせてもらってるからな」
マルクス様はそう言ってニッと笑った。
「だから、レオンとマルクス様もそんなに仲が良いんですね!」
「そーそー、もうマブダチと言っても過言ではない」
と、マルクス様。
「別に仲は良くねぇ……。つーかてめぇ話し過ぎだ」
「何も悪いことは言ってねーじゃん」
鬱陶しそうに言うレオンに対し、ムスッとむくれるマルクス様。
やっぱり仲良しだ。
「あ、ちなみにな、レオンがさくらを連れて国に帰ると、統治権の変わった領土は“カヅキ王国”になるんだぜ?」
「わぁ、パートナーの名字を取るんだ、面白い!」
「だからなんでさくらを嫁にとる前提なんだよ!」
マルクス様が余計なことを言ったので、この話はこれで終わってしまった。
私はレオンの隣に座り直し、再度彼に詰め寄る。
「何だ、お前言ってねぇのかよ」
と、マルクス様。
「別に言う必要ねぇだろうが……。つーか、“も”っつったな? 誰だ他に自白した奴」
「クロードだよ。エルセイジ王国の第三王子様なんだって」
私がそう返すと、レオンはなぜかホッとしていた。
「なんだ、クロードか。ならいいや」
と、レオン。
「ど、どういうこと!? 他にも王子様いるの!?」
「お前は知らなくていい。この国では何の意味もない称号だろ」
「それはそうだけど……」
ここでマルクス様が口を挟む。
「この国ではそうかもしんねぇけど、特にお前。さくらを嫁にしてぇんなら自分の国の事情もちゃんと説明しておくべきだろ。嫁になりました、じゃぁ国に帰って王様と王妃様になります。っていきなりの展開は、さくらも可哀想だと思うけどな」
「何で俺がさくらを嫁にする前提なんだよ!?」
レオンは真っ赤になってそう反論する。
「何でって……そう見えるから?」
「見えねぇよ! 勝手に決めつけんじゃねぇ!」
私はそう真っ赤になって怒るレオンからは、恥ずかしさとかそういうのだけじゃなくて、どこかうんざりしたような、そんな気持ちも感じ取ってしまった。
「レオンごめんね、言いたくないならいいよ。レオンの言う通り、この国では関係のない話なんだろうし、無神経にズケズケ聞いて、ホントごめん……」
私がそう言って頭を下げると、レオンは困ったように頭をかいていた。
「別にお前が謝ることじゃねぇんだって……はぁ、俺は『バルツァー連邦国』の第十五王子だ」
レオンはなぜかそう言って聞いてもないのに自白を始めた。
「15!?」
その数字の多さに衝撃を受ける私。そして“バルツァー”とは、レオンの名字である。
「おぉ、さくら、レオンの扱い慣れてんなぁ。あえて引くことで、自白を誘ったか……」
と、マルクス様。
「わ、私そんなつもりじゃ……」
「マルクスてめぇは黙ってろ。これ以上余計なこと言ったら即話すのやめるからな」
「はーい、お口チャックしときやす」
マルクス様はそう言って口のチャックを閉める仕草を見せた。
「で、俺のいた『バルツァー連邦国』は10の国が集まってできている。バルツァー王族家の人間は、20歳になると国から追い出される。国に戻りたければ妻なり夫なりを連れて来なきゃなんねぇ」
「おぉ、王族なのに自分でパートナーを連れて来るシステムなんだ……斬新だね……」
そう言う私に対しマルクス様が「な、おもしれぇよな」と相槌を打った。
「そのパートナーを連れて帰った王族は、無条件でどこかの国の統治権が得られる。まぁ、どっかの国王に王様の座を譲ってもらうってこった。俺は、単にんなの面倒くさくて、こうしてこの国に留まってるって訳だ」
レオンのうんざりした感情は、国のシステムに対してだったか、と私は感じた。だから、あんまり話したがらなかったんだ。
でも、それなら……。
「そっか、王様が嫌なら戻らなければいいだけの話か」
私はそう解釈する。
「そうだ。現に第二と第三の兄貴は俺がバルツァーにいる間、1度も戻ってこなかった。大陸外の国で騎士になってるって噂だ」
「おぉー、でもそんなんで、国は成り立つのかな。みんな出てっちゃったらどうするの?」
マルクス様が口を挟む。
「だから、兄弟がめちゃんこ多いんだよ。従兄弟も含めて全員王子、王女って呼ばれ方をする。それに、外からパートナーを連れてくることでその国の文化を取り入れることができて、国は更に発展する。バルツァー連邦国はめちゃくちゃ発展したすげぇ国なんだぜ」
「へぇぇ、マルクス様詳しいですね!」
「おうよ、おもしれぇ国だから、連邦代表の国王とはずっと仲良くさせてもらってるからな」
マルクス様はそう言ってニッと笑った。
「だから、レオンとマルクス様もそんなに仲が良いんですね!」
「そーそー、もうマブダチと言っても過言ではない」
と、マルクス様。
「別に仲は良くねぇ……。つーかてめぇ話し過ぎだ」
「何も悪いことは言ってねーじゃん」
鬱陶しそうに言うレオンに対し、ムスッとむくれるマルクス様。
やっぱり仲良しだ。
「あ、ちなみにな、レオンがさくらを連れて国に帰ると、統治権の変わった領土は“カヅキ王国”になるんだぜ?」
「わぁ、パートナーの名字を取るんだ、面白い!」
「だからなんでさくらを嫁にとる前提なんだよ!」
マルクス様が余計なことを言ったので、この話はこれで終わってしまった。
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