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第五章 社会の形成と勇者マコト伝
89話 魔王討伐
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俺はマコト。この異世界アドヴェインに脅威をもたらす魔王ロキを討伐するため、日本から召喚された勇者だ。
だけど、召喚の時に通過した次元の狭間という空間で、新人女神のマリーティアがいきなりやらかす。
そもそも召喚は俺1人のはずだったのに、下の階の神楽さんとその飼い猫ルキちゃんまでもが召喚に巻き込まれてしまったのだ。
巻き込まれた神楽さんには申し訳ないが、神楽さんが猫を飼っていたことは知っていたので、飼い猫のルキちゃんも飼い主と一緒に召喚されたのは不幸中の幸いだったのではないかと思っている。
だって、猫ちゃんを家に独り残してしまうなんてことになったら……あぁ、考えただけで恐ろしい。
ただ、女神マリーティアがやらかしてしまったのは、俺にも責任があるとは思っている。なんせ、小便を我慢していたせいで、かなり急かしてしまったようだから。
急かしてしまったのはマリーティアだけではない。神楽さんも俺のイライラを感じ取ってしまったのか、かなり慌ててスキルの注文をしていた。
だから、ある程度のハプニングは俺も受け入れるよ?
だけどさ、勇者には必ずついてくるはずの“勇者の光“のスキルがないってどうよ?
これからどうやって魔王討伐を目指していったら良いんだよ……。
それに、ルキちゃんが神楽さんにプレゼントしようとしていた“男にモテる加護“ってやつ、明らかに俺に付いてんだよ!
俺に付いてくる男はみんな勇者特有のカリスマがどうのこうの言い訳をしてくるけど、ただ単純に変な加護を付けられてるだけだからな!?
そこのおっさん! うっとりした目で俺を見るんじゃねぇ!
で、言いたい放題注文した5歳からのスタートもなく、日本にいた頃の俺そのまんまの容姿。クラフトスキルもなさそう。
注文したスキルで唯一ちゃんと俺の元に来てくれたのは、“大魔法使い“のスキルだった。この世界で使える魔法は一通りデフォルトで使えるというスキルだ。
これだけでもちゃんと来てくれたおかげで、はじまりの村からの攻略は楽勝だった。
そして、なんだかんだ男にモテる加護のおかげで、酒場で冒険者を雇わなくても伝説級に強い戦士らが勝手に勇者パーティに入ってくれたために、早々に最強パーティも完成してしまった。
パーティメンバーは勇者の俺、聖騎士アーサー、剣豪キョウゴク、賢者キーロだ。
最後に合流してくれた“賢者キーロ“という爺さんは俺の魔法の師匠にもなってくれたし、めちゃくちゃ物知りで父親のように慕っていた。
⸺⸺なのに、どうしてだよ、キーロ……!
⸺⸺魔王城、玉座の間⸺⸺
俺たち勇者一行は遂に魔王城の玉座の間へとたどり着いた。
しかし、魔王は玉座の間にはいなかった。
「むむ、魔王不在とは、一体どういうことでござろうか」
と、キョウゴク。
「我らが聖なる勇者マコトのカリスマ性に恐れをなしたか?」
あのなぁ、アーサー。俺は勇者の光を持ってねぇから聖なるでもねぇし、なんなら聖なる騎士はお前だろ? アーサー。
キョウゴクもアーサーも俺の加護のせいで、俺を神か何かを見るような目で見てくるんだよ。俺はそんなんじゃねぇ。ただ全部の魔法が使えるだけの冒険者だ。
賢者キーロだけは俺の加護の影響を受けていないにも関わらず、俺のパーティに参加をしてくれた。その点でもキーロは信頼できる。
「なぁ、キーロ、魔王はどこにいると思う?」
「……」
「……キーロ?」
あれ、キーロの様子がおかしい……。
キーロは俺に視線を合わせることもなく、静かにゆっくりと玉座の前まで歩いて行き、こちらを振り返った。
「よくぞここまでたどり着いた、勇者マコトよ。さぁ、最後の戦いを始めよう」
「キーロ!? お前、何言って……!?」
「キーロ様!?」
「キーロ殿!?」
