巻き込まれ幼女召喚〜無人島を拠点に自由気ままな異世界ライフ〜

るあか

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第三章 和の食材と常夏の島

54話 スキルの修得

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 ラフちゃんが教えてくれたんだけど、畑の奥に果樹園を作ろうとしていたらしい。開拓して開けたエリアの真ん中にりんごの木を1本植えていたんだ。
 しかし、その木はまだ木というには程遠く、ちょっと背の高い何かの茎? っていう感じだった。
 そこで成長が止まってしまったようで、引き抜くのも可哀想だし自然にその内育つかもしれないので、そのままにしていたそうだ。

⸺⸺昨日までは、確かにそのままだった。

 しかし、今私の視界には、畑の奥のエリアの中央に立派な1本の木が映っている。

「嘘……木、成長してるじゃん……」

 茶色の幹が真っ直ぐに伸び、私が手を伸ばしても届かないくらいの位置から枝が伸び、葉っぱが生い茂っている。

「どういうことだろう? ラフちゃんの魔力が発動するのに時間がかかったのかな……?」
「ほっほー……」
『それは違うのう。説明は本人が起きてきてからにするかのう』
「長老は、ちゃんと理由を知ってるんだ……?」
「ほっほー♪」

 ソワソワしながら朝の支度したくをしていると、起きた住人たちが続々とウッドデッキへと集まってくる。

「なんか、あの開拓していたエリアに木が1本生えているな! てっきり畑を広げるものだと思っていたのだが、違ったのだろうか?」
 ランスロットは「それにしても急に立派に育ったな……昨日まではなかったのに」と付け加えて、お皿にパンを積み上げていた。
「ね、長老が知ってるみたいなんだけど、みんなが来るまで待ってね」
「ふむ、了解だ」

『ユノ、あれはお団子の木?』
 と、モモちゃん。
「ごめん、あれはりんごの木だよ……。そうだよね、モモちゃんたちお団子食べたいって言ってたよね。もち米はまだ作ってないから、今日ウズメ村で買ってくるね」
『わーい♪ モモちゃん楽しみ~!』
『アオちゃんも楽しみ~!』
『キィちゃんはりんごも気になる~!』
 ハリトリオたちはマイペースにロールパンにかじりついていた。

「フゴゴッ!?」
『本当に育ってるべ……』
 ゴブくんが意味深な事を言いながらウッドデッキにやって来る。あれ、ゴブくんも何か知ってる……?

「キュゥゥッ!?」
『う、嘘……りんごの木が……育っています!』
「がう、がう♪」
 ラフちゃんはましゅたんを連れて畑の前で呆然としている。これで全員揃ったね。

 長老は私の頭の上に乗って、みんなが注目するよう「ほほ~ぅ!」と鳴いた。
『皆、おはよう』
「『おはよ~』」
 と、一同。

『急にりんごの木が成長して驚いておることじゃろう。実はな、この数日、なんとかりんごの木が成長しないかと、夜中にこっそり自身の魔力を注ぎ続けていた者がおったのじゃ』
「えっ、そうなの!?」
 夜中にこっそり……。
「キュゥ!?」
 ラフちゃんも驚いている。と、言うことは……?

『ほれ、照れておらんとさっさと名乗り出んか』
 長老がそう急かすと、ゴブくんが頭を掻きながら『ワイだべよ……』と照れたように名乗り出た。やっぱりゴブくんだったか……。
『えっ、ゴブくんが!? どうして……』
 ラフちゃんは目をぱちくりとさせている。そんな彼女へゴブくんはモジモジしながらこう返事をした。

『ワイは、みんなみたいなすごい特技は何もないし、ランスロットみたいに強くもねぇ。ワイは元々雑魚の魔物だったから、ラフちゃんがりんごの木を一生懸命育てようとしているのをずっと見ていることしか出来なかっただよ』
「ゴブくん……」
 ゴブくん、そんなふうに思ってたんだ……。気付いてあげられなくて、ごめん。

『ゴブくんは、雑魚なんかじゃありません。手先がヒトのように器用で、収穫も野菜に最大限配慮をして丁寧に収穫してくれます。それに、ウチと同じくらい小さいのに力持ちで、いつも納品用のバスケットを持ってくれる、とても優しいゴブリンさんです』
『ラ、ラフちゃん……』
 ゴブくんは照れ照れしている。

 ランスロットも口を開いた。
「特技ならあるだろう。“釣り”だ。俺もゴブくんに教えてもらって釣っているが、未だに一緒に釣りに出かけてもゴブくんより多く釣れたことはない。スキルなんか持っていなくても、それはゴブくんの立派な特技だと俺は思うぞ」
『ランスロット……ありがとうだべよ』
「もし、強くなりたいんなら俺がいつでも稽古けいこをつけてやろう。釣りを教えてくれた礼だ」
『本当だべか!? ぜひ、お願いするべよ!』
「うむ」

「うぅっ……なんて温かい住人たちなんだ……!」
 思わずウルッとしてしまう私。だけどこの良い雰囲気を壊したくなかったから必死にこらえた。

 ゴブくんは再び口を開く。
『その……だからワイは少しでもラフちゃんの力になりたくて、効果があるかも分からなかったけど、魔力を送り続けただよ。そしたら昨晩、ワイの魔力がラフちゃんの水まきの時みたいにキラキラと輝いたんだべ。ワイが一人で驚いていたら、長老が見ていてくれたみたいで、教えてくれたんだべ』

「ほっほー♪」
『ゴブくんは昨晩、“成長補助”というスキルを修得したのじゃ。どうやら成長のパワーが足りない植物の手助けをするようじゃな。ラフちゃんを支えるにはピッタリのスキルじゃ』

『す、すごいです……! ゴブくん……!』
 ラフちゃんは嬉しそうに頭の花びらをふるふると揺らす。私や周りのみんなも「すごいよゴブくん!」とゴブくんを褒めちぎった。

『な、なんか照れるべ……。だけんど、ラフちゃんは自分一人で育てたかったんじゃないかって、不安だったべ。ワイのしたことは、ラフちゃんのためになってるだべか……?』
『何を言っているのですか、ウチのためになっているに、決まっているじゃないですか! ウチは、ゴブくんがウチのために頑張ってくれていたと知って、とっても嬉しかったです。これからも、一緒に農業を頑張りましょう♪』
 ラフちゃんはそう言って満面の笑みで微笑んだ。

「フゴゴッ……」
『ラフちゃんは、笑顔が似合うべ。良かったべ、これからもよろしくだべよ』
『ハイ、よろしくお願いしますね♪』

 な……なんだこの尊いやり取りは……! もう、付き合っちゃえよ……!
 この後、ウルやルキちゃんに『ひゅー、ひゅー♪』と冷やかされて、2人の顔は真っ赤になるのであった。
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