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第五章 社会の形成と勇者マコト伝
92話 勇者召喚ぶり
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勇者マコトは大魔王ルシファーを279回ボコボコにして見事追加のストーリーを終えると、そのままの姿でこのウルユ島の噴水広場へと飛ばされてきた。
「あれ、マコちゃんそのまま来ちゃった? 種族とか変えるんじゃなかった?」
つい、いつもの調子でそう言うと、彼は「マ、マコちゃん……?」と呆気に取られており、私はとんでもない失言をした事に気付く。
「うわぁぁぁ、ご、ごめん! ただのアパートの住人にそんな馴れ馴れしく呼ばれたらドン引きだよね! うぅぅ、穴があったら入りたいぃ……」
その場で地面にひれ伏す私。周りで見ていた島民たちには思いっきり笑われてしまった。
「アパートの住人……あ、もしかして、神楽さん!?」
「はい……ユノ・カグラと申します……。勇者召喚ぶりですね……そっか、私、5歳になってて日本の姿と全然違うんだった……」
「おぉぉ、ちびっこライフ満喫してるなぁ……良いなぁ。って言うか、容姿を変える前にこの姿のままこの島に行ってこいってシギュンに言われたんだけど……神楽さん、俺がここに来ることも知ってたみたいだし、何か事情知ってる?」
マコちゃんはオドオドしながらも「俺気にしてないから、起き上がって!」とフォローをしてくれた。
私は彼の言葉に甘え、よっこいしょと起き上がる。
「うん、分かるよ。女神シギュン様がその姿のままここにって言ってくれたのは、多分この島にいる元ヴォルティス島民のためだと思う。ね、みんな? 大魔王ルシファーをみんなの数だけボコボコにしてくれた勇者マコトにお礼言いたいよね?」
私がそう言って島のみんなを振り返ると、元ヴォルティス島民のゴブリンや成獣たちが駆け寄ってきて、あっという間にマコちゃんを取り囲んだ。
「ありがとう、勇者マコト!」
「私たちの無念を晴らしてくれて、本当にありがとう!」
「勇者様! 猫好きなら俺の身体、いくらでもモフってくれていいぜ!」
「えーっ、私も勇者様にモフられたい!」
「わわわ、え、え!? 俺があいつボコってたこと、もう知ってるし! ゴブリンどころか動物もみんなしゃべってるし……ゴホッゴホッ」
みんなが突然口々にお礼を言い始めたのでマコちゃんはより一層パニックになり、咳き込んでしまった。
「あっ、そっか! 動物アレルギーだ! 成獣のみんなは少し距離を置いてあげて!」
「わぁ、そうだった……! ごめんね、勇者様!」
そう言って慌てて距離を取る成獣たち。マコちゃんにも「気、使わせてごめんな、ゴホッゴホッ」と逆に謝られてしまった。
「ごめん、マコ……トさん。私の配慮が足りていなかった。あのね、ヴォルティス島っていうのは、大魔王ルシファーに滅ぼされた島で、ここにいるゴブリンたちはみんな元人間なの」
私がそう説明をすると、マコちゃんは納得したように何度も頷いていた。
「そっかそっか、キーロ……いや、ロキから軽く話は聞いていたよ。じゃぁ、そのしゃべってる動物たちもみんな、ヴォルティス島にいた子たちなんだな」
「そう。それでね、私たちはあそこにあるモニターで、マコトさんがルシファーをボコボコにする様子をライブ中継してもらっていたんだよ」
私は噴水広場にある大きなモニターを指差す。そのモニターでは、勇者パーティの一員であるアーサーとキョウゴクが勇者ロスとなって泣き崩れていた。
「ライブ中継!? おぉ、マジか! アーサーとキョウゴク大号泣してんな……。そっか、俺の頑張り……ちゃんと見てくれてる人がいたんだな……」
そう言ってマコちゃんまでもがおいおいと泣き出す。
「え、ど、どうしたの!? 逆に見られていたのが嫌だって言われるかと思ってたのに……」
「なんつーか、勇者ってさ、誰も俺の地道な頑張りを見てないくせに、勝手に期待して勝手に盛り上がって、勇者が無事に城に帰ってきてもそれが当たり前みたいな空気があってさ……。勇者は結果が全て。その道中なんて誰も興味なかったんだよ。だから、279回もボコボコにしたの、本人たちが見ていてくれて良かったなってさ……」
「そっか、そうだったんだ。勇者の立場も辛かったね……。ちなみにマコトさんが278本ノックを始めた時、みんなモニターの前に一列に並んで順番にお礼をしていたんだよ」
「マジ!? 握手会だな……」
「そうそう。本当、勇者って言うよりはアイドルみたいだった」
マコちゃんは「ははは」と笑いながら涙を拭く。
「なぁ、神楽さん。俺が住んでいいのってこの島のことだよな。のどかで良い場所だな」
「そうだよ。ウルユ島って言うの。良い場所でしょ? 最初は森だけの無人島だったのに、みんなでここまで開拓したんだよ」
「マジか、すっげぇ! うわぁ、早く住みてぇ。なら俺、容姿、変えてもらって来るわ。でさぁ、あそこでメソメソ泣いてるおっさん2人も連れてきて良いか? あいつら、なんだかんだ良い奴だってさ……」
「アーサーさんとキョウゴクさんだよね? もちろん、良いよ! ロキ様もしばらく暇になるなら良かったらどうぞって、伝えておいて」
「キーロ……あ、いや、ロキも良いのか!? あぁ、伝えるよ。それから……マコちゃん、で良いよ。えっと、ユノ! だったよな?」
「あはは、ありがとう。マコちゃん。うん、ユノって呼んで。これからよろしく!」