キーロの身体から魔物の素となる魔障が大量に噴き出してくる。そして、彼の身体はみるみる姿を変えていき、あっという間に2本ツノを頭から生やした青白い肌の青年へと変貌した。
「キーロ……まさかお前が……魔王ロキなのか……!?」
「左様。我は魔王ロキ。この世界アドヴェインを滅ぼす者だ……!」
「嘘だろ、キーロ……! いや、魔王ロキ! 覚悟しろ!」
きっと映画であれば驚きの展開に観客みんな「うわぁ」ってなっていることだろう。まぁ、誰も見ていないんだけど。
俺はかつての師であった賢者キーロに叩き込まれた全ての術を使って魔王ロキと戦闘を繰り広げた。
ずっと疑問だったんだ。賢者のポジションはキーロがいるのに、なんでキーロは俺に同じ賢者のポジションの戦い方を伝授していたのだろうって。
そっか、このためだったんだな……。
魔王ロキは、自分を倒してもらうために、勇者の光を持たない俺に魔王を倒す術を与えてくれていたんだ……。
魔王ロキも本気で俺たちを殺そうとしているのが伝わってくる。それでも、賢者キーロの教えを守って戦闘を進めた俺たちに敗北の文字はなかった。
聖騎士アーサーが雷をまとった槍で魔王ロキを貫き追い詰めたところで、俺は涙を流しながら究極の魔法を放って魔王ロキへトドメを刺した。
「……よくやった、マコト……それでこそ、我が、愛弟子……」
「キーロォオォォ……!」
魔王ロキの身体はサラサラと光の結晶となって天に昇っていった。
それと同時に知らない女神が天から舞い降りてくる。
「よくぞ魔王ロキを倒してくれました、賢者マコト。わたくしは女神シギュン。あなたの魔王討伐により再びこの世界へと降りてくることができました」
「女神シギュン……この世界にも女神はいたんだな」
「……残念ですが勇者マコト、魔王ロキはこの世界の本当の脅威ではないのです。この世界にはまだ、“大魔王ルシファー“なる存在が眠っているのです……!」
「……マジ?」
これって……全クリ後の追加ストーリーって奴じゃねぇか……。
「さて、勇者マコトよ、お主には選ぶ権利がある」
「この声は、キーロ!?」
急にどこからともなく聞こえてきたキーロの声に辺りをキョロキョロと見回す。
すると、賢者キーロの姿の老人が再び俺の目の前に姿を現した。
「キーロ! 良かった、また力を貸してくれるんだな! 選ぶって、何を……?」
俺は賢者キーロの復活が嬉しすぎて、魔王は倒したのになんで復活しているの? という疑問も湧かずに、師との再会を喜び、彼の次の言葉を待った。
だけど、召喚の時に通過した次元の狭間という空間で、新人女神のマリーティアがいきなりやらかす。
そもそも召喚は俺1人のはずだったのに、下の階の神楽さんとその飼い猫ルキちゃんまでもが召喚に巻き込まれてしまったのだ。
巻き込まれた神楽さんには申し訳ないが、神楽さんが猫を飼っていたことは知っていたので、飼い猫のルキちゃんも飼い主と一緒に召喚されたのは不幸中の幸いだったのではないかと思っている。
だって、猫ちゃんを家に独り残してしまうなんてことになったら……あぁ、考えただけで恐ろしい。
ただ、女神マリーティアがやらかしてしまったのは、俺にも責任があるとは思っている。なんせ、小便を我慢していたせいで、かなり急かしてしまったようだから。
急かしてしまったのはマリーティアだけではない。神楽さんも俺のイライラを感じ取ってしまったのか、かなり慌ててスキルの注文をしていた。
だから、ある程度のハプニングは俺も受け入れるよ?
だけどさ、勇者には必ずついてくるはずの“勇者の光“のスキルがないってどうよ?
これからどうやって魔王討伐を目指していったら良いんだよ……。
それに、ルキちゃんが神楽さんにプレゼントしようとしていた“男にモテる加護“ってやつ、明らかに俺に付いてんだよ!
俺に付いてくる男はみんな勇者特有のカリスマがどうのこうの言い訳をしてくるけど、ただ単純に変な加護を付けられてるだけだからな!?
そこのおっさん! うっとりした目で俺を見るんじゃねぇ!
