巻き込まれ幼女召喚〜無人島を拠点に自由気ままな異世界ライフ〜

るあか@12/10書籍刊行

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第五章 社会の形成と勇者マコト伝

93話 第3の人生

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 マコちゃんが一旦消えてからしばらくすると、モニターに映っていたアーサーさんとキョウゴクさんもどこかへ転送されて画面から消えた。多分、今頃3人で次元の狭間で何やかんやしているんだろう。

 更に、噴水広場を大きく占領していた勇者観賞用のモニターもキラキラと光って消えていった。元々魔王ロキが貸してくれた物だったし、これが消えてなくなるのもある意味当たり前だよね。

 それから1時間、島のみんなでソワソワしながらマコちゃんの帰りを待っていると、噴水広場に魔法陣が現れて5人の人が次々に転送されて来たのである。

 獣人イヌ耳族の幼稚園くらいの子ども、イケメンのエルフ族のお兄さん、鬼のツノを頭から生やした元気そうな鬼族のお兄さん。そして、人間族である賢者キーロの姿のおじいさんに、彼と同じくらい歳を取っているおばあさんだった。

「ユノ、みんな、ただいま!」
 イヌ耳族の子どもが、元気に右手を挙げながらそう言った。

「あーっ、マコちゃん!? イヌ耳族の子どもにしたの? めちゃくちゃ可愛いね!」
 商人ギルドにいるブランカさんのように、ふもふもなイヌ耳が頭についていてとっても可愛い。

「そーなんだよ! この世界、多種族なんだよな。だから、思い切って種族も変えてみたんだ。クマ耳とイヌ耳と最後まで悩んだけど、こっちにしてみたわ」
 満足げにそう言うマコちゃん。イメチェン、さぞ楽しかっただろう。

「あはは、どっちも可愛いよね。良いじゃん、すごく似合ってるよ」

「ありがとう! で、こっちのエルフがアーサーで、鬼はキョウゴク。こっちのおじいさんとおばあさんはロキとシギュンの幻影だ」
 マコちゃんがそう紹介をしてくれたので、それぞれ挨拶を交わす。そっか、おばあさんは女神シギュンだったんだ。

 それから新しく島に来た5人は島民たちと軽く交流をして、島民たちもそれぞれの生活へと戻っていった。

⸺⸺ウルユ城、東棟1階⸺⸺

 私とルキちゃんは5人に付き添ってウルユ城の役場へと足を運んでいた。

「わぁ、すっげぇ、ちゃんと役所まであんのな」
 マコちゃんは目からキラキラ光線を出しながら興味津々にそう言った。

「うん、住民登録だけじゃなくて住む場所や働き口のサポートもしてくれるから、そこのカウンターにいるヴルムに手続きをしてもらってきて」
「おぉ、至れりつくせりだなぁ……。了解、ちょっくら行ってくる」

 手続きを進める5人の側で、私とルキちゃんはソファに腰掛けて彼らを眺めていた。
「みんななんのお仕事をするのかな、楽しみだね」
「住むお家も気になりますにゃぁ。5人一緒に住むんですかにゃ」
「確かに」

拙者せっしゃとアーサーは1人ずつ住むことにしたでござるよ」
 私たちの会話が聞こえてきたのか、手続きを終えたキョウゴクがこちらへ寄ってきてくれた。

「ほら、このお城にある成獣たちの仮住まいに住んでいる子たちがいたでしょう? 私たちは、その子らと生活を共にすることにしたのです。これからお見合いに行ってきます」
 と、アーサー。

「本当? みんな、人の生活に憧れてるから助かるよ! 気の合う子が見つかると良いねぇ」
「はい、ありがとうございます」

「ユノ、俺はロキとシギュンと暮らすことにしたよ。あと俺らも猫ちゃんと暮らそうと思ってる。これから銀行口座を開設して、猫ちゃんとお見合いしてくるな!」
 と、マコちゃん。

「良いねぇ、おじいちゃんおばあちゃんと孫って感じだ。猫ちゃんたちと良いご縁がありますように」
「それなら僕たちは晩の買い物でもしに行きますかにゃ♪」

 マコちゃんたちと別れを告げて、私とルキちゃんはウルユ城を後にした。

 これから元勇者マコトの第3の人生が始まる。今までマコちゃんが2つの人生でどんな生活を送ってきて、何を思って生きていたのかは私には分からない。
 だけど、5人でウルユ島へと越してきたマコちゃんは本当に幸せそうに見えた。

 ぜひ、3回目の人生。幸せな生活を送ってほしい。

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