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第二章 神器と欲望

18話 大蛇は大蛇でも

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⸺⸺本館4F⸺⸺

 鳥の化物が居ない事を確認すると、3人が見張りにつき、私は再びゼウス神へと祈りを捧げた。

「ゼウス様、下の階のカエルたちはもっと強くて大きい王様が欲しいようです。どうか取り替えて下さい」
 私がそう祈ると、またすぐに光り、ゼウス神が現れる。

『……あれでは不満と申すか』
「すみません、カエルたちはどうやら不満のようなのです……」
 私が怒られたらどうしよう。そう思いながら恐る恐る言葉を返す。

『……良かろう。ならばカエル共の望み通り、もっと強くて大きいものと取り替えてやろう。3階へと行くが良い』
「ありがとうございます、ゼウス様!」
 ゼウス神はスーッと消えていく。そして、陽翔さんの「アヒルが来たぞ!」の一声で皆慌てて下の階へと降りていった。

⸺⸺本館3F⸺⸺

 私が足を踏み入れると……。

 ズドンッ! という地響きと共に、大蛇がカエルたちの目の前へと降り立った。

⸺⸺が、その大蛇は8つ首の恐ろしい化物だった。

「これ、ヤマタノオロチですよ!?」
 と、瑠斗君。
「何でここでヤマタノオロチが!?」
 そのヴィランとはまた違った迫力にゾッとする私。

 そんな私たちのことはお構いなしに、カエルはぴょんぴょん飛び跳ねて喜ぶ。
『わぁ、強そうな王様!』
『やったー、神様ありがとう!』

「喜んでるな……あいつらはこれでいいのか……」
 陽翔さんが苦い顔をする。
「ヤマタノオロチ……多分カエル食べるわよねぇ……」

 その臼井さんの予測通り、ヤマタノオロチはカエルを次々に丸呑みし始めた。
『うぎゃー』
『わー』

「って、ボーッと見てる場合じゃないですよ! 皆さんこちらです!」
 瑠斗君がそう言って奥の部屋へ来るよう促す。
「なぜ奥に!?」
 と、陽翔さん。
「説明は後です! ヤマタノオロチがカエルに気を取られている間に、さぁ早く!」

「分かった!」
 私が瑠斗君を信じて奥の部屋へ駆けると、皆も覚悟を決めたように奥の部屋へと集まった。

「これです、スサノオの御神体と……天羽々斬あめのはばきりです!」
 瑠斗君はそう言ってスサノオの像の模型と刀のレプリカを指し示した。
「なになに? また神頼みなの?」
 と、臼井さん。

 ここで私はひらめく。
「そうか、スサノオはこの天羽々斬でヤマタノオロチを倒すから、そうお願いするか、天羽々斬を貸してもらえるよう頼めば……!」

『シャァァァァッ!』
 祈る間もなく、ヤマタノオロチはカエルを全て丸呑みして私たちのところへと来てしまった。

「き、来てしまったぞ……!」
「嘘、祈る時間もない……!」

 その時、スサノオの像が独りでに光を放ち始めた。

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