で、言いたい放題注文した5歳からのスタートもなく、日本にいた頃の俺そのまんまの容姿。クラフトスキルもなさそう。
注文したスキルで唯一ちゃんと俺の元に来てくれたのは、“大魔法使い“のスキルだった。この世界で使える魔法は一通りデフォルトで使えるというスキルだ。
これだけでもちゃんと来てくれたおかげで、はじまりの村からの攻略は楽勝だった。
そして、なんだかんだ男にモテる加護のおかげで、酒場で冒険者を雇わなくても伝説級に強い戦士らが勝手に勇者パーティに入ってくれたために、早々に最強パーティも完成してしまった。
パーティメンバーは勇者の俺、聖騎士アーサー、剣豪キョウゴク、賢者キーロだ。
最後に合流してくれた“賢者キーロ“という爺さんは俺の魔法の師匠にもなってくれたし、めちゃくちゃ物知りで父親のように慕っていた。
⸺⸺なのに、どうしてだよ、キーロ……!
⸺⸺魔王城、玉座の間⸺⸺
俺たち勇者一行は遂に魔王城の玉座の間へとたどり着いた。
しかし、魔王は玉座の間にはいなかった。
「むむ、魔王不在とは、一体どういうことでござろうか」
と、キョウゴク。
「我らが聖なる勇者マコトのカリスマ性に恐れをなしたか?」
あのなぁ、アーサー。俺は勇者の光を持ってねぇから聖なるでもねぇし、なんなら聖なる騎士はお前だろ? アーサー。
キョウゴクもアーサーも俺の加護のせいで、俺を神か何かを見るような目で見てくるんだよ。俺はそんなんじゃねぇ。ただ全部の魔法が使えるだけの冒険者だ。
賢者キーロだけは俺の加護の影響を受けていないにも関わらず、俺のパーティに参加をしてくれた。その点でもキーロは信頼できる。
「なぁ、キーロ、魔王はどこにいると思う?」
「……」
「……キーロ?」
あれ、キーロの様子がおかしい……。
キーロは俺に視線を合わせることもなく、静かにゆっくりと玉座の前まで歩いて行き、こちらを振り返った。
「よくぞここまでたどり着いた、勇者マコトよ。さぁ、最後の戦いを始めよう」
「キーロ!? お前、何言って……!?」
「キーロ様!?」
「キーロ殿!?」
キーロの身体から魔物の素となる魔障が大量に噴き出してくる。そして、彼の身体はみるみる姿を変えていき、あっという間に2本ツノを頭から生やした青白い肌の青年へと変貌した。
「キーロ……まさかお前が……魔王ロキなのか……!?」
「左様。我は魔王ロキ。この世界アドヴェインを滅ぼす者だ……!」
「嘘だろ、キーロ……! いや、魔王ロキ! 覚悟しろ!」
きっと映画であれば驚きの展開に観客みんな「うわぁ」ってなっていることだろう。まぁ、誰も見ていないんだけど。
俺はかつての師であった賢者キーロに叩き込まれた全ての術を使って魔王ロキと戦闘を繰り広げた。
ずっと疑問だったんだ。賢者のポジションはキーロがいるのに、なんでキーロは俺に同じ賢者のポジションの戦い方を伝授していたのだろうって。
そっか、このためだったんだな……。
魔王ロキは、自分を倒してもらうために、勇者の光を持たない俺に魔王を倒す術を与えてくれていたんだ……。
魔王ロキも本気で俺たちを殺そうとしているのが伝わってくる。それでも、賢者キーロの教えを守って戦闘を進めた俺たちに敗北の文字はなかった。
聖騎士アーサーが雷をまとった槍で魔王ロキを貫き追い詰めたところで、俺は涙を流しながら究極の魔法を放って魔王ロキへトドメを刺した。
「……よくやった、マコト……それでこそ、我が、愛弟子……」
「キーロォオォォ……!」
魔王ロキの身体はサラサラと光の結晶となって天に昇っていった。
それと同時に知らない女神が天から舞い降りてくる。
「よくぞ魔王ロキを倒してくれました、賢者マコト。わたくしは女神シギュン。あなたの魔王討伐により再びこの世界へと降りてくることができました」
「女神シギュン……この世界にも女神はいたんだな」
「……残念ですが勇者マコト、魔王ロキはこの世界の本当の脅威ではないのです。この世界にはまだ、“大魔王ルシファー“なる存在が眠っているのです……!」
「……マジ?」
これって……全クリ後の追加ストーリーって奴じゃねぇか……。
「さて、勇者マコトよ、お主には選ぶ権利がある」
「この声は、キーロ!?」
急にどこからともなく聞こえてきたキーロの声に辺りをキョロキョロと見回す。
すると、賢者キーロの姿の老人が再び俺の目の前に姿を現した。
「キーロ! 良かった、また力を貸してくれるんだな! 選ぶって、何を……?」
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