「あぁ、よろしくな! じゃ、行ってきます!」
マコちゃんはみんなに「行ってらっしゃーい」と見送られて、ルンルンでその場から消えていった。
「あれ、マコちゃんそのまま来ちゃった? 種族とか変えるんじゃなかった?」
つい、いつもの調子でそう言うと、彼は「マ、マコちゃん……?」と呆気に取られており、私はとんでもない失言をした事に気付く。
「うわぁぁぁ、ご、ごめん! ただのアパートの住人にそんな馴れ馴れしく呼ばれたらドン引きだよね! うぅぅ、穴があったら入りたいぃ……」
その場で地面にひれ伏す私。周りで見ていた島民たちには思いっきり笑われてしまった。
「アパートの住人……あ、もしかして、神楽さん!?」
「はい……ユノ・カグラと申します……。勇者召喚ぶりですね……そっか、私、5歳になってて日本の姿と全然違うんだった……」
「おぉぉ、ちびっこライフ満喫してるなぁ……良いなぁ。って言うか、容姿を変える前にこの姿のままこの島に行ってこいってシギュンに言われたんだけど……神楽さん、俺がここに来ることも知ってたみたいだし、何か事情知ってる?」
マコちゃんはオドオドしながらも「俺気にしてないから、起き上がって!」とフォローをしてくれた。
私は彼の言葉に甘え、よっこいしょと起き上がる。
「うん、分かるよ。女神シギュン様がその姿のままここにって言ってくれたのは、多分この島にいる元ヴォルティス島民のためだと思う。ね、みんな? 大魔王ルシファーをみんなの数だけボコボコにしてくれた勇者マコトにお礼言いたいよね?」
私がそう言って島のみんなを振り返ると、元ヴォルティス島民のゴブリンや成獣たちが駆け寄ってきて、あっという間にマコちゃんを取り囲んだ。
「ありがとう、勇者マコト!」
「私たちの無念を晴らしてくれて、本当にありがとう!」
「勇者様! 猫好きなら俺の身体、いくらでもモフってくれていいぜ!」
「えーっ、私も勇者様にモフられたい!」
「わわわ、え、え!? 俺があいつボコってたこと、もう知ってるし! ゴブリンどころか動物もみんなしゃべってるし……ゴホッゴホッ」
みんなが突然口々にお礼を言い始めたのでマコちゃんはより一層パニックになり、咳き込んでしまった。
「あっ、そっか! 動物アレルギーだ! 成獣のみんなは少し距離を置いてあげて!」
「わぁ、そうだった……! ごめんね、勇者様!」
そう言って慌てて距離を取る成獣たち。マコちゃんにも「気、使わせてごめんな、ゴホッゴホッ」と逆に謝られてしまった。
「ごめん、マコ……トさん。私の配慮が足りていなかった。あのね、ヴォルティス島っていうのは、大魔王ルシファーに滅ぼされた島で、ここにいるゴブリンたちはみんな元人間なの」
私がそう説明をすると、マコちゃんは納得したように何度も頷いていた。
「そっかそっか、キーロ……いや、ロキから軽く話は聞いていたよ。じゃぁ、そのしゃべってる動物たちもみんな、ヴォルティス島にいた子たちなんだな」
「そう。それでね、私たちはあそこにあるモニターで、マコトさんがルシファーをボコボコにする様子をライブ中継してもらっていたんだよ」
私は噴水広場にある大きなモニターを指差す。そのモニターでは、勇者パーティの一員であるアーサーとキョウゴクが勇者ロスとなって泣き崩れていた。
「ライブ中継!? おぉ、マジか! アーサーとキョウゴク大号泣してんな……。そっか、俺の頑張り……ちゃんと見てくれてる人がいたんだな……」
そう言ってマコちゃんまでもがおいおいと泣き出す。
「え、ど、どうしたの!? 逆に見られていたのが嫌だって言われるかと思ってたのに……」
「なんつーか、勇者ってさ、誰も俺の地道な頑張りを見てないくせに、勝手に期待して勝手に盛り上がって、勇者が無事に城に帰ってきてもそれが当たり前みたいな空気があってさ……。勇者は結果が全て。その道中なんて誰も興味なかったんだよ。だから、279回もボコボコにしたの、本人たちが見ていてくれて良かったなってさ……」
「そっか、そうだったんだ。勇者の立場も辛かったね……。ちなみにマコトさんが278本ノックを始めた時、みんなモニターの前に一列に並んで順番にお礼をしていたんだよ」
「マジ!? 握手会だな……」
「そうそう。本当、勇者って言うよりはアイドルみたいだった」
マコちゃんは「ははは」と笑いながら涙を拭く。
「なぁ、神楽さん。俺が住んでいいのってこの島のことだよな。のどかで良い場所だな」
「そうだよ。ウルユ島って言うの。良い場所でしょ? 最初は森だけの無人島だったのに、みんなでここまで開拓したんだよ」
「マジか、すっげぇ! うわぁ、早く住みてぇ。なら俺、容姿、変えてもらって来るわ。でさぁ、あそこでメソメソ泣いてるおっさん2人も連れてきて良いか? あいつら、なんだかんだ良い奴だってさ……」
「アーサーさんとキョウゴクさんだよね? もちろん、良いよ! ロキ様もしばらく暇になるなら良かったらどうぞって、伝えておいて」
「キーロ……あ、いや、ロキも良いのか!? あぁ、伝えるよ。それから……マコちゃん、で良いよ。えっと、ユノ! だったよな?」
「あはは、ありがとう。マコちゃん。うん、ユノって呼んで。これからよろしく!」
「あぁ、よろしくな! じゃ、行ってきます!」
マコちゃんはみんなに「行ってらっしゃーい」と見送られて、ルンルンでその場から消えていった。
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